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リモート審査/監査を紙ベースの企業が受けるときの注意点

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リモート審査/監査を紙ベースの企業が受けるときの注意点

>quality.org の英文記事はこちら

CQIに登録するクオリティプロフェッショナルであるSarah-Jayne Henderson CQP MCQIが、紙ベースのシステムで効果的にリモート審査/監査に対応する方法について説明します。

なぜまだ紙ベースなのか

情報技術 (IT) が発達した現代において、いまだに紙ベースの企業が多いのは意外に思われるかもしれません。しかし、ライフサイエンスなどの一部の業界では、紙ベースの運用がまだ比較的一般的な慣行となっています。

これにはいくつかの理由があります。製品製造のためのハイエンド機器のほうが電子化した品質マネジメントシステム (eQMS) より優先される場合、企業はある分野では技術競争から取り残されるということがあるのです。

このような企業は規制で厳しく縛られており、膨大なデータに基づき製品を作っている場合がよくあります。データ、その完全性 (インテグリティ)、そしてデータが実際にどのように保存されているかが最も重要です。

つまり、データが明確で、簡潔で読みやすく、製品のライフサイクルに応じて非常に長い期間、安全に保管されることが重要であるということです。当然ながら、変化に対して少し抵抗がある企業もあります。コンピュータの電子バックアップシステムが充実している場合でも、紙ベースのシステムを排除する前に、データが保護され、完全に検索可能であることを確認するために、徹底した検証を行う必要があります。

これには、時間とお金、そしてちょっとした知識とITのノウハウが必要です。これは、手順やデータ、報告書などの文書化におけるペーパーレス化への移行を遅らせることを選択する企業が抱える理由の一例です。

遠隔からのコントロール

遠隔から審査/監査を準備する

では、紙ベースのシステムの場合、どのようにリモート審査/監査に対応すればよいのでしょうか。とはいえ、そんなに選択肢はありませんが。

私が最初に取り組んだのは、ビデオ・コミュニケーション・プラットフォームに慣れることでした。Microsoft Teamsはうまく機能しているようです。しかし、もちろん、Zoom、Skype、WebExなど、ビジネス界でよく使われている他の選択肢もたくさんあります。

次に、文書の整理です。紙ベースのシステムなので、スキャンが多くなります。幸運にも、すでに誰かがスキャンしてくれているかもしれません。大多数の企業は、文書保管庫を設置しています。

私は、審査員/監査員との最初の接触では、秘密保持契約書に署名するよう求めます。これには、データ保護に関する言及が含まれ、審査/監査期間中、審査/監査前、審査/監査後に電気記録装置を使用しないこと、スクリーンショット/写真を撮らないこと、共有ドライブから文書をコピー/ダウンロードしないことなど、審査/監査実施に関するいくつかの重要な点が記述されています。

機密保持契約が会社の法務チームによって承認されたのち、安全に文書を共有するためにMicrosoft SharePointを設定し、そこでファイルを使用します。誰がファイルにアクセスできるか、その人が読めるか、編集できるか、あるいはその両方ができるかは自分たちがコントロールできます。ファイルを作成すれば、審査/監査開始の前夜に関連書類をアップロードすることができます。

審査/監査を引きずらないように、それらの文書へのアクセスを遮断する期限を設定することが重要です。これについては、後で驚くことがないように、あらかじめ審査員/監査員と合意しておく必要があります。審査員/監査員は面倒なのを嫌い、構造化されているのを好むので、文書類の構成はシンプルにしましょう。フォルダを使用して、「トレーニング」や「妥当性確認 (バリデーション)」など、トピックごとに手順を保存します。

審査/監査のアジェンダに合意する際に、スマートフォンやタブレットを使った施設のバーチャルツアーに対応するよう要請されることがあります。これには、ある程度の配慮が必要です。例えば、特定の化学物質が使用されている場所に行くときなど、安全衛生担当者の意見が必要な場合があります。これらのハードルを乗り越えるプランができたら、だれにツアーを任せるかを検討しましょう。企業によっては、建物や部署を飛び越えるツアーもあるため、複数のSME (Subject Matter Expert その分野の専門家) をツアーの各パートごとにTeamsに招待して参加させるのがよいでしょう。

リモートで参加する私はホストとして通話に残り、チームメンバ-が私と審査員/監査員と同じ通話に参加することで、現地ツアーを案内します。この場合、私は裏方として、文書請求をメモし、準備するなど、ツアーがスムーズに進むようにサポートする役割を担います。

遠隔から審査/監査に対応する

アジェンダと文書が準備されると、いよいよ審査/監査が行われます。私は常にSMEを待機させ、審査員/監査員からの具体的な質問に (例えば、その逸脱報告の作成者が) 答えられるようにしています。Teamsで会議の招待を1つ設定し、必要に応じてリンクを使用して通話に参加してもらうのが簡単だと思います。

審査/監査は、初回会議で会社の概要を説明するプレゼンテーションから始まります。初回会議には、通常、審査員/監査員、審査/監査対応をする人、および各部門の責任者など、関係者とみなされる人が参加します。続いて、バーチャルツアーを行う場合があり、その後、要求された文書の確認が行われます。これらを共有するために、SharePointを利用することができます。

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審査/監査が終わったら

審査/監査が終了したら、SMEや部門長に審査員/ 監査員との最終会議に同席してもらうと効果的です。最終会議では、通常、審査員/監査員から審査/監査の実施に関するフィードバックや、指摘事項が伝えられます。順守されていない規制ガイドラインや社内手順が、観察事項ごとに提示されると思います。

最後、審査/監査の終了時には、同僚に審査/監査に関するフィードバックを求めるとよいでしょう。審査/監査後すぐに同僚と「得た教訓」のセッションを行えば、次回に向けた改善策について皆でアイデアを出し合うことができるので、とても有効だと思います。リモート審査/監査は、実際、協力して行う取り組みであり、パンデミック時にビジネスを前進させるための一つの方法と言えるでしょう。

CQI レポート The Future of Work 未来の働き方
IRCAテクニカルレポート:ISO22000:2018