ISO監査の計画に十分な時間を確保することの重要性
Tony Brachmanski CQP MCQIは、監査員が監査計画にどれだけの時間を費やすべきかを詳細に検討しています。
監査の4つのフェーズ
経験豊富な監査員であれば誰もが知っているように、内部監査、第二者監査、第三者審査など、ISOの監査/審査では、監査/審査を効果的かつ価値あるものにするために十分な準備時間を確保することが重要です。
監査の段階は、4つのフェーズに分かれています:
- 計画する。
- 監査を実施する。
- 報告する。
- フォローアップを行う。
『ISO 19011:2018 - Guidelines for auditing management systems マネジメントシステム監査のための指針』と同様に、IAF MD 5:2019*でも、監査に必要な時間の決定について助言しています。IAF MD 5:2019 は、「品質、環境及び労働安全衛生マネジメント システム審査工数決定のための IAF基準文書」と題する文書で、監査に費やす時間の3分の1を計画に割り当てるべきであると述べています。
監査員が監査の各段階に十分な時間を割かなければ、完了した監査が効果的でない可能性が高いです。
* IAF MD (Mandatory Document) は、第三者認証機関を認定する各国の認定機関の集まりである国際認定フォーラム (International Accreditation Forum = IAF) が発行する基準文書で第三者認証機関に対するさまざまな要求事項を定めています。IAF のウェブサイトで公開されているほか、JAB (日本適合性認定協会) で翻訳版 (参考訳) が公開されています。
監査時間の調査
Aligned Certification社では、最近LinkedInで非公式な世論調査を実施し、クオリティプロフェッショナルの意見を聞きました。調査では、「ISOマネジメントシステムの内部監査を実施することになった場合、監査の計画にどの程度の割合で時間を割くべきか」という質問を投げかけました。
ご回答いただいた20名の方の結果は以下の通りです:
- 監査時間の10%を割く - 65%
- 監査時間の25%を割く - 10%
- 監査時間の40%を割く - 20%
- 監査時間の25%未満を割く - 5%
「準備を怠るということは、失敗する準備をしているということ」
この調査では、「監査時間の10%を割り当てる」と答えた人が65%と最も多いという結果となっているのは興味深いことです。
これを聞いて、私は主任審査員のISO研修で、審査の計画段階がプロセスの第2段階である審査実施の成功に重要な役割を果たすことに焦点を当てていたことを思い出しました。もし、審査員が適切な準備をせずに当日を迎えれば、失敗する準備が整っていることになります。ことわざにあるように「Fail to prepare, prepare to fail 準備を怠るということは、失敗する準備をしているということ」です。
これは、あらゆる目的を達成するために必要なことを強調するのに最適なフレーズです。つまり、準備を怠ることによって、失敗するよう仕向けている、あるいは、準備をし損ねれば、失敗しやすい状況を作り出すことになるということです。
アメリカ建国の父であるベンジャミン・フランクリンが、成功するためにはいかに準備が大切であるかと書いたことが、この言葉の元になっています。フランクリンは、また、「準備をしなければ、うまくいく望みを捨てていることになる」とも言っていました。
このことわざを聞くと、私が10歳くらいのころ、金曜の夕方になると、母が私を近所のフィッシュ・アンド・チップスの店に行かせ、大家族の食事を買ってこさせたことを思い出します。注文はいつも長くて、いろいろな品物が含まれていました。注文を受ける人に渡すために母からもらった買い物リストがなければ、間違いなく家族の誰かがお腹を空かせていたことでしょう。
このことからも、監査を成功させるためには、私の母のように必要なものをすべてリストアップしておくことの重要性を再確認することができます。これを怠ると、間違いなく物事がうまくいかなかったり、完全に見逃してしまうことになります。その結果、監査プロセスが非効率になり、コストがかかる可能性があります。
効果的な計画の策定
監査に必要な計画の時間は、組織の規模や複雑さによって異なりますが、相当量の調査を含む十分な時間を割り当てることが重要です。適切な計画を立てることで、実際の審査が顧客と認証機関の双方にとって効果的なものになります。
このリストには、以下のようなものが含まれます。もちろん、このリストはすべてを網羅しているわけではありません:
- 適用範囲と評価基準/基準を確認する;
- 被審査側と連絡を取り、審査の日程、時間、審査員が注意すべき機密事項などの取り決めに合意する;
- 過去の審査報告書 (あれば) を見直し、過去の審査結果や指摘された不適合事項を確認する;
- 被審査側に発行する審査計画書を作成する;
- チェックリストの作成;
- 担当者/チームメンバーとチームブリーフィングを行う;
- 顧客のサイト訪問の手配をする;
- ホテルの宿泊を手配する
要約すると、上記のような時間のかかる作業の数を見ても、審査員が各審査のために行うべき準備作業はかなりの量になります。
ISO審査員としての私の経験から、審査員が審査を実施するのに適切な準備をするためには、審査時間全体の少なくとも20%の割合を審査計画に割り当てる必要があると考えています。これを怠れば、プロセスは有効に機能しません。