わかりやすい監査報告書を作成するには
監査実施において、プロセスの最終段階は最初のステップと同じくらい重要です。Elliem Consultingのディレクターであり、CQIのAudit Special Interest Groupの副会長であるJennie Clark CQP MCQIが、監査で特定された問題を明確に報告する方法を明らかにします。
わかりにくい報告書は何が問題か
私は最近、ある第三者認証機関の審査を引き受けました。私は別の審査員からそのクライアントを引き継いだのですが、被審査者側でも以前の品質マネジャーが退職したため、新しい顔ぶれでの審査となりました。
レビューすべき過去の訪問時の所見がたくさんあり、そのプロセスが難しいことに驚きました。私たちはどちらも以前の審査に参加しておらず、所見のログと前回の報告書のどちらにおいても、記録された所見は明確とは言い難いものでした。そのうちのいくつかは、その所見が何を意味しているのかわかりましたが、結局、3つについてはそのままクローズすることになりました。単純に、その所見が何に関連するものであり、対処するためにどのような処置が必要なのかが分からなかったためです。
なんという時間の無駄、なんという改善の機会の逸失でしょうか。言うまでもなく、比較的短時間で済むはずのレビューが、必要以上に長くかかり、残りの審査の実施に影響が及びました。
このとき、ある大きな組織で監査の実施プロセスをマネジメントしていたときのことを思い出しました。ある被監査者が、内部監査チームの一人から指摘を受け、絶望的な思いで私に電話をかけてきました。その所見とは、単に「トレーニング記録の一部に不備がある」というだけのものでした。これに対して彼がぶつけてきたのは、「いったいどのトレーニングを指しているのか、どうやって調べればいいんだ。100人以上のスタッフがいるのに!」という単純な疑問です。
管理者は監査員のところに行き、説明を求めました。その監査員からは、「5つほどファイルを見たが、いくつか欠けているものがあった」以上の情報は得られませんでした。当然のことながら、この所見は棚上げされました。
すべてはディテールの中にある
私は、他の人が書いた審査報告書を定期的にレビューしています。報告書を書いた人からは衒学的と思われるかもしれませんが、私のコメントや修正依頼は、まさにこうした事態を防ぐためのものなのです。
新任の審査員と仕事をするときも、同じようなアプローチで臨んでいます。極めてシンプルなことです。
- 満たされていない要求事項を詳述し、問題に関連する箇条および規格または社内手順を明確に特定すること。
- 問題を説明する証拠を詳述すること。
1点目を説明する例としては、次のようなものがあるでしょう。「ISO9001では、組織が (品質方針に) QMS (品質マネジメントシステム) の継続的改善へのコミットメントを含めることを要求している(5.2.1d項)。品質方針 (1.4.21付け第4号) をレビューしたところ、この要求事項が満たされていないことが確認された。」
2点目も簡単に対応できます。ここで必要とされる詳細は、次のように明確かつ正確なものとなるでしょう。「ISO9001の箇条6.3では、組織として変更を計画する際に、責任と権限の割り当てを考慮するよう求めています。最近の保管機能の再編成により、保管アシスタントというポストがなくなりました。しかし、保管マニュアルに記載されているこのポストの職務は再配分されておらず、その結果、鋼材の予約やガス供給の週次棚卸など、多くの重要な業務が実施されていません。」システムの改善
システムを改善する機会がある場合にも、同じようなアプローチが可能です。
例えば、こんな感じです。「組織は、ISO9001の箇条6.1で要求される利害関係者のニーズと期待を考慮したが、工業団地のレイアウトに加えられた変更と、増加し多様化する "近隣住民 "に照らして、保有する情報が最新かつ適切であることを確実にするために、これらを見直すことが望ましいだろう。」
あるいは別の例を挙げてみます。「ISO9001の箇条7.5.2cでは、文書化した情報の適切なレビューと承認が行われることを組織が確実にすることが要求されています。 現在、このプロセスでは、複数の拠点にいる複数のスタッフによる承認が行われています。組織は、電子署名ソフトウェアを使用して、このプロセスにかかる時間を短縮する機会を検討することをお勧めします。」
教訓
次に所見を書くときは、次のような質問を自分に投げかけてみてください。
- 明確か?
- 審査/監査に関与していない人が、要求されていることを理解できるか?
もし答えが「いいえ」なら、その所見をもう一度見直して、完全に明確にしましょう。
審査/監査とは、改善を推し進めることです。被監査者は、所見が挙げられることを嫌がるかもしれませんが、実際に何をすることができるかを示してくれたことに感謝することでしょう。