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AIリーダーシップについて学んだ、あなたを驚かせるかもしれないこと

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AIリーダーシップについて学んだ、あなたを驚かせるかもしれないこと

quality.org の英語原文記事はこちら

ゾーイ・アマーFCIM (Zoe Amar Digital 創設者兼ディレクター) が 、英国の公益法人が自信を持ってAIを採用し、活用し、リードするには、専門知識よりもAI への好奇心のほうがどれほど役立つかについての見識を共有します。

私は100人以上の英国公益法人のリーダーとAIリーダーシッププログラムの活動をちょうど終えたところです。私たちが一緒に発見したことについてずっと考えています。私は品質マネジメントの専門家ではありませんが、私たちが解き明かしたリーダーシップの課題は、公益法人の世界を超えて関連性があると感じます。

私たちの「Charity Digital Skills Report 2025」では、ある傾向が私の印象に残りました。英国の公益法人の76%が現在AIツールを使用しており、これは昨年の61%から増加しています。しかし、私が夜も眠れない理由は次の通りです。慈善団体のCEOの36%が自分はAIスキルが不足していると答え、さらに44%が取締役会も同様に苦戦していると認めているのです。

私は、AIの導入とリーダーシップの自信のギャップが公益法人だけに限ったことではないと感じています。

本当に重要な問い

私たちがマイクロソフトと共同で作成したAIリーダーシップに関する報告書は、限られた予算、懐疑的な理事、そしてAIに興味津々のメンバーからAI恐怖症の人々まで、多様なチームを率いた現場のリーダーたちの実践的なアプローチをまとめたものです。(リンクを確認してください)

私が驚いたのは、AI リーダーシップで成功するということは、テクノロジーの専門家になるということではないということです。この課題を乗り越えたリーダーたちは、以下のような適切な質問をします。『AIは私たちのミッションにどのように役立つのか?』『私たちにとって良い状態とは何か?』

これらのリーダーは、AI導入をあらゆる大きな組織変革と同様に扱っています。つまり、リスクマネジメント、関係者の巻き込み、そして反復的な学習とともに進めているのです。
ゾーイ・アマーFCIM、創設者兼ディレクター、Zoe Amar Digital

私は、デジタル能力のゴールドスタンダート (他を評価する際に比較できる既存の基準) と呼べるものが現れ始めていると感じています。AIの活用がうまくいっている組織には、5つの共通点があります。

  • そのような組織はAIが戦略的にどこに位置づけられるかを明確にしています
  • そのような組織には、イノベーションと絶対に譲れない基準とのバランスをとるガバナンスがあります
  • そのような組織のチームはAIに対して自信 (専門知識ではなく) を持っています
  • 自分たちのデータを正しく活用できます
  • 重要なことを測定することができます

ガバナンスのブレークスルー

最も成功している公益法人のリーダーたちは、完璧な方針が揃うのを待たずに行動を始めています。あるリーダーは私にこう言いました。「私たちは、AI戦略が最初の日からあらゆる可能なシナリオを解決する必要はないと気付きました。学びのための安全な境界線を作る必要がありました。」

これらのリーダーたちは管理されたパイロットプロジェクトを実施し、効果を慎重に測定しながら、機能するものを拡大し、失敗が許されないものは保護しています。

これは規律あるイノベーションです。これらのリーダーたちは実験するほどの好奇心を持ちながらも、自分たちの価値観やコンプライアンス要件を損なわない慎重さも持ち合わせています。
ゾーイ・アマー FCIM、創設者兼ディレクター、Zoe Amar Digital

これは、基準が重要であり、間違いが重大な結果をもたらすあらゆる業界に関連する内容だと感じます。

定着する文化変革

どの指導者にとっても最も大きな課題の一つは、変化への抵抗にどう対処するかです。AIの導入がさらに進むにつれ、公益法人のスタッフは職を失うことやコストが掛かるミスを犯すことへの不安を感じるはずです。特に、ミスが重大な影響を及ぼす業界では、その懸念がさらに大きくなると想像できます。

AIは取って代わるものではなく、能力の拡張として捉える必要があると私は考えます。最も有能なリーダーは、専門知識よりも好奇心のモデルとなります。CEOが自分もAIについて学んでいることを認めると、他の全員もAI について安全に試行錯誤できる環境が生まれます。

この文化的な転換、つまり『すべてを知っている必要があるから、ともに学ぶことに自信をもつことへの転換』は、どの業界にも不可欠だと思われます。

機能する戦略

デジタル戦略を採用して運営している公益法人はわずか 44% であり、実はこの数字は昨年より減少しています。戦略的な方向性がなければ、AIは統合された能力ではなく、単なるツールの寄せ集めとなってしまいます。

進展しているリーダーたちは、テクノロジーからではなく自分たちの課題から出発しています。これらのリーダーたちは「AIで何ができるか?」ではなく、「AIは私たちのどのような問題の解決に役立つのか?」と問いかけます。このような戦略的思考は、あらゆる種類の複雑な業務をマネジメントする場合に不可欠だと感じます。

持続可能性という観点

公益法人のリーダーたちは、無駄を削減し、意思決定の効率を高め、回復力を生み出すことで、真に持続可能な組織を構築するために AI を活用しています。リーダーたちは、AIを単に作業を自動化するためだけでなく、より大きな目標を支えるものとして捉えています。

これは、AIの真の価値が、あなたの業界にとって最も重要な基準を維持しながら、より持続可能な運営を可能にすることにあるかもしれないことを示唆しています。

次に何が起きるのでしょうか?

公益法人の分野は、限られた資源や利害関係者の複雑な要求事項があっても、responsible AI (責任あるAI) の導入が可能であることを証明しています。効果的なアプローチは、AI導入を堅牢な変革マネジメントプロセスのように扱います。つまり、リーダーシップのコミットメント、明確なガバナンス、チームの参加、そして意義のある測定が求められます。

最も重要なのは、AIで成功している組織は、テクノロジーが自分たちの大きな目的にどう貢献するかについて明確なビジョンを持っているということです。ツールは進化し続けています。しかし、責任ある実装を導くリーダーシップスキルは、普遍的に価値のあるものと感じられます。
ゾーイ・アマー FCIM、創設者兼ディレクター、Zoe Amar Digital

AIについて異なる角度から考えるとき、重要なのは「あなたの業界がAIを受け入れる準備ができているか」ではなく、どの業界に属していようと、AIの活用方法を形作る議論を主導する準備ができているかどうかということです。



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