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我が国の手洗い事情

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我が国の手洗い事情

新型コロナウイルスの蔓延に関連して、毎日のようにさまざまなメディアが手洗いの重要性を訴えています。食品安全の専門家から見た我が国の手洗い事情について、IRCA のQMS 及び FSMS のメンバーズサポーターである渡辺信吾、帯広畜産大学産学連携センター食品安全マネジメントシステム推進事業 特任教授が寄稿くださいました。

食中毒防止や感染症予防などで、手洗いの重要性はしっかりと認識されるべきところです。

更に、今国内では新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、テレビ、新聞でも手洗いの重要性を毎日広報されています。

そんな真っ只中の2月中旬に出張で東京を訪問しました。地方に住んでいる私には人の多い東京に行くことで感染リスクが高まることへの恐怖心は相当なもので、あれもこれもの対策案をイメージして参りました。

ところが東京に着いてみると皆さん何事も無いように生活しており、その恐怖心は薄まり、ややもするとイメージした対策案を忘れてしまいます。

いやそれでは駄目でしょう‼️と思い直し、せっせと手を洗い、手がカサカサになる自分がいます。そんな自分と比べて、空港、公共施設などのトイレで目にする男性諸氏の手洗いのお粗末さに唖然とします。 例えば個室から出てきた方が数秒間手を濡らし、エアータオルで乾燥して巷に出て行きます。また若い方に多いのですが手も洗わず手櫛で髪を直して巷に出て行きます。

新型コロナウィルスの感染予防対策に手洗い強化が叫ばれている状況でもほとんど昔と変わっていません。

更にとどめを刺されたのは、先日、FSMS審査員の集まる研修会に参加した際にも、トイレ使用後の手洗いを「ちゃちゃっと終わりにした審査員」の方がいました。食品安全マネジメントシステムの審査に関わる方の中にもこのような方がいるのです。

ただ、知り合いの女性とお話しすると「女性は皆さんしっかり手洗いしていますよ!!」の意見が多く、上に述べたような手洗い方法は男性に多いようです!?

食品の製造に長年携わっている私は、その様な手洗い方法を見ていると眩暈が起こりそうになります。

手洗いの「いい加減さ」は他の情報からも窺い知ることができます。それは、今季のインフルエンザは発生件数がピークとなる1月~2月に、例年より低く推移しているとの情報もあり、また、2009年の新型インフルエンザが流行した年にはノロウィルスの減少傾向がありました。このことから、我が国民は「普段は手洗いをしっかり行っていない状況である」ことが推測されます。きっとインフルエンザやノロウィルスの流行の低下は「女性の皆さんと、その指導の下で手洗いをしっかり行うお子さん達」の成果のたまものだと勝手推測しています。

改めて、食品に携わる皆様には新型コロナウィルスの流行には関係なく、日頃から正しい手洗いの励行をお願いしたいと思います。

また、食品安全システム審査員及び内部監査員の皆様には「手洗い方法の有効性」を検証・評価して頂き、適切な手洗いが励行されるよう導いて頂きたいと切に思う次第です。

自己紹介

 

氏名   渡辺信吾
職歴   よつ葉乳業株式会社(昭和52年~平成25年)
    業務歴:乳製品製造、品質検査、品質保証、内部監査、社内コンサルタント
    国立大学法人帯広畜産大学産学連携センター食品安全マネジメントシステム推進事業 特任教授
    業務歴:学内食品加工施設へのFSMS導入、地域企業の人材育成及びコンサルティング、
    大学院生・農業高校生へHACCP3日間研修等の講師
資格   IRCA登録 QMS、FSMS
    日本GAP協会登録 Asia GAP指導員
    JSA登録 JIS品質管理責任者

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