グローバル化する企業内でのISO推進活動
プロフィール
●氏名: | 萩尾 勝彦 |
●所属企業: | 元住友林業株式会社/品質安全マネジメント室 |
●取得資格: | IRCA EMS Principal Auditor IRCA QMS Principal Auditor IRCA OH&SMS Principal Auditor (上記登録NO. 6008604) ・その他工場や建設現場の監査、審査に役立つ資格として (環境管理) eco検定 / 産業廃棄物適正処理管理士 / 有機溶剤作業主任者/ エネルギー管理員 (品質管理) 品質管理検定 / JAS選別技術者 / 木材保存士 (安全管理) 安全管理者 / 危険物取扱者 / 高所作業車運転業務 / はい作業主任者 / フォークリフト運転業務 |
●専門領域: | (業種)・木材工業 ・二次加工(シート貼り、塗装) ・押出成形 ・建築材料研究開発 (材料知識)・木質建材/製材、合板、集成材、繊維板等 ・接着剤 ・塗料 ・防腐防蟻剤など |
●社外活動: | 株式会社シスウェイ/コンサルタント(2020~) 個人活動/ISOコンサルタント(2019~) 日本ERI株式会社/登録住宅性能認定員(2019~) (財)建材試験センター/EMS・QMS・OHSMS審査員(2017~2018) |
参画活動の概要と動機・目的
【参画活動】
- 全社ISO9001、ISO14001、ISO45001活動推進事務局(但し、海外関係会社除く)
具体的には、住友林業本社及び関係会社のISO活動支援として、内部監査、審査立合いや内部監査員養成社内研修の実施など
【概 要】
- 社内ISO活動普及率を (ISOの認証登録をした部門の社員数/全社員数19,605人)でみてみると、EMS 83% 、QMS 57% 、OHSMS 29% となる。
- グローバル化する当社事業の概要、2020年度は次の状況
①国内・海外での山林経営(植林面積約27.9万ha)・バイオマス発電他エネルギー事業(発電量約180MW)
② 〃 木造住宅販売事業(販売戸数17,817棟)、緑化事業、リフォーム事業
③ 〃 木材建材製造・販売事業(木材製品製造・販売量2,573千m3)
④国内生活サービス事業(老人介護事業、介護施設1,455室)
【動 機】
- 11年前に国内建材メーカー出向となり、EMS、QMS、OHSMSの運用を指導する立場となった。
- 当時は力量不足で、従業員100名強の工場ですら、十分なISO運用管理はできなかった。
- ある時、ISO9001の審査員に運用できてないのは、担当者や規格が悪い訳ではなく、トップの責任だと指摘され、目が覚めた。
- その後、クレーム削減をQMSの目標とし、月例会議で具体的に対策を進めることでクレームは半減した。
- EMSの活動では、産業廃棄物の分別、リサイクル、リユースで1工場で約1000万円/年のコストダウンができた。
- 同様に、OHSMSの活動も月例安全衛生会議で労災ゼロをめざし、リスクアセスメント実施により、労災件数が減った。
【目 的】
- 6年前、60歳定年を機に、審査員資格を取得し、雇用延長制度で本社ISO事務局の仕事に就いた。
- 工場出向時のISO運用体験をもとに、形骸化した全社のEMSの運用を見直すことにした。
- 折しも、ISO14001規格自体が2015年に改訂され、全社管理体制も見直しが必要となった。
- また、ISO9001の規格も同時改訂され、更に2018年のISO45001発行により、OHSMSの見直しも必要となった。
- その間、各事業は上記まで国内外共に事業拡大し、ISO運用は全社統合管理が必要な状況になってきた。
現状のご自身の活動及び, IRCAメンバーへのメッセージをお願いします。
【活動状況】
- ISO運用の有効性向上の為、内部監査員を指導し、各組織の業務とISOの一体化を図っている。
- その為には、まず内部監査員の養成や、経営層のISO教育を徹底し、運用管理の力量UPを推進中。
- 経営ツールとして、ISO拡大に際し、「自己適合宣言」を利用した認証取得までのプロセスを構築中。
- 「自己適合宣言」実施の組織については、適合審査や、認証取得までの支援を実施している。
- 各組織、事業部のバラバラな審査機関、ISO管理体制をできる限り統一し、合理化を検討。
- ISOマネジメントシステムを推進し、全社の安全衛生・品質・環境管理体質強化を目指している。
【メッセージ】
- 外部審査機関の審査員も経験し、どれほど大変か、「知力・体力・気力」が必要だと痛感。
- 一方社内では、審査員資格を取得したことで、個人評価が向上、65歳過ぎてなおシニアバンクに登録されている。
- グローバル化する企業内に於いては、内部監査員を指導できる複数の審査員レベルISO推進者が必要。
- また、グローバル化する企業内でのISO拡大、運用に当たっては、多方面にわたる経験と知識が求められる。
- 更に、今後海外工場などの指導を考慮し、社内ではIRCAの審査員取得を推奨している。
- 実際、東南アジア各工場の内部監査では、IRCA審査員の肩書が活かせた。
- お陰で初対面にも拘らず、各工場のISO担当者は、熱心に内部監査に応じてくれて、信頼を得ることができた。
【謝 辞】
- まずは、個人的にIRCA審査員資格を取得したことで、定年後の第二の人生をこの上なく有意義に過ごせていること。
- また、社内的にはISO運用支援により、全社の安全衛生・品質・環境管理の改善に少なからず貢献できていること。
- 全てはIRCA審査員に認定頂いたことがきっかけとなっています。IRCA事務局のサポートに心より感謝します。