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「HACCPシステムの弱点とその克服法」を北海道から発信する

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「HACCPシステムの弱点とその克服法」を北海道から発信する

プロフィール

●氏名:渡辺 信吾
●所属組織: わたなべコンサルタントオフィス代表
●取得資格:IRCA 登録 (QMS & FSMS)、日本GAP協会登録 Asia GAP指導員、JSA登録 JIS品質管理責任者
●活動領域:食品加工施設へのFSMS導入、HACCP3日間研修等の講師、地域企業の人材育成及びコンサルティング

参画活動の概要と動機・目的

IRCAジャパンとは国内で食品安全を指導する人材育成について何度か話し合ったことがあります。
その内容を基に食品安全に指導的役割を果たすだろうIRCA審査員/監査員に対して、装置産業型食品工場を例に「HACCPシステムの弱点とその克服法」を理解して頂くための研修プログラムを作成しました。

この研修プログラムはHACCPシステム導入済みの装置産業型食品工場で実際に発生した事故や事故に結び付きそうな「危害要因の見逃し事例」等を参考に、当該事象がHACCPシステム構築時にどの様に発生したかを解説し、更に克服法についても解説しています。

この研修プログラムの開発に至った動機は、私が平成16年当時に所属していた企業で異物混入による大規模回収事故を経験したからです。幸い消費者に身体的な被害が及ぶ事態は回避できましたが、所属企業の信頼失墜、及び人的・資金的損失は非常に大きく、企業存続の危機とも言えた状況でした。

ただ、事故を起こした生産現場は熱心にHACCPシステムの維持・管理に取り組んでいたのです。私は当時HACCPシステムの全社統括管理業務を行っていたため、非常に衝撃を受け「これだけ熱心にHACCPシステムの維持・管理を行っている工程で何故事故が起きた?」と何度も自問しました。
事故原因を詳しく調査していく中で、「HACCPシステム構築作業時に多くの危害要因が見逃されている」現実を知りました。

現在国内で実施されているHACCPシステム構築研修では危害要因の見逃しを防止する手法には全く触れられていません。
IRCAメンバーの身近にあるHACCPシステムでも同様の事象が発生している可能性を知って頂くと共に、克服法の普及を目指そうと思いこの研修プログラムを開発した次第です。

現状のご自身の活動及び、IRCAメンバーへのメッセージをお願いします。

国立大学法人 帯広畜産大学産学連携センター 食品安全マネジメントシステム推進事業 特任教授を務めた後、今はわたなべコンサルタントオフィスの代表として、食品安全教育や十勝地域の一次産業、二次産業企業に各種GAP、地域HACCP、ISO22000、FSSC22000システム構築と認証取得の支援、HACCPシステム構築3日間研修、ISO22000内部監査員研修、食品事故発生を想定した危機管理研修(トレースバック訓練)等を行っています。

十勝地区は食品安全に関係するコンサルタント会社などが多い関東圏や道央圏から距離があり、中小零細企業は費用他の面で気軽に各種研修への参加やFSMS構築、認証取得の支援を依頼することが出来ませんでした。

しかし、現在は私達の活動により安価に、且つ迅速できめ細かい支援を受けることが出来るようになりました。

私達の活動目標は「単純で確実に事故を防止できる仕組みの構築支援」であり、その為に以下の拘りがあります。

  1. 生産現場の現状を尊重する。
  2. 無駄な文書・記録は一切作らない。



特に 2 項には強く拘っています。(下の写真に有る様な薄い文書にします。)
大量の文書や記録の作成は生産現場に大きなストレスを与え、更に生産に回すべき人員を文書・記録の「お守」に浪費する結果となります。食品安全は「大量の文書・記録」で担保するもではなく、生産現場がCCP、OPRP及びPRP等を確実に実行することで担保できるものです。

IRACメンバーの皆様には、生産現場がCCP、OPRP及びPRP等に集中出来るよう認証取得審査/内部監査、及びコンサルティング等で不要な文書を作成しないよう支援して頂ければ幸甚です。
また、今後は北海道地域のIRCAメンバーの皆様との交流を深めて、道内の食の安全を向上させたいと考えておりますので宜しくお願いします。

<参考>左、中央は国立大学法人帯広畜産大学農場(FSC)屠畜・解体施設、及び搾乳施設のISO22000:2005認証取得文書一式で、右は蕎麦生産農家でG-GAPに準じた生産管理を行うため作成したマニュアル一式です。

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