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環境審査/監査に関するISOのガイダンス

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環境審査/監査に関するISOのガイダンス

品質マネジメントシステム審査/監査について、ISOの品質担当の委員会 ISO/TC 176内の小委員会 (SC2) にISO 9001 Auditing Practices Groupと呼ばれるグループがあり、ISO 9001:2015を審査/監査する際のガイダンスを発行していることをご存じの方もいらっしゃると思います。現在、環境マネジメントシステム審査/監査についても同様のガイダンスを提供する文書を作成作業中です。
環境審査/監査と関連の環境調査を対象とする作業グループであるISO の小委員会 (ISO/TC207/SC2) の議長であるナイジェル・リーヘイン (Nigel Leehane) に、この環境審査/監査に関するガイダンスについて、また、この作業においてCQI とどのように連携しているかについて、そして環境審査/監査の将来について話を伺いました。

quality.org に掲載の英文記事はこちら

環境マネジメントシステムの審査/監査とは?

環境及び持続可能性コンサルタントであるリーヘインは、組織が自分たちの環境パフォーマンスをマネジメントするためのプロセスを監査し、メカニズムが効果的に機能しているかを確認するためのマネジメントシステム審査/監査の標準を策定するこのISO の小委員会の委員長です。

「組織は審査/監査を行うことにより、まず、自分たちは環境上のリスクと機会を洗い出すために適切なプロセスを持っているか、適切な環境イニシアティブとパフォーマンス目標を設定しているか、そして、自分たちの活動をマネジメントし、自分たちが設定したレベルを達成しているかをチェックすることができます」とリーヘインは説明しています。

環境審査/監査のためのガイダンスの策定

環境審査/監査のためのISO 小委員会は、ISO の品質マネジメントの委員会と連携しており、両方の委員会は一貫したアプローチを採用しています。現在、環境審査/監査の小委員会は環境マネジメントシステムの担当委員会と国際認定フォーラム (IAF) と協力して、品質マネジメント委員会ですでに行われた作業を参考に環境監査のための簡単なガイダンスを作成しています。

リーヘインは、「すでに品質委員会がIAF (国際認定機関フォーラム) と一緒に作成している、まったく同じアプローチの、ただし品質の観点からのガイダンスを私たちは参照しています。品質委員会のものは、『審査の最適実施要領ガイダンス Auditing Best Practice Guidance』*と呼ばれていますが、私たちは品質委員会の行ったことを検討し、品質のガイダンスと同等かつ矛盾しないガイダンスを環境の観点に立って作成しているのです」と言います。
*この品質審査のガイダンス文書は ISO 9001 Auditing Practices Group から閲覧できます。
なお、JACB (日本マネジメントシステム認証機関協議会) がこの文書の日本語訳をウェブサイトに掲載しています。

CQI との協力関係

ISO がクオリティの専門家とどのように連携しているかについて、リーヘインは「環境及びクオリティの専門家はISO の枠組みの内外でお互いにやり取りをしています。例えば、IEMA (Institute of Environmental Management and Assessment) は最近、環境審査/監査が将来直面するであろう問題に関する論文を発表しました。これには2つの理由があります。1つ目は、環境審査に関してIEMA のメンバーを支援するという戦略を再活性化するというIEMA 自身の利益のためです。2つ目はISO の環境監査小委員会へ重要なインプットをすることができるようにするためです。さらに、CQI に連絡を取り、 (私が著者となる) 論文について助言を得たので、クオリティの専門家からのインプットもあると言えます。」ということです。

環境審査の小委員会がCQI と協力するための正式な取り決めはありませんが、この2つの組織の間には非公式ながら関係があるとリーヘインは言います。「私のような環境の専門家は、クオリティや安全衛生などの分野の専門家と話をし、相談をし、連絡を取り合うように努める必要があります。クオリティに関することについての相談先はCQI です。ISOがこのような形でこれらの組織との関係を維持し、協力していけるかは、個人の努力にかかっています」。

環境審査/監査の将来

環境監査の将来を考えると、姿を現しつつある、最近の状況は環境審査員/監査員に新たな難題を投げかけると思うとリーヘインは言います。「審査員/監査員は、例えば安全衛生、品質、エネルギー、環境など、複数の分野にわたる技能をもっていて当然という期待から統合審査/監査がますます増えていくことが予想されますが、これは審査員/監査員にとって極めて難しい問題です。」

さらに、社会的及び倫理的なパフォーマンスの問題がますます注目されるようになってきたのに伴い、環境審査員/監査員はこれらの問題により関与するよう求められるようになるでしょう、とリーヘインは付け加えました。「また、より戦略的なレベルで審査/監査できる審査員/監査員へのニーズや期待が高まっています。確かに、ISO 14001とISO 9001の2015年版では品質と環境に関してより戦略的な観点が強調されており、審査員/監査員はこれに対応するためにビジネス及び戦略に関わる技能をもつ必要が出てきました。また、審査員/監査員は上級管理層を監査することが期待されています。これはどちらの規格においても新しい要求事項です。したがって、こういったことも大きな課題となるでしょう。」

リーヘインは、規格の変更以外にも、新しいテクノロジー重視が審査員/監査員にとっての難題となる可能性も指摘しています。「電子データベースの審査/監査が期待されていますが、これは一部の審査員/監査員にとっては馴染みのないことです。ビデオ会議やその他の形式のコミュニケーションを介して人々を審査/監査するためのテクノロジーを利用することは、審査/監査の状況がこれからどのように変わっていくのかを示す例と言えます」。

しかし、新しいテクノロジーだけではなく、例えば優れた判断力やコミュニケーションスキルなど、従来からの技能を保持し、鍛えることは、審査員/監査員にとって依然として重要であるとリーヘインは言います。「上級管理層とコミュニケーションし、審査/監査のもたらす価値を証明できるかが非常に重要です。審査/監査とは、単にチェックボックスにチェックを入れ、フォームに記入することではありません。審査/監査とは、組織が自分たちのパフォーマンスを理解するのを助け、組織の改善のための新しい潜在的な機会を見つけることです」。

ナイジェル・リーヘインについて

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ナイジェル・リーヘインは、25年以上にわたり、組織の環境及び持続可能なパフォーマンスにフォーカスした環境マネジメントのコンサルタントを行ってきました。戦略策定、環境及び統合マネジメントシステム、CSR、炭素排出量算定及び気候変動の緩和に関わるものです。

リーヘインには、製造、石油及びガス、化学製品、食品及び飲料、鉱業、建設及び運輸を含む、工業インフラのセクターにおける環境マネジメントの豊富な経験があります。

環境マネジメントシステムのISO 14001:2015、マネジメントシステム監査のためのISO 19011: 2018及び、労働安全マネジメントシステム規格 ISO 45001:2018 など、さまざまなISO の作業部会に長年にわたり、英国代表として参加しています。現在は、環境持続可能性報告書の保証についての規格、ISO 14016 Environmental management — Guidelines on assurance of environmental reports (現在CDの段階) の開発に参加しています。

また、環境監査のISO 小委員会 (TC207/SC2) だけでなく、英国規格協会 (BSI) の「環境マネジメント – 環境パフォーマンス評価、環境監査、報告、環境表示及び関連する環境調査」の小委員会 SE/1/2 の議長も務めています。リーヘインは、EHS (環境、安全衛生) マネジメントシステム、環境監査、CSR、コンプライアンス、GHG (温室効果ガス) 排出量算定及び報告、環境トレーニングの専門家でもあります。

※IRCAの各詳細は下記よりご確認頂けます。

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