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サプライヤー監査に関する新しい英国規格

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サプライヤー監査に関する新しい英国規格

ESG投資やSDGsなどによるイニシアチブのもと、グローバル企業を中心に、EHS(環境、健康・安全衛生)を一体的に推進し、企業の信頼性を高め、実証するための活動がますます重要視されてきています。
これらの活動はもはやサプライチェーン全体を対象としており、対外的にその信頼性を実証するために、有効なサプライヤー監査の実践が必須条件と認識されつつあるのが実情です。この実現に向けて、国家、業界、個別企業などさまざまな単位で具体的な施策が取られています。
今回は、イギリスにおけるサプライヤー監査に関わる国家規格策定の動向についてリチャード・グリーンからのレポートをご紹介します。

サプライチェーンにおける信頼性の確立 – 英国の新しい英国規格開発への動き

他の多くの国と同じく、調達プロセスやサプライチェーンにおける取引関係における質と透明性に関して、英国内で懸念が広がっており、これは特に公共調達で顕著となっています。企業が信頼性をどのように証明するかについて、なんらかの形で一貫性を持たせようとする強い欲求と、その緊急性の兆候が現れてきています。

2016年以来、英国規格協会のワークショップ、各種のホワイトペーパー、さまざまな機関や政府機関からの一連のインプットを受け、組織が他の組織に信頼性を必要十分に示すための標準的な要件の考え方が発展してきています。この成果が新たな規格案であり、その実現可能性に関わるフィードバックを得るため、慎重に選定された組織グループに対して最近規格案が公開されました。

この規格は、既存の業界、セクター、または政府の制度やガイドに取って代わるものではなく、これら既存の基準をサポートするものであることを理解する必要があります。組織の倫理、価値観、行動、持続可能性に関連する主要な基準に合致していることを公式に示すための共通の包括的な枠組みを提供することによって、これら既存の基準をサポートするのです。

この規格は、調達プロセスの担当者が、入札及び、購買契約を締結する際、サプライヤーをより正確に評価できるようにすることを目的としています。

またサプライヤーを評価するために契約を申請することを検討している組織においても、使用されることが期待されます。

ドラフトの現在の構造

この規格案では、ISO 9004:2018 と同じく一連の評価基準が提示され、それに対して組織を評価します。しかし、組織自身が自己評価をし、どの段階 (tier) に自分たちがいるかを決定するISO 9004と違い、組織がどの段階に属しているかは、認証機関による審査後に、外部機関が決定します。

現在、3段階の信頼性が設定されています。Tier 3 の組織は、製品またはサービスを提供する能力の点で、もっとも信頼性があると判定された組織であり、Tier 1 あるいはTier 2 の組織に比べ、より厳しい要件を満たしています。

判断の基準は累積的であり、Tier 2 の組織はTier 2の要求事項をすべて満たすだけでなく、Tier 1 の要求事項もすべて満たしていることが証明できなければなりません。また、Tier 3の組織は、Tier 1のすべての要求事項、Tier 2 のすべての要求事項、Tier 3 のすべての要求事項を満たしていることを証明する必要があります。

この新しい規格に照らした監査について、認証機関とUKAS (英国認定機関) の協議がすでに始まっています。

現在の草案は8つの大箇条と1つの附属書 (手引) からなっています。

  • 箇条1 はなぜこの規格を開発したかに関する全般的な序文です。
  • 箇条 2では、この規格案に記述されている基準により、組織が製品及びサービスの外部提供者として適切であること、また契約先の要求事項を満たす製品及びサービスを確実に提供する能力をもつことを証明することができるとしています。
  • 箇条3 は、この規格案で使われている用語と定義を提示していますが、これにはISO 9000:2015の用語と定義とともにこの規格固有の用語と定義が多数含まれています。
  • 箇条4と5はおなじみの「組織の状況」と「リーダーシップ」です。これらは、ISO 9001:2015のものとほとんど同様ですが、製品とサービスの提供に特化されています。
  • 箇条 6では「外部提供者としての適性」という標題のもと、倫理、社会的責任及び持続可能性、並びに財務適合性、法令順守とオペレーションの計画に関する細分箇条が提示されています。
  • 箇条 7は、製品及びサービスの特性、製品及びサービスの提供プロセス、並びに調達実績の監視、測定及び評価のプロセスに関する要求事項を含む、品質マネジメントと保証の要求事項を提示しています。
  • 最後に箇条8「改善」では、組織は製品及びサービスとその提供について継続的に改善するよう尽力しなければならないとしています。
  • 附属書 A は、評価対象の組織をどの段階に分類すべきかを決定するために監査員が求めるべき証拠の種類に関する手引きを提供しています。

規格案のパイロットプロジェクト

2015年5月、慎重に選定された複数の組織が、この新しい規格案のパイロットプロジェクトに参加するよう要請されました。パイロットプロジェクトの参加組織には、現在の規格案の内容、使用されている文言が明確かどうか、また実施に役立つ何か追加の手引が提供されるべきかに関するコメントが求められました。

参加組織には、地方自治体、ITソリューションプロバイダー、専門技術コンサルタント、多品種製造業、登録非営利組織及び非営利住宅供給者協会などが含まれています。この組み合わせは、規格案がすべてのビジネスセクター及び分野、大企業から小規模組織までに適用できることを確認するために選ばれました。

このパイロットプロジェクトによりわかったことは、評価基準及び判断のシステムの両方について最終化するためには追加の作業が必要ではあるが、全体的に見れば、この草案をもとに進めていって問題はないということです。使われている言葉は理解しやすく、要求事項は小規模な組織にとって不利なものにはならないと考えられました。そして、もっとも重要なのは、参加した組織がこの新しい規格を実施することは面倒ではないと思ったということです。

規格発行までのスケジュール

現在、この規格の開発は、QS/1/2/1に割り当てられています。QS/1/2/1はこのプロジェクトのために特別に組織された新しい英国規格委員会のパネルです。このパネルは、8月16日に最初の会合をもち、現行の草案とパイロットプロジェクトの期間に受領したコメントについて検討しました。現在、9月24日に予定されているQS/1/2/1の次回会合に先立ち草案の修正作業が進行中です。

この会合のあと、改訂された草案は広く意見を求めるために公開されます。

現時点では、この英国規格は2019年9月に発行される予定です。

CQI レポート The Future of Work 未来の働き方
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