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内部監査プログラムを効果的にマネジメントするには

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内部監査プログラムを効果的にマネジメントするには

quality.org の英語原文はこちら

米国のMichigan Manufacturing Technology Center の品質プログラムマネージャー、アンディ・ニコルズ 氏 (Andy Nichols CQP MCQI)が、内部監査プログラムマネージャーの資格と関連トレーニングコースがなぜ必要なのかを説明します。

内部監査プログラムの課題

ISO 9001:2015品質マネジメントシステム-要求事項、またはその関連規格の内部監査要求事項を満たす責任を負う私たちの多くは、内部監査プログラムの設定と運営に関して、参考にすべき過去の経験をあまり持っていません。

もちろんこれは、顧客の監査や規制当局の監査など、キャリアにおいて一度も経験したことがないという意味ではありません。しかし、その経験は、私たちに課せられた任務には足りないのです。もし私たちがベストを尽くすのは、内部品質監査プログラムが組織に変化をもたらすことを確実にするためであるならば (そもそも他の理由などあるのか?)、私たちはそれが適切にマネジメントされていることを確実にしなければなりません。つまり、内部監査は、組織の他の機能のニーズ、その目的、パフォーマンスと方向を一にしているということです。このようなプログラムは、それらのニーズを確実にサポートするために、効果的に計画されなければなりません。

では、この重要な課題に取り組むには、何が必要なのでしょうか。

内部監査プログラムを策定する

何から始めたらよいでしょうか?品質マネジメントシステム (QMS) 導入の初期には、第三者認証の準備という短期的な目的に沿って内部監査を実施することが一般的です。これは以下を実証するために行われます。

  1. 監査プログラムが存在すること、そして
  2. 第三者による重大な不適合のリスクを軽減する目的でQMSを監査すること
この目的を達成するために、一般的には何人かに品質システム監査員トレーニング(「主任監査員」コースかもしれません) を受講させます。やはり、認証審査員がどのように審査を行うのかを理解することが、成功への鍵なのでしょうか?

デフォルトでは、監査プログラムは以下のようになります。

  • 監査範囲: QMS全体
  • 監査目的: 基準への適合性
  • 監査基準: ISO9001 (またはAS9100、IATF16949などを組み込む)。

認証取得の準備段階では、いわゆる「ステージ1」の認証審査に合格することが最も重要であり、悲しいことに、ほとんどの内部監査プログラムはこの時点で停滞し始めるのです。組織が認証を取得すると、内部監査は同じ範囲、基準、目的で「繰り返し」行われるようになります。あまりにもよくあるのは、監査プログラムが認証サーベイランス審査に備えるためだけのもので、ISO規格の改定があったときだけプログラムが変更されるということです。

内部監査が、「ISOがそう言っているから」という理由や、認証書を「壁に貼っておく」ことを目的として行われる活動以上に成熟していることは稀です。

適合性を超える

効果的な監査プログラムのマネジメントは、全体的な監査プロセスの一部であるべきで、ISO/TS 9002として知られる優れた、そして見落とされがちなガイドは、9.2.2項で以下のように提案しています。

「監査を計画するときに考慮すべきインプットのリストには,次の事項が含まれるが,これらに限定されるものではない。
a) プロセスの重要性
b) 経営上の優先順位
c) プロセスのパフォーマンス
d) 組織に影響を及ぼす変更
e) 過去の監査の結果
f) 顧客からの苦情の傾向
g) 法令・規制に関する課題」

ISO9001の要求事項への適合が確認されたら、内部監査の計画を立てる際に、さまざまな利害関係者と協働することが重要です。利害関係者は、上記の項目の有効性に責任を持ち、その専門的な目標は通常、それらの項目と結びついています。ビジネスプロセスのパフォーマンスが、よいにしても標準以下にしても、それがQMSのプロセスに起因するものなのかを客観的に知ることが重要です。この検証、さらに重要な妥当性確認は、私たちが「マネジメントレビュー」と呼んでいる重要なパズルのピースなのです。「結果は出たが、それは社員が (QMS) プロセスに従ったからか?」

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「計画を立てるという行為は不可欠である」

監査員トレーニングでは、内部監査プログラムのマネジメントの方法について多くの時間を割くことはできないことは明らかでしょう。監査員トレーニングでは、監査方法 (文書の机上レビュー、チェックリストの作成、監査技術、監査結果の報告など) を監査員候補者に教えることに重点を置いています。上記のa~gのポイントを整理してわかりやすく伝えることには、ほとんど時間をかけていません。

これは、監査員の教育方法が外部審査モデル (通常は認証機関のモデル) に基づいていることにより、悪化しています。研修は1回の監査を前提とすることが多いため、監査プログラムにはほとんど労力が費やされていないことが容易に想像できます。実際、第三者審査員にとっての審査プログラムのマネジメントは、認証機関運営チームの担当であり、内部監査には関係ありません。

ドワイト・D・アイゼンハワーの名言に反対する人はほとんどいないでしょう。「戦いに備えるにあたって、私はいつも計画書は役に立たないものだと思う。それでも、計画を立てるという行為は不可欠である」。

ISO9001の内部監査プログラムの要求事項について、組織で制度化されているものはほとんどなく、(主任) 審査員トレーニングに参加してもこのテーマを扱っていません。30年間、有効とは言えない内部監査を経験してきましたが、「内部監査プログラムマネジャー」の資格とこれに関連するトレーニングコースを確立する機が熟したのかもしれません。

CQI レポート The Future of Work 未来の働き方
IRCAテクニカルレポート:ISO22000:2018