原子力産業の品質に関するセクター規格 ISO 19443
2018年5月28日、原子力産業に対する品質マネジメントシステム規格、ISO 19443 が発行されました。セクター規格としては、自動車産業向けのISO/TS 16949や医療機器に対する ISO 13485 などがよく知られていますが、ISO 19443は安全性が非常に重視される原子力産業のサプライチェーン内の事業者がISO 9001:2015 を適用する際の要求事項を定めるものです。
「ISO 19443 Quality management systems -- Specific requirements for the application of ISO 9001:2015 by organizations in the supply chain of the nuclear energy sector supplying products and services important to nuclear safety (ITNS) 原子力安全にとって重要な (ITNS = important to nuclear safety) 製品及びサービスを供給する原子力業界のサプライチェーン内の組織のISO 9001:2015 適用のための固有の要求事項」は、原子力エネルギー、原子力技術及び放射線防護に関する技術委員会 ISO/TC 85 が国際原子力機関 (IAEA) など、24の国際的な専門家グループの協力を得て、開発しました。
原子力産業は、起きることは稀とはいえ、一旦、大きな事故が起きたときには環境や人々の生活、社会に対し、直接的に、また間接的に非常に大きい影響を与えるため、国家のまた国際的な法令/ 規制やその他の基準等により厳しく規制されている産業です。この規格には、原子力業界のサプライチェーンに対する安全と品質の要求事項が含まれおり、原子力の安全に深刻な影響を及ぼす可能性のあるサプライチェーン内の末端までを含むあらゆるレベル、規模、種類の組織に汎用的に適用可能です。
規格策定のワーキンググループの議長、Bertrand-Marie Nahon はこの規格は調達者にとっては品質の保証を与え、サプライヤーには安全と品質を確保するというウィン - ウィンの規格であると述べています。
本規格は、他のセクター規格と同様に、非常に専門性の高いものですが、附属書SL に準拠する認証可能な規格であり、英国ではUKAS が、2018年中に第三者認証の認定の準備を開始する予定と告知し、このパイロットプロジェクトに参加する認証機関の募集を開始しています。