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監査の役割を強化し組織の能力を高める

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監査の役割を強化し組織の能力を高める

>quality.org の英語原文記事はこちら

監査の役割を強化することで、組織の能力、持続可能性、コンプライアンス、回復力、パフォーマンスをどのように高めることができるでしょうか?DeepFathom社の最高製品責任者 (CPO) であり、CQIのAudit SIG (Special Interest Group) のメンバ-でもあるイアン・ローザム (Ian Rosam CQP FCQI) が、従来の監査の役割から脱却することのメリットについて詳しく解説します。

従来、監査はコンプライアンスと正確性を確保するための手段と考えられてきましたが、組織の能力 (capability)、持続可能性、適合性、回復力、パフォーマンスを大幅に向上させる強力なツールへと進化しています。監査の役割を拡大することで、組織は監査員を単なる監視役としてだけでなく、組織の長期的な成功と存続に貢献する戦略的パートナーとして活用することができるようになります。

進化する監査の役割

歴史的に、監査は文書化した要求事項への準拠を検証することに重点を置いてきました。監査員は主に、計画された取り決めの効果的な実施を検証する具体的で客観的な証拠を重視し、不整合 (discrepancies)、不正確さ、コンプライアンス違反の問題を特定する責任を負ってきました。

これらの機能が極めて重要であることに変わりはありませんが、監査の範囲は時代とともに広がっています。現在では、リスクや能力のマネジメント、組織文化や行動パターンの理解、アウトプットと成果の重視など、組織運営のさまざまな側面を網羅しています。

この進化は、従来の方法が間違っているということを意味するものではなく、むしろ異なる学術的視点、特に文化が組織の能力に与える影響を取り入れる方向へのシフトを反映していることを意味します。

重要な問題は、このことが監査の目的と利用者に対する価値提案にどのような影響を与えるかということです。監査が進化するにつれ、より広範な組織の動向やパフォーマンス指標に対応する洞察を提供して、監査はより利用者のニーズに沿ったものにならなければなりません。

監査の価値提案の拡大

監査の可能性を最大限にひ引き出すには、監査の目的を再定義し、組織内での監査員の役割を強化することが不可欠です。これには、純粋にコンプライアンスに基づくアプローチから、より戦略的で付加価値の高い機能へのシフトが含まれます。

監査が大きな影響を与えることができる5つの主要分野は次のとおりです。

1. 組織の能力の向上

  • 従来の監査は、主に過去のコンプライアンスを示す文書からの客観的証拠に依存していました。しかし、包括的な評価を行うには、人々の行動が結果や成果に与える影響を理解することが極めて重要です。

  • 適合性とは、許容できる最低の基準であり、有効性スペクトル上の1点に過ぎません。能力 (capability) とは、単なる適合性を超えて、望ましい結果を達成する能力を実証することです。効果的な監査では、組織の能力を評価し、高めるべきです。

2. 監査コストの削減

  • 第三者審査であれ内部監査であれ、コンプライアンスレベルの審査/監査のみに投資することは、コンプライアンスを超えた改善のための追加投資や埋没費用 (サンクコスト sunk cost) により、コストがかさむ可能性があります。

  • 伝統的な監査手法と文化的評価を融合させた混合アプローチは、それぞれの手法の長所を最適化し、必ずしもコストを増加させることなく、監査の価値とそれがもたらすリスクに基づく洞察を高めることができます。

3. 監査員の役割の発展

  • 監査員の役割は、単なるコンプライアンスの監視役から、組織の能力を促進するものへと進化すべきです。これには、組織文化とコンプライアンス要求事項を理解し、上級管理層がそれぞれの役割において所見内で管理する責任を負っている事項の遂行に対するリスクを表明することが含まれます。

  • リスクを低減し、目的と望ましい結果を達成する能力を高めるための行動計画を提供することで、監査員は変革の促進者となります。このシフトにより、監査結果がコンプライアンス中心ではなく、ビジネス中心になることが保証されます。ここで私たちが話しているのは、問題に対する答えや解決策を提供することと定義されているコンサルティングについてではなく、提案された行動計画を通じて解決策を生み出す手助けをするということです。

4. 戦略的洞察力の強化

  • 監査員は、不整合の特定にとどまらない戦略的な洞察を提供すべきです。これには、組織がリスク、能力、業績に影響を与える文化的要因をいかに効果的にマネジメントしているかを評価することも含まれます。

  • このような洞察は、組織が業務を戦略的目標と整合させ、全体的な有効性を向上させるのに役立ちます。

5. 利用者ニーズに合わせる

  • 監査が進化するにつれ、より広範な組織の動向やパフォーマンス指標に対応する洞察を提供することで、監査はより利用者のニーズに沿ったものにならなければなりません。

  • このアプローチは、監査サービスの価値提案を強化し、利害関係者の進化する要求に確実に応え、組織の長期的な成功に貢献することを確実にします。

まとめ

より戦略的で付加価値の高いアプローチを取り入れることで、監査員は組織の卓越性を追求する上で不可欠なパートナーとなることができます。この変革 (transformation) は、組織に利益をもたらすだけでなく、今日の激変するビジネス環境における監査専門職の全体的な影響力と関連性を強化します。

従来のコンプライアンスの役割を超えるということは、監査員はさまざまな方法で組織の改善を推進することができるということを意味します。監査員は、効率性を高め、リスクを軽減し、能力を強化する余地がある領域を特定することができます。さらに、監査員は、組織文化がパフォーマンスにどのような影響を与えるかについての洞察を提供することができ、その結果、組織が戦略を運用の現実と整合させるのに役立ちます。

従来の監査手法に関連するコストを削減し、より統合的なアプローチを採用することは、組織が監査への投資から最大限の利益を得るということを意味します。これにより、監査プロセスがより効率的になるだけでなく、組織により大きな価値を提供できるようになります。

監査員の役割を発展させる上で、組織の文化と業務の状況 (context) の理解を深めることに重点を置くことが非常に重要です。

監査員は、経営陣と協働して、特定されたリスクに対処し、組織の能力を向上させる行動計画を策定する、変革の促進者として認識されるべきです。このような積極的なアプローチにより、監査結果を単なる批判としてではなく、改善と成長の機会として捉えられるようになります。

監査員が提供する戦略的洞察は、組織が複雑なビジネス環境を乗り切り、成功につながる情報に基づいた意思決定を行うのに役立てることができます。監査員は、組織がリスクと能力をいかに効果的にマネジメントしているかを評価することで、戦略的計画と実行を支援する貴重な提言を行うこともできます。

最終的には、監査実務を利用者のニーズに合わせることで、監査機能の適切性と価値を維持することができます。監査員は、より広範な組織の動向と業績指標に取り組むことで、組織の長期的な成功と持続可能性に貢献することができるのです。

要約すると、進化する監査の役割は、組織の能力、持続可能性、適合性、回復力、パフォーマンスを高める機会を提供するということです。監査の目的を再定義し、監査員の役割を拡大することで、組織は新たなレベルの価値を引き出し、競争が激しく変化し続ける今日のビジネス環境において、より大きな成功を収めることができるようになります。

CQI レポート The Future of Work 未来の働き方
IRCAテクニカルレポート:ISO22000:2018