IRCA-マネジメントシステム審査員/監査員の国際登録機関 > 専門情報 > 認定研修機関情報 > 第三者認証審査員となるための効果的なトレーニングとは?

第三者認証審査員となるための効果的なトレーニングとは?

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
第三者認証審査員となるための効果的なトレーニングとは?

認定された認証機関ロイドレジスタークオリティアシュアランスリミテッド (以下LRQA) はCQI|IRCA の認定トレーニングコースを実施する認定研修機関でもあります。CQI|IRCA の認定トレーニングコースの修了試験は世界共通の試験ですが、LRQAではコースそのものも、世界共通のコースであり、グローバルスタンダードな審査員の育成を目指しています。LRQAの品質及び食品安全の審査員であり、CQI|IRCA認定ISO 22000審査員/主任審査員トレーニングコースの講師も務める赤谷淳一さん (IRCA登録 QMS 及び FSMS Lead Auditor) に、LRQAのCQI|IRCA認定コースにはどのような特徴があるのか、LRQAの講師になられるまでのご経験、また、審査員を目指す方へのアドバイスなどをお聞きしました。

LRQAの審査員/主任審査員トレーニングコースの特徴


Mr-Akatani-LRQA.jpg

 





 ロイドレジスタークオリティアシュアランスリミテッド
 CQI|IRCA認定 ISO 22000:2018 審査員・主任審査員トレーニングコースほか担当
 赤谷淳一講師 (IRCA QMS及び FSMS Lead Auditor)

IRCA: LRQAのCQI|IRCA 認定審査員/主任審査員トレーニングコースは、日本をはじめ世界各地で実施されていますが、コースの設計と開発は英国のLRQA本社が行っていると伺っています。海外で開発されたコースとして、特徴的なことはありますか?

赤谷さん: LRQAでは、審査員/主任審査員トレーニングコースのミッションとして、単にIRCAのAssociate Auditor の資格を得るためテストに合格するだけなく、実際に審査を行えるようになることが重要であると考えています。そのためには、講師が一方的に届けるというスタイルではなく、研修を受ける人自身に自発的に参加してもらう必要があると考えています。講師の役割は、それをファシリテートすることです。自発的に参加していただくためには、絵を描くなど、さまざまなアクティビティを取り入れています。また実際の審査環境を模擬的に体験できるよう、FSSC審査員コースでは実際に海外の製造工場にお願いして、社長を始め、各担当者が参加したビデオを撮り、バーチャルツアーとして5日間のトレーニングを通して審査の疑似体験をしていただくことにより、審査の流れをしっかりと体験できるようにしています。コースに参加される方は第三者審査員を目指している、あるいは内部監査や二者監査の技能を高めたいなど、皆さん、しっかりした目的をもって参加されていますから、実務で使えるような知識やご経験を短い期間ではありますが、積んでいただくことを重視しています。

例えば、コースの最初に他己紹介で、今回参加した目的を相互に発表するというアクティビティを行いますが、そこからもうロールプレイングが始まっているわけです。

また、トレーニングコースの講師は審査の実務を担当しているので、秘匿性の範囲内で具体的な管理事例、あるいはこういったことで不備、不適合が出やすいというような実務に即した教え方、理解を促進することができるのが強みだと考えています。

なお、最終的にテストに合格し、Associate Auditor になっていただくこともコースの重要なミッションですから、LRQAでは、CQI|IRCAの承認を得た同じ教材をワールドワイドで使用しています。本国で受講するのと変わらないクオリティを確保するという点で、翻訳作業の時点から効果を高める日本語にする、コースウェアをつくるということに留意し、進めています。

IRCA: LRQAのISO 22000のコースでは、FSSCの要求事項もカバーされているとのことですが、FSSCは要求事項も細かく、一緒に学ぶのは難しいとも聞いています。その点について、どのようなことに気を付けていらっしゃいますか?また受講者にとってFSSC の要求事項もカバーしているコースを受講することに利点はありますか?

赤谷さん: 現在の状況を見ると、食品マネジメントシステムの認証の 90%がFSSC の認証であり、世の中のトレンドですから、これを無視して実務につなげることはできません。先ほど申し上げたように、LRQAでは、実際に審査業務で使える知識、それから経験を、コースを通じて積んでいただくことを大きなミッションであると捉えているので、FSSC の要求事項も組み込んでいます。おっしゃるとおり、非常にタイトなスケジュールの中でFSSC を学んでいただくことになりますが。

ただし、修了テストはISO 22000に対するテストであり、FSSCの部分はテストには出ません。したがって、混乱しないように、しっかり仕分けしてお教えし、そこを理解した上で聞いていただくようにしています。

なお、受講者からはFSSCはISOより具体的なので、FSSCの要求事項を学ぶことで、ISO 22000についても逆に理解が深まったというフィードバックもいただいています。

LRQAの審査員及び講師になるまで

IRCA: 赤谷さんは、LRQAで現役の審査員として、審査を実施する傍ら、CQI|IRCA認定審査員/主任審査員トレーニングコースの講師も担当されているわけですが、審査員になったきっかけや、講師を務められるようになったきっかけも含め、差し支えなければ今までのキャリアの概要を教えてください。

赤谷さん: 私にとって、ロイドレジスターは3社目の会社です。1社目はパンの製造業で、11年勤め、そこで工場へのHACCP (ハサップ Hazard Analysis Critical Control Point) 導入リーダーを担当し、製造や品質管理、開発など多岐にわたる業務を経験しました。

その後、外資のインターネット小売りの企業に転職し、5年間、その会社が年率3割くらい伸びている時期に倉庫の立ち上げリーダーを経験し、新規従業員の採用、トレーニング、新しい機械の選定、導入やテストを担当しました。いかにリードタイム、つまり注文を受けて発送するまでの時間を短くするかに腐心し、改善のファシリテーターをしていました。改善を教える人として、改善の手法、QCやシックスシグマなど、いろいろな手法を伝道する役割を担っていたのです。

それから、今のLRQAに入る前に少しブランクがあり、家族を連れて、オーストラリアに留学し、修士号を取得しました。本当はそのままオーストラリアで暮らしたかったのですが、ビザが厳しく、日本に帰り、ご縁があって、LRQAに入社しました。

IRCA: パン製造や倉庫でのご経験は、どのように今の講師の業務に生かされていますか?

赤谷さん: パン製造の11年のキャリアのメインが製造現場を一からつくっていくことでした。食品安全の審査員となる方は、品質保証から来る方が多いですが、自分は製造が主務だったので、製造について経験から学んでいます。ですから、例えば三現主義、現場、現物、現実を経験からお伝えすることができることが強みかなと思っています。特に新規の工場は日々トラブルがあるので、実際に運用するときにどういうところが肝になるかがわかります。審査員としても、この経験は生きていて、現場の力の入れどころ、手の抜きどころがわかるというところがあります。

また、倉庫では、年率で3割伸びているという稀有な時期でしたから、サービスを日々進化させる、来月までにこういったサービスを立ち上げるというようなプロジェクトが連発して起こってきます。例えば、商品を手で包むギフトラッピングを1月後に立ち上げようとか、ものすごいスピード感で動いていくわけです。それを、多いときには1,000人規模に周知するということもありました。そういうときに、どう効果的に伝えていくかというのは、いろいろ工夫しました。1,000人規模で標準化を展開するというのは、普通の企業ではなかなかないと思うので、そういった経験はお伝えできますね。

IRCA: おそらく人の入れ替わりも激しい中で、いろいろなレベルの大勢の人に新しい取り組みや手順を伝えるのにはご苦労もあったと思います。御社のトレーニングコースを受講する方たちの場合ではまったく関連の知識がないという方はいらっしゃらないと思いますが、知識レベルがまちまちな受講者の方たちに向けて、どのように効果的に伝えていくのか、何か工夫されている点はありますか?

赤谷さん: おっしゃるとおりで、講師が受講者の方のレベルをいかに把握し、効果を高めるかというのは重要なポイントであると考えています。前提として食品安全のバックグラウンドがある方というのはありますが、やはり千差万別です。例えば、食品安全のトレーニングだとHACCPが中核にありますが、HACCPとは何ですかと言ったときに、やはり理解レベルが違うということがあります。弊社のトレーニングコースでは、例えば、HACCP を知らないという人に対してもHACCPを平易に理解できるように、グループワークでHACCPの手順が記入されたカードをグループメンバーと話し合いながら並べ替える演習など、いろいろなツールを使って対応しています。私が受講者との対話の中で、理解レベルを判定して、必要に応じてそういったトレーニングも取り入れていきます。

IRCA: 今のお話しを聞いていても、LRQAで講師となるためにはさまざまな資質や力量が求められていると思いますが、特にLRQAで講師をするために求められているものは何だと考えていらっしゃいますか?

赤谷さん: 弊社のコースでは、参加している人が自発的に学ぶことを重視していますので、ファシリテートする能力が求められています。また、弊社では、グローバルでつくられた、標準化されたコースを展開していくのですが、講師になるための厳しい要求があります。講師のトレーナーがいて、初期の段階では厳格な社内基準に基づき、私が講師を務めるところをそのトレーナーが確認して、それにパスしないと講師になれません。そういった意味ではそこで資質も見られているということになります。

講師のトレーナーからは、改善点だけでなく、グッドポイントも指摘してもらえます。私のトレーニングコースの場合は、受講者の方の笑顔がいっぱいあって、活気があっていいねというフィードバックをもらいました。そういったところは自分自身の強みかなと思って、自信につながっています。改善点はいろいろあり、細かい指摘もしてもらえます。例えば、模擬審査で方向性が違ってきてしまっているときには、もうちょっとリードしてあげたほうがいいよといったことですね。

また、講師になったあとも、英国からのグローバルな、講師のためのトレーニングコースがあります。最近受けたものではビジュアルファシリテーションのトレーニングがあります。昨今のリモート環境に対応したもので、お絵描きスキルを高めて、どのようにお絵描きを活用すると受講者にフローが伝わるかというスキルを学ぶ機会がありました。夜中でしたが、非常におもしろかった。具体的に言うと、例えば、私は食品安全の担当しているのですが、昨今の潮流でフードディフェンス、食品防御という考え方があります。そこで、舟を組織、サメをフードテロに譬えて絵を描いて、理解の手助けをします。

LRQAでは、そのほかにもいろいろ、e-learning も含めて、グローバルでさまざまなナレッジの提供があり、私も毎月のようにそういったコースを受けて、スキルの向上を図っています。

第三者認証審査員を目指す人へのアドバイス

IRCA: 赤谷さんはトレーニングコースの講師だけでなく、第三者認証審査員としてもご活躍されているわけですが、これまでの審査のご経験の中で印象に残っている審査を教えてください。

赤谷さん: いろいろありますが、いちばん印象に残っているのは最初に経験した審査ですね。LRQAでは食品の審査員でも、環境の審査員でも、最初はQMS から入ります。QMS はベースとなるマネジメントシステムであると捉えているからです。初めての審査で、主任審査員の方について大きな化学メーカーに行きました。その会社ではISO に本当に真摯に取り組んでいました。50数名が参加するクロージングミーティングで、主任審査員の方は審査を通じての所見、改善点を的確に伝えていました。単に、認証のため、要求事項に適合しているか否かではなく、お客様は改善を求めていること、そしてそれにしっかり応えていかなければならないという期待と緊張を強く感じ、この道でやっていこうという思いが高まりました。そこでは、主任審査員が話すことに対して、皆さんがメモを取られ、納得して聞いていました。学ぼうとする意識から話している内容をしっかりメモにとってもらえる。自分が話すこともメモを取ってもらえるような内容かを今も自省しています。

IRCA: IRCAに登録する審査員の皆さんの中には企業内で内部監査や二者監査を行っていらっしゃる方も多数いらっしゃいます。今、食品安全の審査/監査に携わっている方たち、あるいはこれから学んでいこうとされている方々に対して、何かメッセージがあればお願いしたいのですが。

赤谷さん: そういった方々はもちろん所属する組織の内部で役立てたいということもあると思いますが、将来的に審査員になりたいという意向をお持ちの方もいらっしゃるのではないかと思います。自分もまさか今、こういった仕事をするというのは、仕事に就く前は想像していませんでした。やはり不安な点として、経験がなくてもやっていけるのだろうかということがありました。ただ、弊社のトレーニングコースもそうですが、入社してから体系的なトレーニングの仕組みがありますので、心配されずに来ていただき、一緒に働いていただければと考えています。

特に食品安全に関しては、メインは製造、加工をするところがISO やFSSC の認証を希望されていますが、昨今サプライチェーンの上流や下流、それこそ農産物を取得するところから、配送するというサプライチェーン全体でFSSC を取得していこうという機運が高まっており、まだまだ需要が伸びていく分野だろうと考えています。そういった面でのチャンスもあると思いますので、ぜひ一緒に働いていただけるとうれしいです。

私もパン製造の経験しかなかったので、食品とはいえ、飲料などいろいろな業種を回って本当に通じるのだろうかという心配があったのですが、そこはトレーニングがあります。ただし、FSSCの要求もそうですし、食品の関連法規もそうですが、更新されるものについては自分自身でアップデートしていかなければなりません。審査員になって4年経ちますが、日々勉強と思っています。ですから、もちろん勉強はしていく必要はありますが、自分自身の強みを生かして働くことができるので、心配せずに飛び込んでいただければと思います。

IRCA: 本日は、LRQAのトレーニングコースについて、また赤谷さんのキャリアについて、いろいろお話しを伺うことができました。また、審査員を目指す方を励ますメッセージをいただき、ありがとうございました。IRCAジャパンにも「審査員になるにはどうしたらよいのか」、「自分でも審査員になれるだろうか」というお問い合わせをよくいただきます。そういった方々にも本日の赤谷さんのお話しは参考になると思います。

どうもありがとうございました。

セカンドキャリアとして審査機関を考えている方向けのLRQAの無料セミナー情報

ロイドレジスタークオリティアシュアランスリミテッド(LRQA)では、認証審査員としてのセカンドキャリアをお考えの方向けの無料セミナーを以下のとおり開催するとのことです。セカンドキャリアについて検討されている方も、現時点では検討されてはいない方も将来の参考のために、ぜひ参加をご検討ください。

「セカンドキャリアを考える ― 審査員という選択肢」

日程:2021年7月22日(木・祝) 15時~16時(予定)

目的:第2キャリアとして審査機関を考えている方向けの無料セミナー

プログラム(案)
 ・ LRQAの紹介
 ・ FSMS審査員としての活動について(赤谷淳一審査員・講師)
 ・ 質疑応答
 ・ 8月30日(月)~9月3日(火)のIRCA認定FSMS研修コースのご紹介

詳細、お申込みはこちらから

※IRCAの各詳細は下記よりご確認頂けます。

関連キーワード

CQI レポート The Future of Work 未来の働き方
IRCAテクニカルレポート:ISO22000:2018