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審査/ 監査 - 進むべき道を進む

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審査/ 監査 - 進むべき道を進む

quality.org の英文記事はこちら

どうすれば審査員/監査員は、自分たちの仕事が被審査/監査者にとって有意義で前向きな経験になるようにすることができるのでしょうか?IRCA Principal Auditor のライアン・レナード (Ryan Renard CQP MCQI) が詳しく見ていきます。

審査/監査に対するイメージは?

前回の審査/監査の経験について聞かれたとしたら、それはポジティブなものでしたか、それともネガティブなものでしたか?あなたの会社や業界ではどのように受け止められているでしょうか?最も重要なのは、その企業で働く一般従業員がどのように認識しているかということです。

もし審査/監査員が自らを「業界の専門家」「スペシャリスト」と紹介し、「審査/監査所見は常にある」とあなたや企業に伝え続けたら、あなたはどう反応するでしょうか?あなたのビジネスを知り、あなたがより強くなるための手助けをし、改善の機会を探すことに純粋に興味を持っている審査員/監査員なら、あなたはどれだけ受け入れられるでしょうか?

業界を問わず、審査/監査には全体的に否定的なイメージが持たれがちです。未知の人々が企業に現れ、コンプライアンスの方法を選んで批判し、そのあとには混乱と所見が残るというものです。このように認識されれば、審査/監査員はより警戒心を強め、融通が利かなくなり、自分たちは歓迎されていないという払拭できない感覚に突き動かされ、価値がさらに低下し、負のスパイラルが強化されます。

例えば、評判の悪い「gotcha 捕まえた!」の瞬間は、被審査/監査者が考えを変えたり、提供されたフィードバックを受け入れたりする機会とはなりません。それどころか、防御的な反応を促し、個人的な認識を維持するために立場を正当化しようとする試みを促します (David McRaney 著『How Minds Change』参照)。

また、経営者や企業が、(成功の指標として) 審査/監査所見がないことを中心に主要な指標や目標を設定することの影響、また (審査/監査から「価値」を引き出すため、あるいは自分がそこにいたことを示すために!) 審査員/監査員ができるだけ多くの審査/監査所見を必要とすることの影響も忘れてはなりません。

審査/監査は本質的によいものでも悪いものでもありません。監査は、誰かが受け入れ、選択し、定義した要求事項に照らして、何が起こっているかを説明するものにすぎません。審査/監査プロセスにまつわる経験が人々の意見を形成するのです。

審査/監査経験に最も大きな影響を与えるのは、目的 (purpose)、目標 (goal)、そして審査/監査員と被審査/監査者の関係です。誤解や対立が生じるのはコミュニケーション上のミスです。明確な目標や審査/監査範囲がなければ、何が目的なのか誰にもわかりません。信頼関係が構築されていなかったり、不適切な環境によって動機づけられていたりするときに、どうして私たちは正直であり、誠実であり続けることができるでしょうか?

審査/監査は、単なる説明や報告、あるいは日報に記された恐怖に満ちた出来事以上のものである必要があります。ですから、私たちは目標を掲げてスタートします。

何が目標 (goal) ですか?

だから...審査/監査の目標は何ですか?

審査/監査は、事後的なプロセスを伝える、「通常、独立した機関による組織の会計の公式検査」と定義されています。審査/ 監査はそれ以上のものであり、「意識を高め、コンプライアンスを鼓舞し、変化の触媒として作用する」ものです。審査/監査は、私たちに変化をもたらし、知識を共有し、業界の評判を高め、ベストプラクティスを標準化し、そして何よりも成長する機会を与えてくれるものです。

審査/監査のアウトカムは、訪問を完了し、報告書を書き、審査/監査員が現場に「立ち会った」ことを示す「所見」を特定するだけの一次元的なものではありません。審査/監査がもたらす本当の違いは、人々が変化したいと望むように鼓舞すること、あるいはすでに行われている前向きな変化を強化することです。

「この審査/監査は、どのように前向きな行動を促し、強化することができるのか」と自分に問いかけてみましょう。次に、カバーする必要があるもの、つまり境界線、つまり「審査/監査範囲」を定義します。

審査/監査範囲とは?

そこに行く理由なしにサイトやプロセスを訪問する審査/監査員はいません。肝心なのは理由ではなく、メッセージが伝わり、受け取られる透明性です。

多くの場合、審査/監査範囲及び/または訪問時の要請の発行を通じて行われる、審査/監査員と被審査/監査者の間の最初のコミュニケーショ ンによって、その後の審査/監査がどのように実施され、どのように受け止められるかが決まります。

審査/監査員は真意を隠しても何の得にもなりませんし、被審査/監査者が訪問の理由から注意をそらそうとしても得することは何もありません。困難な会話を避けていては、審査/監査が成功するわけがありません。全員が同じ目標に向かって働いてこそ、効率的で効果的で協力的な仕事ができるのです。

「なぜ私はこの審査/監査を行うのか?私が被審査/監査者にもたらす価値とは何か?それを明確に伝えることができたか?私たち全員が協力し合っているか?」と自分に問いかけてみましょう。自分たちの範囲を伝えるためには、正直でなければなりません。これに忠実であるためには、私たちは誠実でなければなりません。

正直さや誠実さは?

信頼は審査/監査の前にも、監査プロセス全体を通しても築かれる必要があります。問題を抱えること自体が問題であることは滅多にありません。問題があることに気づかないか、それに対して何かをしようとしていないときに問題になるのです。

それでも、問題が見つかったとき、その企業がそれを解決してくれると信頼できますか?正式なエスカレーションが必要でしょうか?両者は、情報、結果、意図を隠したり曖昧にしたりせず、オープンで正直な対話をする必要があります。

被審査/監査者が、審査/監査員は自分たちに不利なように動いていると信じるとき、警戒心を抱きます。つまり、所見は価値のためではなく「当然のこと」として提起されるのであり、審査/監査員は「自分たちを捕まえる」ために現場にいるのだと考えるときです。審査/監査員は、情報が隠されている、歓迎されていない、あるいは自分たちの審査/監査範囲が満たされないと考えると、警戒心を強めます。

「私はオープンに会話できているだろうか?私は何かを隠しているだろうか?コミュニケーションを改善できるか?私は価値を高めているだろうか?」と自分に問いかけてみましょう。

正直さと誠実さを促し、良好な協力関係を育むためには、信頼関係を築く必要があります。

信頼関係の構築を目指して

一度しか会わない相手と関係を築くために、どのような努力を払っていますか?二度と会うことがない相手と、良好な関係を育むような振る舞いができる可能性はどのくらいありますか?

審査/監査の効率性と内容は、あなたが被審査/監査者と築く信頼関係によって直接影響を受けます。人は自分と似た人を好みます。自分と利害関係のある人と分かち合い、協力し、自分を助けてくれる人を助けます。

審査/監査は真面目で非個人的な評価であるべきだという奇妙な思い込みがあります。そうであってはならないことは、いくら強調しても足りません。信頼関係を築き、一貫性を保ち、人格的でプロフェッショナルな態度で臨むことで、審査/監査は楽しく、おもしろいものとなり、経験やストーリーを共有し、協力して評価対象領域の能力と質を高めることができるのです。

「私たちは良好な関係を築いているだろうか?私はこの人とそのビジネスに純粋に興味を持っているだろうか?私たちはお互いのことを十分に知っているだろうか?」と自分に問いかけてみましょう。

進むべき道を進む

どれほど適切に目標を設定し、範囲を定義し、正直にコミュニケーションし、誠実に実施するかが、審査/監査の経験と結果の両方に直接影響します。どんな行動も、その基本は準備と自己認識にあります。審査/監査は共同作業のプロセスであり、共同作業では意思のある2つの関係者が垣根を超えて作業する必要があります。

良好な信頼関係があれば、この共同作業はさらに容易になります。あなたは、企業が受け入れることになる数多くの審査/監査員のうちの一人です。あなたが付加した価値について記憶されたいと考えていますか?それとも、あなたの後に残されるのは『破壊』と混乱ですか?あるいは、もっと悪いことに、あなたがそこにいたことさえ忘れられていますか?

カスタマーサービスに顕著に見られるように、私たちは悪い経験は簡単に覚えていますが、よい経験を記憶に残すには、本当に特別なことが必要です。

このように、他の企業や業界の中核や日常業務に影響を与える可能性を秘めた仕事、役割、職業が、他にどれだけあるでしょうか。審査/監査は、審査/監査に携わる人がいてこそ成り立つものです。審査/監査をよりよいものにするためには、審査/監査員もより優れていなければなりません。私たちは意識を高め、変化を促し、その変化の触媒として行動する必要があるのです

CQI レポート The Future of Work 未来の働き方
IRCAテクニカルレポート:ISO22000:2018