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品質の原則―変革の時が来たのか?

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品質の原則―変革の時が来たのか?

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 Vince Desmond
 CEO, CQI IRCA
 英語原文はこちら

CQI の最高経営責任者であるヴィンス・デズモンドは、ワールド・クオリティ・ウィークの特集を締めくくるにあたり、現在及び将来にわたり品質マネジメントの原則が有効であり続けるよう、改めて考察します。

ルールに基づく基準は監査が簡単です―遵守しているか、していないかのどちらかだからです。しかし、その意図が伝わらないこともあります。原則に基づく規格は、意図を特定の状況へ落とし込むのに優れていますが、監査が難しくなります。少し前に、DGQ (ドイツ品質協会) のベネディクト・ゾンマーホフ氏がこの件について書いたブログを読んで以来、私もまた、ISOが発行している現在の品質マネジメントの原則が現代の進化し続ける時代に耐えられるのだろうかと思案しています。

顧客重視から顧客体験へ

「顧客体験」は流行 (はやり) 言葉 かもしれませんが、ビジネス界の注目を集めています。ですから、ここで重要なのは、組織が顧客についての考え方を再構築する手助けをすることです。「契約内容の確認」は重要ですが、多くの組織にとって顧客や消費者の体験は、価値の設計や提供への関与にまで関係してきます。例えば、ナイキのアプリは、購入からその商品を使ったトレーニングに至るまで、あらゆる面で消費者を巻き込んでいます。

リーダーシップから組織文化と能力 (capability) へ

CQIの国際クオリティ賞の受賞者や、品質不良の調査結果から明らかなのは、組織全体で強固な品質文化と能力を持つことこそが違いを生むということです。詰まるところ、リーダーシップが焦点を当てるべきなのはここなのです。

リーダーシップの後ろ盾は、多様性から品質まで、組織の非常に多くの側面にとって重要です。
ヴィンス・デズモンド、CQI CEO

積極的参加から協働へ

ほとんどの人はよい仕事をするために仕事に行きます。課題は、その人たちが協働して価値を設計し、提供し、問題解決やイノベーションを行い、顧客にすばらしい成果を提供するということにあります。このことが次につながります...

プロセスアプローチからシステムパフォーマンスへ

システムパフォーマンス、そして人、プロセス、テクノロジーの組み合わせこそが、プロセスアプローチが常に目指してきたものです。特に組織のエンドツーエンドのバリューチェーンがますます複雑になり、より早く変化し、そして脆弱になっている中、そのことを言わない理由はありません。

改善からイノベーションへ

デミングは言いました。プロセスや製品の斬進的な改善は、品質で競争するための答えではない、イノベーションがその答えだと。これは継続的改善の価値を下げるものではなく、特に製品、サービスやビジネスモデルが破壊的に変化している場面では、この概念の重要性を高めるものです。

客観的事実に基づく意思決定からリスクに基づく意思決定へ

「神は (無条件で) 信じる、その他についてはデータが必要だ。」とデミングは言いましたが、組織にとってより大きな課題は、戦略やリスク選好の面から、他の原則への広い影響も考慮した上で、パフォーマンスをしっかりと理解し、それに基づいて意思決定することです。

関係性管理 (relationship management) から価値の共創へ

イノベーションやデジタル化、持続可能性の課題は、サプライヤーが単なる契約先ではなく、パートナーとして共に価値を創造し、イノベーションを起こすことです。これには、従来の顧客とサプライヤーの関係 (たとえ相互利益があるとしても) から、パートナーと顧客、さらには規制当局も巻き込んだイノベーション及び価値提供へというように、異なる角度から考え、意識を転換する必要があります。

これらの提案は決して今の原則の完璧な代替案ではありませんが、そこが問題なのではありません。重要なのは、私たちがこれまで頼りにしてきた既存の原則が今日も、そして将来においても依然として通用するかどうか疑問を投げかけることです。
ヴィンス・デズモンド、CQI CEO

考慮しなければならないのは、生産しているものやその方法の品質をマネジメントし、向上させるために組織全体の人々に採用するよう私たちが奨励している原則が、今日の現代的な状況においても依然として十分なものであるかどうかということです。



CQI レポート The Future of Work 未来の働き方
IRCAテクニカルレポート:ISO22000:2018