IRCAジャパン クオリティ4.0フォーカスグループの活動
去る2021年10月6日、日本のIRCAメンバーからなるIRCAジャパン クオリティ4.0フォーカスグループがオンラインでディスカッションを実施しました。90分という限られた時間にもかかわらず、大変有意義な、気付きに満ちた意見交換が行われました。ここで出されたさまざまな意見は、その週のうちに日本からの参考意見として英国CQI にリポートされました。「日本からの提言は興味深く、今回の報告書類をアセットライブラリーに追加したい」と謝辞があり、この日本からのインプットは、今後のCQI|IRCAのクオリティ4.0 のリサーチ活動に役立てられます。
フォーカスグループの活動の背景
2021年7月、CQI|IRCA はクオリティ4.0 に関するリサーチの結果に基づき、インダストリー4.0 (第4次産業革命) 下におけるクオリティを表すキーワード、「クオリティ 4.0」の作業用定義と8つの原則を発表しました。ただし、クオリティ4.0 に関するCQI|IRCAの活動はこれで終わりではなく、クオリティ4.0 のケーススタディを発表する、審査員/監査員を含むクオリティプロフェッショナルがクオリティ4.0 に対処するために必要となる力量を洗い出し、新たな力量のフレームワークを定めるなど、2022年にかけ、更なるリサーチ活動を引き続き行っています。
この作業用定義と8つの原則を定めるリサーチでは、本年3月に行われた個別インタビューへの参加など、日本のIRCAメンバーの方々にもご協力いただきました。そして、7月の定義と原則の発表を受け、英国CQI より日本からのフィードバックを求められました。これを受け、IRCAジャパンではフォーカスグループへの参加者を募り、オンラインで日本人が日本語で議論を行う場を持ちました。
急な募集にもかかわらず、フォーカスグループへはモデレーターを務めていただいたIRCAジャパンメンバーズサポーターの北村弘さんほか、さまざまなセクター、さまざまなバックグラウンドの方々、8名にご参加いただきました。
ご参加いただいた方々 (50音順/氏名、業種、所属企業/部署)
氏名 | 業種 | 所属企業/部署 |
飯村 武雄さん | 総合エンジニアリング業 | 日揮株式会社 品質・安全・環境室 |
遠藤 將夫さん | 機械製造業 | 株式会社神戸製鋼所 機械事業部門 品質保証部 |
北村 弘さん | 電気機械器具製造業 | 日本電気株式会社 環境・品質推進本部(TQM推進) |
黒田 隆将さん | 電子機器製造業 | 古野電気株式会社 品質統括監理室 |
小林 久芳さん | 情報サービス業 | 株式会社パスコ 法務部 内部統制推進課 |
田能村 真里さん | 化学工業 | ライオン株式会社 サステナビリティ推進部 |
松村 真吾さん | 精密機器製造業 | 株式会社ディスコ 品質保証部 |
宮田 博嗣さん | 総合建設業 | 株式会社大林組 原子力本部 品質保証部 |
フォーカスグループの活動の実施
ディスカッションは英国から提示された、以下の7つのトピックに基づき実施されました。
- クオリティ4.0の世界では、だれに対して「品質を保証する」のか、またそもそもクオリティ4.0の世界における「保証」とはどういうことなのか?
- 上記を考えたとき、顧客は多面的になってきていると言えるか、また「間接的な顧客」との関係とはいかなるものか?
- PDCAサイクルと、今回のリサーチの結果特定されたクオリティ4.0の多様な側面との間に差異はあるのか?
- 社会システムに対して新たに浮かび上がってきたリスクを検討することはクオリティ4.0に限ったことではないが、この分野に関して、特に顧客に関してクオリティプロフェッショナルが検討しなければならない課題は何か?
- 「クオリティ4.0の品質保証はモデルでななく社会システムとして見ることが重要となる。」という提言について、不確実性の分析が必要であるということに着目して話し合う。
- テクノロジーやIoT の活用において、複雑、高度、不確実な領域の事象や高度なリスク分析に関する重要な検討課題は何か?
- シングルループのQMSと単純なレイアウトのプロセスの保証ルーチンに浮かび上がってきた問題ついて、またクオリティ4.0 の時代において持続可能性にどのようにアプローチすべきかについて話し合う。クオリティ4.0の世界では、「上流の製品企画」に関わることが必要になるとすると、それは実際にはどのように機能するのか?
限られた時間内で討論を行うため、これらの議題は事前に参加者に送付され、それぞれの議題に、コメントの上、返送され、そしてそれが全員にフィードバックされた上で当日を迎えました。当日は、それらのコメントに基づき、意見交換が行われました。
この記事では意見をとりまとめてお伝えするのではなく、当日の議論がそうであったように、あえてそれぞれの発言を提示します。いろいろな立場の皆さん、いろいろなセクターの皆さん、それぞれが刺激を受ける言葉が異なる、そして、この問題はいろいろな論点、思いもかけぬ側面からも検討していく段階にまだあると考えるためです。議論の内容
1. クオリティ4.0の世界では、だれに対して「品質を保証する」のか、またそもそもクオリティ4.0の世界における「保証」とはどういうことなのか?
<共通する認識>
- 発注者である企業に対する保証だけでは不十分。より広いステークホルダーを保証の対象とすべき。
- 広い意味での品質 (クオリティ) の検討が必要。
- 信頼性や相互信頼が、特に情報化社会では重要である。
- クオリティ4.0の保証は持続可能性と関連する。
<コメント及び意見交換概要>
- キーワードは「デジタルトランスフォーメーション」と「共創」だろう。また、SDGs に関して環境に取り組んでいるが、これは必ずしもISO 14001 の認証取得を意味しない。
- クオリティ4.0の世界では、社会問題を解くために製品を製造するべきであり、発注者である企業に対して製品の品質を保証するだけでなく、製造プロセスが持続可能な社会の発展に寄与することも保証の対象となり得る。
- 持続可能な社会を成立させるためには相互信頼が基本にあり、発注者である企業のみならず、地域住民を含む幅広いステークホルダーとの相互信頼が必要。
- 信頼を失うことは組織に深刻なダメージを与えうるが、情報化社会においてはそのダメージはより大きくなるだろう。
- クオリティ4.0における保証とは、組織が自らの持続的な成功のためにステークホルダーの顕在的、潜在的な要求を満たすことではないか。
- 今回の議題すべてにおいてキーワードとなるのは情報化社会だと思う。デジタルの世界では、デジタルプロセスの品質保証が必要となる。今までのアナログ的なモノが見えるという発想から、デジタル、狭い意味で言うとITを活用して、効率的で有効な活用のプロセスをどのように構築していくのか。
- クオリティ4.0における保証とは、ステークホルダー全体がWin-Win の関係になることだと思う。「お客様や市場のために」とは、裏を返せば自分たちのためでもある。広義のクオリティへと視点を変えることが重要。
- 基本的には「品質」とは何かは変わらないと考える。広義の品質 (クオリティ) とは、企業の信用にかかわる品質のことだろう。例えば、地球温暖化に対する取り組みなどが企業の信用に関係し、ひいては広義の品質に関わってくるのではないか。
- 人は何かを買うときに安心を求めるが、実際に使ってみないと確認できないこともある。保証とは、そのような不確実な未来に安心感を与える行為ではないか。デジタル化され、多くのものがブラックボックス化された世界では、ISO認証や企業ブランドなど、さまざまな保証の方法を考える必要があるだろう。
2. 上記を考えたとき、顧客は多面的になってきていると言えるか、また「間接的な顧客」との関係とはいかなるものか?
<共通する認識>
- 顧客が多面的になってきている、または多面的な要素が強くなっている。
- 顧客の範囲が製品及びサービスに対価を支払う直接の顧客から、社会にまで広がっている。
- SNSなどによる個人の発信力の増強はポジティブな影響だけでなく、ネガティブな影響、企業へのダメージとなり得る。
<コメント及び意見交換概要>
- 新たな多面性が生まれるのではなく、情報の伝達速度と偏在により、現在の多面性の各要素への要求がより強くなるのではないか。
- 単純に製品の品質やマネジメントの品質では製品の評価が決まらず、「より広いステークホルダー」の肯定的な評価だけでなく否定的な評価が、組織の存立に大きな影響を与えうるリスクになる。
- インターネットのおかげで、個人がネガティブな意見も発言できるようになり、企業のレピュテーションが損なわれる可能性が増大している。
- ITの活用が進むにつれ、情報の品質も含め、顧客、その先の顧客、そのまた先の顧客、もしくはその他の利害関係者に対するコミュニティの中でプラスとマイナスの要素がより強く出てきている。
- 社会全体が企業の行動をスキャンしていると言える。
- 情報は、提供者が意図しない形で受け取られることがある。受け手がどのように感じるか、どのような価値観を持っているかなどを考慮して情報を提供すべきである。
- デジタルインターフェースで、国境を越え、今までつながっていなかったドメインや業界、業種がつながってくる。
- 企業が地域に根付いている以上、地域社会に対しても貢献していくという観点も必要。
- サプライチェーンと同様に、カスタマーも無数に連鎖しており、ある一面に偏った保証は通用しない。直接見えない間接的な顧客を、社会システム全体と置き換えてデザインすることが必要。
- 社会システム全体が間接的な顧客であるという考え方には同意できるが、一方で、見えないものを全体と捉えると漠然としてしまい、具体的な姿が見えず、デザインが容易ではないのではないかと感じる。
- インターネット、とりわけSNSにより、何かをパンドラの箱に隠しておくことができなくなった。これまでの閉じた保証、狭い意味での保証は変わっていくだろう。
- 見えない顧客がいるということはわかるが、クオリティ4.0と同様に、適切に言語化/定義されなければ、広く理解されることはないだろう。見えない顧客の具体例があれば有用だと思う。
3. PDCAサイクルと、今回のリサーチの結果特定されたクオリティ4.0の多様な側面との間に差異はあるのか?
<共通する認識>
- PDCAサイクルとクオリティ4.0は比較する対象ではない。
- PDCA の考え方はこれからも必要。
- 小さなPDCAという考え方は大切。
<コメント及び意見交換概要>
- そもそも、PDCAサイクルはひとつの手法/ツールであり、クオリティ4.0 と比較するのはおかしい。
- PDCAサイクルをクオリティ4.0 の多様な側面の効率的な実現に活かせるという趣旨であれば、Yesであろう。
- 確たる計画でなく、ぼんやりとした仮説であっても、それはPDCAのP の範疇に入ると考える。
- どのような順番であっても何かの成果物に対して振り返り、分析することが必要であり、PDCAは回っていく。
- 基本的にプランがなければ物事は進まない。小さなPDCAサイクルがいくつかできて、振り返ってみるとそれが合体して、今までのPDCAサイクルになると捉えた。
- 言い方は変わってもやっていることは同じでないだろうか。
- 大きなPDCAサイクルの中にいくつもの小さなPDCAサイクルがあると考えるとき、人々の小さなPDCAサイクルの経験はAIに蓄積され、AIによって個人的な個性が取り払われ、自動化して処理、改善されうるのではないか。
- 小さなPDCAはルーチン的にAIに落とし込まれ、人の知恵が絡んでくる大きなPDCAサイクルは人間が行う。これは効率化にも資する。
- 仮説も含め、計画を立て、出来栄えを振り返って改善するということがAI にできるかはわからないが、できたらすごいと感じた。
- 不明確さや不確実さが多くを占めるこれからの未来においては、画一的なモデルよりも、フレキシビリティやチューニング力といった人間の能力が大切。
4. 社会システムに対して新たに浮かび上がってきたリスクを検討することはクオリティ4.0に限ったことではないが、この分野に関して、特に顧客に関してクオリティプロフェッショナルが検討しなければならない課題は何か?
<共通する認識>
- 新しいテクノロジーと法令化、法整備の時間的ギャップに起因する対応の難しさ
- 幅広いクオリティを内包するクオリティ4.0の社会におけるトップマネジメントの役割と、課題を提言するクオリティプロフェッショナルの役割
- デジタル成果に対する妥当性の判断ができる力量、スキルの重要性
<コメント及び意見交換概要>
- 顧客の気付かないニーズをイメージして、掘り起こして、今までの狭い品質保証ではなく、広い意味での品質保証が必要だと考える。
- 1つひとつのAIを社会システムに実装することはできているが、AI が100個、1,000個と同時に社会システムに実装されたときに、それぞれのAIがどのように反応していくのかという、マルチエージェント化されたときの議論はまだできていない。
- 自分たち、クオリティプロフェッショナルの視点の中であまり考えてられてなかったもの、例えばジェンダーフリーの問題など、すべてをクオリティプロフェッショナルだけで対応することはできない。トップマネジメントに検討課題として提案することが必要となる。
- 今は技術が先行して、法整備は後追いとなる。後から出てきた法令に対して批判されることになりかねない。先進技術について、今後の法令化を意識して、法令順守の視点からコンプライアンスをどうしていけばよいのか。
- 主に情報系と言われているところでは英知が結集され、品質コンプライアンスに対して取り決める土台ができている。これはある意味、失敗の集大成でもあるが、受注から納品というサービスのプロセスを見ながら、情報に対するコンプライアンス、セキュリティを加味していく必要がある。
- 通常想像しない領域、想像外までを含めて客観的情報に基づく想像ができるかが、クオリティプロフェッショナルが抱える課題だと考える。
- デジタル、ITを使った結果が本当に妥当性があるかというところに注力すべき。特にロジックがブラックボックス化され、高度なアルゴリズムを使っているところ、社会システムとして組み込まれているところ、これから組み込まれていくところで、デジタル成果に対する妥当性の判断ができる力量、スキルが必要になってきていると考える。
5.「クオリティ4.0の品質保証はモデルではなく社会システムとして見ることが重要となる。」という提言について、不確実性の分析が必要であるということに着目して話し合う。
※ 本課題については、コメントをご提出いただいたが、時間の関係もあり、細かいディスカッションは行わなかった。
<コメント概要>
- クオリティ4.0の品質保証は単なるモデルではなく、社会システムとして見るということを考えると、クオリティ4.0は品質マネジメントと別物のシステムではないかと思う。まさに「霧の中でマッピングする」ようで難しい。
- いかなる組織においても、外部環境の変化に柔軟な対応を完全にできることはない。変化の認知、リスク評価、対応実施のいずれの段階にもハードルがある中、人の行動を変えること、つまり組織でやっていることを変えると言い出すこと、人を納得させ、動かすことのハードルは非常に高い。
- 原因や対策がはっきりしていない中で行わなければならない処置や行動では、何が正解かがわからない。すべてのステークホルダーにとって安心安全であり、より有益であるために、それぞれの役割が何であるかを視野に入れ、どのような情報をどのタイミングで、どのような形で分析し、かつ展開、共有していくかが重要。
- 社会システムのリスクは歴史や文化、地域性など複合的なものであり、SDGsの推進課題とあわせて検討が必要。
- 不確実性の分析は必要であり、企業は行っているはず。
- ゴールが不確実で、正解がないということを、まずは受け入れることが必要。
6. テクノロジーやIoT の活用において、複雑、高度、不確実な領域の事象や高度なリスク分析に関する重要な検討課題は何か?
<共通する認識>
- 提供する側の視点だけでなく、受け手の視点からの検討が必要
- 検討しなければならないリスクの中には、悪意をもって情報技術を使う人もいるということがある。
- AI などにより、プロセスがブラックボックス化することが不安を生んでいる。論理的な納得感が得られるようにしていくことが重要。
<コメント及び意見交換概要>
- 仕組みをつくっても活用されない理由のひとつは、データを扱う人々が各々のテクノロジーやIoTによって個人がどのような恩恵を受けるかに目を向けてこなかったことにあるのではないか。これはテクノロジーやIoT だけでなく、業務フローの構築についても同じ。
- 全体としての活用の設計と並行し、個人の恩恵に資し、個人のモチベーションを上げる仕組みと、実施しない場合の罰則を組合せる必要がある。
- 複雑、高度、不確実な事象を扱う場合は、リスクを負ってやっているため、モチベーションを上げるだけでなく、セーフティネットを設け、「やったもの損」にならない仕組みも必要。
- 目的に合致していない情報は意味がない。情報の見える化、集め方、分析の方向性が目的に合致していること、具現化することが重要。ただし、重要と認識した情報も時につれ一般情報になりうるため、継続的な見直しが必要。
- 提供する側の視点だけでは自己満足となり、伝わらない。受け取る側の価値観をはっきりと認知し、何のためにこの情報をだれに提供するのかということを明確にすることが大事。
- 情報処理、ITというテクノロジー的な要素の教育だけでは不十分。情報を、人を貶めようという悪意を持って使う、あるいは犯罪に使うのではなく、社会のために善意ある使い方をしていくよう、人間力のある、善意ある、品格のある人をつくることが、クオリティの中で非常に重要だと思う。
- デジタルは取り扱いが容易で、コンピュータの中でシミュレーションをしながら、手軽に、お金が掛からずつくることができる。製品、サービス、ものづくりに携わる、善意ある人材をどう作っていくかを、日本から世界へのひとつの発信力とすることができるのではないか。
- すべてをテクノロジーやIoT の活用で置き換え、事象やリスク分析を行うのは難しいのでは?むしろどこまでができるかが検討課題。
- AI のブラックボックス化が課題。テクノロジーは高度になっているが、いざ自分は自動運転に任せられるか、心臓の手術を医療ロボットに自動でやってもらうかというと、不安。AI などにより自動で出力されるものについて、どうしてそういう処理がされたのかという論理的な根拠、信頼できる人からのオピニオンなど、論理的、感情的な納得感を得られるテクノロジーであれば、受け入れられるかもしれない。
7.シングルループのQMSと単純なレイアウトのプロセスの保証ルーチンに浮かび上がってきた問題ついて、またクオリティ4.0 の時代において持続可能性にどのようにアプローチすべきかについて話し合う。クオリティ4.0の世界では、「上流の製品企画」に関わることが必要になるとすると、それは実際にはどのように機能するのか?
※ 本課題については、コメントをご提出いただいたが、時間の関係もあり、細かいディスカッションは行わなかった。
<コメント概要>
- 定期的な内部監査やその他の機会を通じて課題を抽出し、解決をリードするというクオリティプロフェッショナルの役割はクオリティ4.0の世界でも重要であり、変わらない。しかし、ITシステムへの依存度が高まることから、システム担当者が品質に関するより専門的な知識を持ち、相互に協力し合う構造をつくること、またトップマネジメントがその必要性を理解し、実施することが望ましい。
- 規格段階で品質リスク系の洗い出しをするとプロジェクトが進まないという声を聞くが、後追いの追加や発見は結局後戻りとなる。潜在的リスクに対してどこまで許容するか、もしくは手を打つかを企画段階でとことん議論し、組織内の認識を一致させることが広義の適切品質確保につながるだろう。
- クオリティ4.0では社会システムなど、社会性を非常に強調している。情報化社会の中で、今までの非常に協議な製品及びサービスの設計、規格の狭い世界から、顧客や利害関係者をより広く考えていかなければならない。教育の中でこれを自覚できれば、事件事故を少なくしていくアプローチとなると期待できる。
<参加者の所感>
- いろいろな業種の人からの意見をとても貴重なアドバイスと捉えた。今回のテーマに関してもある程度理解できたと思う。
- 皆、品質の方々であり、共通の部分が多いと感じた。人間が取り残されないように、人間の本質も考えた仕組みを考えていくことが必要だと思った。
- 我々はメーカーとして製品を提供するときに、ワンウェイではダメ、我々だけがいいと思っているものだけを提供しても、自己満足でしかないということを深く感じた。
- クオリティ4.0という考え方の中で宿題も含め、いろいろ勉強となったが、当社で進めているところと歩みが重なるところもあり、よく考えて取り組んでいきたい。
- 急な参加となり、果たしてわかるだろうかと思っていたが、皆さんがいろいろわかりやすくお話しされていたので、勉強になった。
- 最初はクオリティ4.0とは何だろうかと戸惑っていたが、今日の話で概要がわかってきた気がする。
今後の取り組み
クオリティ4.0というこれまであまり馴染みがない概念にもかかわらず、参加者の皆さんそれぞれから、いろいろな気付きに満ちたコメントをいただき、またそれが新たな気付きを生んでいくという有意義な議論が展開できました。
また、この結果を英国CQI に伝えたことにより、この活動は今後のCQI のリサーチの成果にも影響を与えていきます。日本の品質は世界から一目置かれています。品質について、世界の動きを知ること、そして日本から発信していくこと、このどちらも車の両輪として回していく必要があり、IRCAジャパンはそのお手伝いをしていきたいと考えています。
この活動をここまでにしておくことは大変惜しいです。今回のフォーカスグループの活動を読んで、自分も参加したい、あるいはクオリティ4.0 に限らず、ご自身が興味をもつテーマで他のメンバーと議論をしてみたいというご希望があれば、ぜひIRCA ジャパンまでお知らせください。
なお、英国CQIには、Pharmaceutical、Construction、Nuclear、Railwayなど、それぞれの興味に応じて参加できるSpecial Interest Group (SIG)という活動があります。この活動は、IRCAジャパンではなく英国のCQIと、登録メンバーのボランティアの方々が管理する活動ですが、日本からも参加が可能であり、すでに日本からご参加いただいている方もいらっしゃいます。今後、CQIのSIGの活動に参加する日本のメンバーを中心に、各SIG での活動について日本語で情報交換をし、議論をし、CQI のSIGにフィードバックをする、SIG 日本フォーカスグループをつくっていければと考えています。まだCQI のSIGにご参加いただいている方はごく少数ですが、ご協力いただける方を募集しています。CQI SIG には今年から、Audit SIG、Health SIGなどが新しく発足し、またIntegrated Management Systems SIGも活動を再開しています。各SIGにはCQI のMembers’ Area から簡単に参加登録ができます。
また、CQI|IRCAでは、登録メンバー同士が情報を共有し、議論をする、Quality Connect というプラットフォームを開設しています。Quality Connect では、日本のメンバー同士が日本語で書き込み、日本語で読めるボードと、世界中のメンバーが英語で書き込むボードがあります。どちらもぜひ活用いただきたいと思います。
新型コロナウイルスのパンデミックの、思いがけない置き土産であるオンラインでの活動が、世界中でメンバー同士のネットワークを広げています。IRCAジャパンは、英語という壁を乗り越え、日本のメンバーの皆さんがワールドワイドな活動に加わっていくお手伝いをしていきます。