新型コロナウイルスとマネジメントシステム審査/監査
CQI|IRCA は、今回のコロナウイルスのパンデミックに際して審査員/監査員の皆様が審査/監査実施について参照できるアドバイスやガイダンスをご紹介します。
新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) に対処するために組織は厳格な規則を導入しており、IRCAに登録するマネジメントシステム審査員/監査員もかなりの期間、影響を受ける可能性があります。CQI|IRCA は、審査員/監査員を支援するために、この不確かな時節における審査/監査について認定及び認証のコミュニティが発信するガイダンスの情報を紹介します。
適合性評価の業界が耐え忍ばざるを得ない今回のCOVID-19 の状況にもっとも近い経験は、おそらく2011年に発生した日本の東日本大震災でしょう。当時、日本では災害から復旧するまで適合性評価が保留されました。
今回のCOVID-19をめぐる状況において、適合性評価の業界は、認証審査についてこの東日本大震災のときのアプローチをグローバルに適用しており、次の事項を考慮すべきとしています。
- スタッフと審査員の健康と安全を守る
- 認証顧客と消費者を守る
- 認証顧客の事業継続を支援する
グローバルな適合性評価業界のビジネスモデルは審査工数に基づいて構築されており、契約審査員に大きく依存しています。このため、契約審査員は担当する審査がキャンセルされることにより、財政的に苦しい状況となる可能性があります。適合性評価業界が導入する対応策をまとめると以下になります。
認定機関
国際認定フォーラム (IAF = International Accreditation Forum) はこのような状況に対処するために、IAF ID 3: 2011 – IAF Informative Document For Management of Extraordinary Events or Circumstances Affecting Abs, CABs and Certified Organizations (日本語版 IAF ID 3: 2011認定機関、適合性評価機関及び認証された組織に影響を及ぼす非常事態又は特殊な状況の管理に関するIAF 参考文書) を規定しています。IAFは今回の状況に関する具体的なガイダンスをよくある質問 (FAQ) として提供しているので、第三者認証機関の審査員は参照するようお勧めします。
国家認定機関 (日本ではJAB) はスタッフを保護し、認証機関の顧客をサポートするための手順を周知する必要があります。英国認定機関 (UKAS) は認証機関向けのガイダンスを含む情報をウェブサイトで公開しています。
セクタースキーム
セクタースキームのオーナーも、ガイダンスを提供しており、下記のウェブサイトを参照するとよいでしょう。
食品安全
- FSSC 22000: Position in relation to Novel Coronavirus (COVID-19) pandemic
- Global Food Safety Initiative (GFSI): Temporary audit measures during COVID-19 pandemic
自動車産業
航空宇宙
医療及びヘルスケア
適合性評価/認証機関
認証機関 (CB) は認定機関のガイダンスを認証顧客向けに適用することとし、ニュースや状況については認証機関の業界団体を参照すべきでしょう。有用なウェブサイトやリンクには以下があります。
- Independent International Organisation for Certification (IIOC)
- ABCB calls on accreditors to act now
- The International Certification Network (IQNET)
遠隔審査
英国認証機関協会 (ABCB = Association of British Certification Bodies) は、実地での審査の全面的な一時停止についてロビー活動を行いました。
認定業界はIAF に判断を委ねる可能性があります。IAF には遠隔審査の方法に関する基準文書 (IAF MD 4: 2018 Mandatory Document for the Use of Information and Communication Technology (ICT) for Auditing/Assessment Purposes 日本語版「MD 4: 2018 認定されたマネジメントシステム認証のためのコンピュータを使った審査技法(“CAAT”)利用のための IAF 基準文書) が用意されています。
ただ、認証機関や認証顧客が遠隔審査に技術的に完全に対応できるか、運用面の要素に立ち会って審査する必要がある側面に対処できるかは疑問です。
すべての事業活動が混乱の最中にありますが、それでもなお実行可能な場所で仕事を継続することは可能であり、望まれることです。ただ、もっとも重要なのは、安全に仕事ができる時と場所でのみそれが可能だということです。上でご紹介したアドバイスとガイダンスはこの考え方とほぼ一致しています。すべてのセクターの組織は公衆衛生と、自分たちの管理下または指示の下で働く人々の安全を第一に考える必要があります。
COVID-19 に関するその他のガイダンスとして、審査員/監査員及びクオリティの専門家に対するCQI の汎用的なアドバイスもご参照ください。