サプライチェーンのクオリティに関するガイダンス
去る2019年6月9日は世界認定推進の日 (World Accreditation Day = QAD) であり、本年のテーマは、「サプライチェーンの価値を高める Adding Value to Supply Chains」でした。これにちなみ、サプライチェーンを考慮に入れたISO 9001 品質マネジメントシステムの審査のためのガイドが英国の産業や政府をはじめとするステークホルダーグループにより発行されました。
インターネットの発展など、情報技術の進化により、サプライチェーンが国境を越え、広がっています。今回発行された、『Quality in the Supply Chain – A guide to what makes a ‘good’ ISO 9001 audit from the perspective of the customer and an organisation certified by an accredited certification body』では、このような状況において、認定された認証の果たすべき役割が重要になってきていることを説き、有効な認証とするためにはどのような審査が望ましいかについてガイドが提供されています。
>>「Quality in the Supply Chain」の冊子はUKASのウェブサイトから閲覧/ダウンロードできます
このガイドは、QMS 審査を成功に導くための要素と認証機関と審査員が顧客の期待を満たすことの重要性を説いています。そして、審査員のトレーニングをする人たち、そして組織のクオリティマネジャーに、トレーニングで利用できるベストプラクティスガイドを提供するために企画されています。また、CPD として、審査員/監査員やクオリティマネジャーが読むこともできます。
全体は大きく分けて:
- 序文
- 審査の際に考慮 (take into account) しなければならない要素
- 参考文献 – 関連の、及び参考となる文書
から成っています。
序文では、認定された認証の役割を示すとともに、よい審査をするために認証機関が取るべきステップが提示され、「契約のレビュー」時に適用範囲と認証の状況 (context) を完全に理解することの重要性、十分な時間を割り当てることの重要性、審査チームの力量を確実にすることの重要性、QMS の意図した成果は何かを理解することの重要性、そして第一段階審査でこれらのことすべてを確認しなければならないとしています。また、組織と組織のQMS に関するリスクを完全に理解すること、関係性、プロセス、リーダーシップ及び組織の状況を考慮に入れたプロセスに基づく審査の実施、意図した成果を達成するQMS の能力について報告、その他が示されています。
審査の際に考慮しなければならない要素としては:
- 組織及び組織の状況の理解
- 審査の準備及び実施
- 利害関係者のニーズ及び期待
- リスクに基づく考え方
- リーダーシップ
- 設計の審査
- 調達
- 製造及び組立
- 報告
が挙げられ、それぞれの要素において調査すべき代表的な事項が箇条書きで示されるほか、審査員がそれをどのように審査することができるかについてのヒント、そして、それぞれのトピックに対し、効果的ではない審査の例が付され、その内容は具体的でわかりやすい形で示されています。
また、今回の世界認定推進の日に合わせて、サプライチェーンのマネジメントに関するビデオがIAF/ ILAC から公開されています。
>>IAF と ILAC のビデオ (日本語吹き替え版) はこちらから視聴できます