マーケターが主任審査員のように考えるべき理由

ゲスト執筆者のアーメド・アブエルハムド (Ahmed Abuelhamd, SGS Middle East、ビジネスアシュアランスのマーケティングチームリーダー) が、ISO 9001:2015の原則を活用することで、マーケティング専門家がより戦略的に活動することがどのようにできるようになるかを検討します。
私は最近、SGSアカデミーでISO 9001:2015主任審査員コースに参加しました。それは、品質マネジメントシステム (QMS) に関する実践的な演習、ケーススタディ、およびディスカッションが満載の、集中的な5日間の対面式コースでした。
私はSGS Middle Eastのマーケティングチームの一員として、中東各国のマーケティング業務を担当していますが、創造的で急速に展開する業務であるマーケティングにISO 9001がどのように適用できるのか疑問に思いながら参加しました。そして、私は新しい視点を得て帰りました。
利害関係者の関与: より大きな視点で把握する
ISO 9001はまず、組織の状況を理解し、すべての内部および外部の利害関係者を特定することを求めます。マーケティングでは、多くの場合、最終顧客に注目しがちですが、利害関係者には営業チーム、技術部門、製品マネジャー、コンプライアンス担当者、サプライヤー、さらには規制当局も含まれます。
例えば、湾岸協力理事会 (GCC) 地域で国境を越えた活動を実施する際は、キャンペーン、ウェビナー、イベントのいずれであっても、現地のコンプライアンスに関する法務部門、サービス提供準備に関する業務部門、リードのフォローアップのための営業部門など、各担当者からのインプットが必要です。これらの関係性を事前にマッピングしておくことで、ズレを防ぎ、すべてのマーケティング活動が組織の主要目標を直接支援できるようになります。
私たちの業務が戦略的目標と整合することで、測定可能なビジネス成果を生み出し、安定した価値提供により顧客満足度を高め、ブランドへの信頼を強化します。
社内の理解と賛同の確保: マーケティング、マーケティング
研修で得た最も価値ある教訓の一つは、社内の理解と賛同の獲得は絶対必要であるということでした。ISO 9001は、リーダーシップのコミットメントと、人々を巻き込むことが不可欠であることを明確にしています。マーケターとして、ここから得られる重要な洞察は、私たちは自分たちの部門を組織内でしっかりマーケティングし、各部門間の連携とサポートを確保しなければ、外部に向けて効果的なマーケティングはできないということです。組織内でのマーケティングにより信頼が築かれ、承認が迅速になり、マーケティング業務が円滑かつ予定通りに進行します。
他の部署の同僚がマーケティングの仕事内容や彼らの目標をどのように支援しているかを理解すると、協力しやすくなり、洞察を共有し、タイムリーな承認を提供する可能性が高まります。製品の発売前に、技術チームに彼らの意見がどのようにメッセージに反映されるかを説明することで、受け身のレビュアーから主体的な貢献者へと変えることができます。
標準化されたプロセス: 創造性のための構造
特に国を跨いで、また異なる優先順位を持つチーム間で仕事をする場合、文書化され標準化されたプロセスを持つことがいかに重要かをトレーニングを通して再確認しました。マーケティングプロセスは、イベント企画のチェックリストからブランド遵守の確認、コンテンツ承認ワークフロー、キャンペーン報告テンプレートまで多岐にわたります。
標準化されたイベントのチェックリストがなければ、会場の確認や現地許可、翻訳の承認などを見落とすリスクがあります。再現可能なプロセスに従うことで、各市場向けにクリエイティブな要素を適応させながら品質を維持することができます。
計画、実行および改善
ISO 9001は、PDCA (Plan-Do-Check-Act) サイクルに基づいて構築されています。マーケティングにおいても、これは完全に当てはまります。
- Plan: キャンペーンに目標を設定し、ターゲットオーディエンスを定義し、他の部署と連携し、アセットを準備する
- Do: 合意されたプロセスに従い、すべての手順が計画通り実施されていることを確実する
- Check: KPIに対する結果を測定し、関係者からフィードバックを集め、うまくいった点や課題をレビューする
- Act: 次のキャンペーンに向けてプロセスを調整し、テンプレートを更新し、メッセージを改良する
この仕組みにより、あらゆるマーケティング活動が学習の機会となります。例えば、GCC全体に向けたウェビナーの登録数が目標に達しなかった場合、事後レビューによって特定の市場でプロモーション期間が短かったことが判明するかもしれません。このような洞察は今後のスケジューリングに役立ち、成果の向上につながります。
計画段階では、単に何を制作するかを決めるだけでなく、新規市場への進出や製品発売の支援など、各活動を戦略的な事業目標と整合させます。ターゲットを絞ったマーケティング活動を確実に行うことは、成長に寄与し、顧客満足度を高めます。
文書化: 知識の保護とコンプライアンス
ISO 9001は、文書化した情報の重要性を強調しています。マーケティングにおける文書化は、ブランドの一貫性を確保し、複数のチームが資料を扱う際にミスを防ぐ役割を果たします。
ブランドガイドライン、コンテンツレビューのチェックリスト、メディア購入手順、イベント計画用テンプレートは、すべて文書化した情報の一種です。ガイドラインを最新の状態に保ち、アクセスしやすくすることで、キャンペーンの一貫性が維持されます。
認証のためだけではなく
ISO 9001の認証を取得しなくても、その原則から恩恵を受けることができます。箇条を確認し、それを社内で適用するだけでも、プロセスのギャップを見つけ出すことができます。マーケティング業務について非公式な内部監査を実施し、利害関係者の関与、プロセスの一貫性、文書の質、および継続的改善をチェックすることは、即座に価値をもたらす可能性があります。
これらの原則は、マーケティングの専門家がより戦略的に活動し、一貫した品質を提供し、より強固な組織内外の関係を構築するためのロードマップです。