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耳を傾ける技術―相手の話を最後まで引き出すには

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耳を傾ける技術―相手の話を最後まで引き出すには

quality.org の英文記事

前回は、質問という崇高な技術について考察しました。今回はさらに重要なスキル、つまり、得られた答えを軸に話を聞く方法を探っていきましょう。

アクティブリスニング

会話術に関して、ある賢者は「人には耳が2つで口が1つあるのだから、その比率で使うべきだ」と言いました。しかし、私たちは皆、相手の話を聞かずに、自分の話す順番を待つという過ちを犯したことがあるはずです。あるいは、自分の経験を話すために話に割り込んだこともあるかもしれません。

品質部門で働く者としては、相手の話をよく聞くことなくして情報収集はできません。そして、アクティブリスニング (積極的な傾聴) により、私たちはさらに前進することができます。自分の話を聞いてくれている、評価されている、大切にされていると相手に感じさせることで、相手の心を解きほぐし、知っていることの最後の一滴まで引き出すことができるのです。

アクティブリスニングとは、言葉や視覚的な合図を使って相手にもっと話すよう促す技法です。相手の話を遮って自分の経験について話すのではなく、あなたが相手の話を注意深く聞き、何を言っているのかを理解し、後でその話を覚えていることを示すということです。

アクティブリスニングを心がければ、会話においてお互いの関心がそらされることなく、信頼関係が構築できます。信頼関係は監査と評価において不可欠です。ここでは、クオリティの場面でアクティブリスニングを活用するための6つの方法を紹介します。

1. オープンクエスチョン

当たり前のことに聞こえるかもしれませんが、オープンクエスチョンを使うことはとても重要です。なので、今一度言います。あるプロセスをよいと思うか、悪いと思うかと尋ねると、一言の答えしか返ってこず、会話を最初から打ち切ってしまう危険性があります。しかし、誰かにプロセスを説明したり、改善点 (「ここはどうしたらもっとうまくいくだろうか」) を提案したりするよう求めると、相手は会話に参加しなければならなくなります。

もし、オープンクエスチョンへの返答があまりに広範で圧倒されるようであれば、中間点を突くように質問を絞り込めばよいのです。例えば、「もし、この手順について一つだけ改善できるとしたら、それは何でしょうか?」といった具合です。

2. 励まして復唱する

誰かが話し始めたら、時折短い励ましの言葉をかけ、あなたが話を聞いていること、理解していること、興味を持っていることを伝えます。これらは視覚的なもの (うなずきや励ましの笑顔) であったり、聴覚的なもの (うーん、うんうん、そうだね) であったりします。ここでは控えめにして、大げさになりすぎないようにしましょう。やりすぎると不自然で不誠実な印象を与えてしまいます。

相手の答えの言葉を繰り返すこともできます。これは復唱と呼ばれる方法です。これにより、あなたが相手の話を聞き、細心の注意を払っていることが示されます。

質問者: ここではどうすればもっとうまくいくでしょうか?

回答者: 私が使う道具が必ずしも私が必要とする場所にあるとは限らないんですよ。

質問者: (うなずきながら)  道具がですか...

回答者: はい、私に必要なのは...

3. 明確にする

会話の中のわからない部分を埋めるためには推測するのではなく、明確になるようヒントを使って、相手に説明してもらいます。

それは、単純な、事実に関する質問で、確信が持てないときに尋ねることができます。「『道具 』とおっしゃいましたが、具体的にはどの道具を指しているのですか?」

相手があなたは話を聞いていないと思うのではないかと心配する必要はありません。これは、あなたが相手の話に心から興味を持ち、頭の中に明確なイメージを描きたいと思っていることを示すものです。

4. リアクション

復唱することに関連して、リアクションは共感に基づいており、あなたが話している相手の側に立っていることを示します。

「それは本当にイライラしますね」というのは、リアクションのよい例です。これであなたが自分の視点ではなく、相手の視点から状況を考えていることを示すことができます。そうすることで信頼が生まれ、会話が深まり、より多くのことが明らかになります。

5. 要約する

これは、あなたがどれだけ熱心に耳を傾けていたかを示すものであり、相手に最高の気分を味わわせるだけでなく、あなたが学んだことを事実確認するチャンスでもあります。おしゃべりしている相手がしばらく話したら、少し時間を取って、今話されたことを要約してみましょう。

「つまり、道具が適切な場所にあれば、あちこち道具を探し回る必要がなくなり、今起きていることにより集中できるようになるということですね」

相手の言ったことを理解することで、絆が深まり、会話がスムーズに進むようになります。

6. 口を閉じよ!

最も簡単なことのように聞こえることが、往々にして最も難しいことです。口を閉じて、あなたの質問に答えるために必要な間を相手に与えることを忘れないでください。

録音された会話を聞き返したとき、相手が何か重要なことを言おうとしていた、あるいは明らかにしようとしていた矢先に、自分もかつてそうだったという話で相手の話を遮ってしまったことに気づくことほど、最悪なことはありません。あなたがすべきことは、相手に話をさせることだったはずです。

最初は奇妙に感じるかもしれませんが、沈黙を効果的に使うことを覚えれば、よりよい情報を得ることができるようになるでしょう。

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