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附属書 L (元附属書 SL) の改訂最新情報

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附属書 L (元附属書 SL) の改訂最新情報

現在、新たに作成される、あるいは改訂されるマネジメントシステム規格が原則として適用している附属書L (元附属書SL) の改訂作業が進んでいます。その最新情報と今後の見通しをお伝えいたします。

2000年まで遡ってみると、ISO マネジメントシステムのA規格 (A規格は要求事項を含む規格であり、組織の第三者認証に使えるもの、対してB規格はガイダンスを含むもので認証には使えない) はたったの2つしかありませんでした。『ISO 9001:1994 – Quality systems -Model for quality assurance in design, development, production, installation and servicing  品質システム-設計・開発、製造、据付における品質保証のためのモデル』と『ISO 14001:1996 – Environmental management systems – Specification with guidance for use 環境マネジメントシステム – 仕様及び利用の手引き』です。しかし、続く10年間のうちに、たくさんのマネジメントシステム規格が導入され、ほどなくISOはこの急激な増加が深刻な問題を引き起こしていることに気付きました。

たくさんの種類のマネジメントシステム規格があれば、組織は自分たちの事業のさまざまな側面に対して認証を取得できるわけですが、それぞれの規格の構造は各技術委員会が自分たちの好みのままに決定していました。そのため、要求事項の本体を形成する条項の名称、順番や数、さらには要求事項そのものの内容も一貫性を欠いていました。

ISOはこの「白紙委任」の状態が重複と非効率性の元凶であるとして、ISOの規格策定者のために、すべての新しい、また今後改訂されるISO マネジメントシステム規格で使用する共通の構造と定義を定めるガイドが必要であるという結論に達しました。2012年2月、ISO技術管理評議会 (ISO TMB = ISO Technical Management Board) はISO ガイド83 を正式に導入しました。 それから間もなくガイド83は附属書SL (Annex SL) として『ISO/IEC Directives, Part 1, Consolidated ISO Supplement ISO/IEC 専門業務用指針 第1部 統合版 ISO 補足指針 – ISO 専用手順』に組み込まれました。

附属書SLのおかげで、2012年以降、(全部ではないにしても) ほとんどのマネジメントシステム規格は、10箇条からなる同じ上位構造、かなりな量に上る同じ要求事項の文言を共有し、同じ用語に同じ定義を当てています。附属書SLに基づく主要な要求事項規格として、品質、環境、労働安全衛生、サービスマネジメント、食品安全、事業継続、情報セキュリティ、エネルギーマネジメントなどがあります。附属書SLがこれらすべての規格に根拠を提供するものであるとすると、必然的にこの附属書の改訂は広範囲に影響を及ぼすものになります。そして、このような変更が現在加えられようとしているのです。

附属書SLのもっとも大きな利点は、同時にもっとも大きな制約となっています。規格に高度な一貫性を強制するということは、各分野の規格策定者が理想的と考える形で規格を構築する範囲が狭くなることを意味します。したがって、妥協は仕方のないことであり、特定の分野に対し特別に機能するというより、すべての分野において十分に機能するものを採用しなければなりません。このため、ある程度の摩擦と不満が生じます。

これに対応しようと、ISO は2018年の終わりに、今は附属書Lと名称を変更した当該附属書の限定的な改訂を実施するためにタスクフォース 14 (TF14) を設けました。この改訂の範囲は、Appendix 2 に掲載されている上位構造のテキストに軽微な変更を加えることと、Appendix 3 の既存の内容を強化するために規格策定者に追加のガイダンスを提供することです。

TF14の最初の会合は2019年2月にアトランタで行われ、そののち、1つまたは複数の分野固有の規格に現在含まれている重要なトピックを附属書Lに取り込むことで、すべての規格に適用すべきかどうかを検討する作業グループ (WG) を立ち上げました。重要なトピックとは、変更のマネジメント、組織の知識、インシデント、(不) 適合 (non) conformity と (ノン) コンプライアンス (non) compliance、緊急事態への備え、外部委託 (outsourcing) とリーダーシップ、ガバナンスと文化です。

作業グループの成果は、続く7月にウィーンで行われた会合で検討され、その際に、改訂する附属書L に組み込むべきなのは変更のマネジメントのみであり、その他のトピックは任意のままとすることで合意されました。

TF14からのその他の重要な提言は、現行の上位構造で「外部委託したプロセス outsourced processes」としている文言を、「外部から提供されるプロセス、製品及びサービス externally provided processes, products and services」に変更するというものです。これにより、多くのコメントが寄せられ、あまりよく理解されていないらしい「外部委託する outsource」の現在の定義はなくなります。

TF14が決定しなければならない事項でおそらくもっとも物議をかもすであろうものはリスクの定義でしょう。現在、以下の3つの選択肢が検討の対象となっています。1つ目は、現在の附属書SLのリスクの定義 (不確かさの影響) を残す、2つ目はISO 31000 リスクマネジメントのリスクの定義 (目的に対する不確かさの影響) を採用する、3つ目はリスクについて共通の定義はなくして。各分野がそれぞれ自分たちの定義を設定する。

変更点に関する協議プロセスの一環として、個々のISO 技術委員会 (TC) にこれらの選択肢についてコメントを求めました。TF14はISO 31000の定義を採用する方向でしたが、複数の技術委員会からはこれをコンセンサスとするのを阻止するに十分なほどしつこく反対意見が出ています。その結果、各技術委員会がそれぞれの定義を決定するようにした場合、どのような影響があり得るかを特定するためのワークグループが組織されました。

その他の関連の作業としては、規格策定者がAppendix 2の要求事項を解釈するためのガイダンスを提供するAppendix 3 の改善があります。

ウィーンでの会合後、Appendix 2と3の改訂の作業草案がまとめられ、TF14の活動への参加が登録されている技術委員会と国家規格機関からのコメント募集のために回覧されました。受領したすべてのコメントは、2020年1月13日から17日までの日程でシドニーにて開催されるTF14の会合で話し合われます。その結果を反映した2回目の草案が、2020年後半に行われる最終投票に先立ち回覧し、コメントを募集するために作成されます。

IRCAでは引き続き、附属書Lの改訂情報についてお伝えしていきます。

※IRCAの各詳細は下記よりご確認頂けます。

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