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組織内のグリーンスキルの不足に対処するには?

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組織内のグリーンスキルの不足に対処するには?

quality.org の英文記事

ゲイリー・ラフヘッド (Gary Ruffhead) CQP MCQIが、グリーンスキルの不足を解決する上で、クオリティインフラが果たす役割について考察します。

グリーン経済への移行と不足する人材

グリーン経済への移行により、2030年までに6,000万人の新規雇用が創出されると推定されています。国際労働機関(ILO)によれば、「グリーン移行は何百万もの雇用を創出することができるが、それには関連するスキルとトレーニングが利用できることが条件となる」ということです。

ILOは、そのグローバルレポート『Skills for a greener future: a global report (より環境に優しい未来のためのスキル: グローバルレポート)』において、「グリーンジョブ」を環境に貢献、保全、回復するディーセントジョブ*と定義しています。

ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)について (厚生労働省)

では、クオリティのインフラは、世界的なグリーンスキルの不足にどう対処できるのでしょうか。

クオリティプロフェッショナルに何ができるか?

おそらく、言うまでもなく、「ISO 14001:2015 環境マネジメントシステム-要求事項及び利用の手引き」が王道でしょう。LinkedInのGlobal Green Skills Report 2022に対するISOの解釈よると、ISO 14001:2015 の知識は過去5年間にLinkedInのメンバ-プロフィールに追加されたスキルのトップ10の1つであったということです。

最新のISO調査 (2021年12月) によると、有効な ISO 14001認証数は全世界で420,433件です。英国だけでも17,378件あります。

ISO14001規格の主な要求事項のひとつは、組織の活動、製品及びサービスについて、ライフサイクルの観点から、管理できる環境側面と影響を及ぼすことができる環境側面を決定することです。また、ストライキなどの異常事態や、供給不足などの緊急事態も考慮します。

経験上、多くの零細企業や中小企業は、自社のライフサイクルを定義したり明確にしたりするのに苦労しています。その意味するところは、いくつかの側面や関連する影響が見逃されているということかもしれません。

もうひとつの要求事項は、確立された基準を用いて、重大な影響を及ぼす、あるいは及ぼす可能性のある側面を決定することです。これらの基準は、環境側面の場合、種類、規模 (size)、頻度など、また環境影響の場合は、規模 (scale)、重大性、持続時間、暴露などに関連します。

繰り返しになりますが、経験から言って、基準を設けていない組織もあります。その代わりに、すべての側面が重要であるとし、すべてに同じ優先順位や緊急性をもって取り組もうとしています。

結果を考慮する

規格の要求事項を満たしていないことは別としても、単純にすべてを重要であるとすることは現実的ではありません。ほとんどの企業では、環境マネジメントシステム (EMS) が意図する成果を実現するための資源は限られています:

  1. 環境パフォーマンスの向上と環境保護
  2. 順守義務の履行
  3. 環境目標を達成するために、環境マネジメントシステムを継続的に強化する


この問題を理解できない根本原因は、EMSの段階的導入の設計が不十分であったり、認定されていない認証を使用していたりなど、いくつかの要因に帰着する可能性があります。

適合性を証明するためには、公式な解釈のみを使用しましょう。ライフサイクルの観点を考慮し、より深い理解を望む企業向けに、簡単で簡潔な方法で知識と理解を伝達するための短期コースを設計することができます。

目標としての持続可能な発展は、持続可能性の3つの柱のバランスをとることによって達成されます。このため組織は、持続可能性の柱である環境への貢献を目指し、環境マネジメントへの体系的なアプローチを取るため、EMSを導入しています。

ライフサイクルの観点を考慮するには、機能、活動、場所 (複数のサイトがある場合) にわたる影響、何を管理する及び/または影響を与えるのか、そして状況が正常か異常か緊急かを検討し、横断的に見ることによって達成することができます。

アウトソーシング、サプライヤー及び/または下請けなど、サプライチェーンにおける機会に注目し、ベンチマークされた影響モデルを採用することも有効です。

まとめ

ここで述べたことの目的と成果は、優先順位の決定に役立てることです。重要性が分かれば、組織の目標を達成するという観点から、資源、スキル、資格を自信を持って適切に検討することができるようになります。

企業が、そのプロフィールとサプライチェーンにおける自社の存在を真に反映したライフサイクルの視点を考慮した場合にのみ、それをグリーンスキルの不足に対処するための道筋として利用することができます。

CQI レポート The Future of Work 未来の働き方
IRCAテクニカルレポート:ISO22000:2018