目には見えずとも文化が肝心

もし適合性が優先され、文化が無視されたらどうなるでしょうか、とPrecision Group (トリニダード) のグループ QHSE マネジャーであり、CQI カリブネットワークを率いるスーザン・サマルー (Susan Samaroo CQP MCQI) は問いかけます。
品質マネジメントにおいて、コンプライアンス/適合性はしばしば基盤となる基本要素と見なされています。私たちは、ISO 規格、法規制、監査チェックリスト、文書化した手順を厳密に遵守するよう務めています。それは当然のことです。コンプライアンス違反/不適合は認証の取り消しや法的な結果を招いたり、評判の毀損につながる可能性があるからです。
しかし、文化を犠牲にして、あるいは無視してまでコンプライアンス/適合性が優先された場合、どうなるのでしょうか。
管理という幻想
多くの組織は、厳格なコンプライアンス/適合性こそが高いパフォーマンスにつながると信じるという罠に陥りがちです。それらの組織は規則を厳守し、管理策を導入し、細心の注意を払って文書を管理しています。しかし、組織の文化―すなわち人々が共有する価値観、行動、姿勢など―が弱かったり軽視されたりすると、コンプライアンス/適合性への取り組みは表面的なものになってしまう可能性があります。
従業員は、自分事として積極的に関わることなく、形式的に作業をこなしたり、チェックボックスにチェックを入れたり、手順に従ったりするかもしれません。その結果はどうなるのでしょうか?書面上は適合していても、実際の現場では十分に実行されていないのです。
文化は決して曖昧な概念ではありません。人々がリスクについて声を上げたり、継続的な改善に取り組んだり、非効率なシステムに異議を唱えたりするかどうかにも直接的に影響します。品質の文化は、従業員が正しいことをするように促します。それは、方針がそれを指示するからではなく、従業員がその重要性を心から信じているからです。
文化を軽視すると、次のような症状が現れます。
- 不適合の報告を恐れる
- 監査や改善活動に最小限しか参加しない
- プレッシャーを感じて適合となるようにその場しのぎで対応したり、近道したりする
- 「それは私の仕事ではない」という思考経路
これらの行動は、価値観とプロセスの間にずれがあることを示しています。このギャップは、どんな手順や是正処置によっても本当の意味で埋めることはできません。
リーダーは問わなければなりません。 私たちはコンプライアンス/適合性を管理ツールとして使っているのか、それとも卓越性の基盤として活用しているのか?文化がコンプライアンス/適合性と同様に優先されるとき、組織はルールの強制から主体性 (オーナーシップ) の醸成へと進化します。
もはや、義務だから従うのではなく、大切に思うからこそコミットするのです。
文化を原動力としたコンプライアンス/適合性エコシステムの構築
両者のバランスを取るために、クオリティプロフェッショナルは次のことができます。
- コンプライアンス/適合性を、目的や業績に関する幅広い議論に組み込む
- リーダーの行動や表彰制度を通じて、品質の価値を可視化する
- 意見を自由に言える安全な場、失敗から学び、実験できる環境を作る
- コンプライアンス/適合性のための活動を事業場の成果と従業員の誇りとリンクさせる
- 「何をするのか」だけにとどまらず、「なぜこれをするのか」を重視する
コンプライアンス/適合性だけでは十分ではありません
適合性を示すことに躍起になる中で、組織は誰も見ていないときにも品質を支えるのは文化であるということを忘れてはなりません。最も打たれ強いシステムは、単に基準を守るというだけでなく、価値観に突き動かされ、人に導かれ、文化に根ざしています。
私たちの品質への取り組みが単なるチェックリスト作業に成り下がらないようにしましょう。コンプライアンス/適合性が文化に奉仕し、文化が卓越性を推進するように、目的を持ってリードしていきましょう。












