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クオリティに対する意識を高める: シーメンスにおける事例

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クオリティに対する意識を高める: シーメンスにおける事例

シーメンスにおけるプロジェクトの主任品質マネジャーであるポール・ヴォーン (Paul Vaughan) 氏が、従業員の関与を進め、品質ツールの利用に対するモチベーションを高めるためのシーメンスの取組みについて語っています。(提供記事)

quality.org に掲載の英文の記事はこちらから

過去の、そして現在の偉大なクオリティのパイオニアたちのお蔭で、私たちは本当にすばらしい品質ツールを自由に使うことができます。そのうちのかなりのものがシーメンスにおいて使われていましたし、今も使われています。しかし、燃焼は3要素 (可燃物、酸素、熱源) が揃わないと起こらないのと同じく、ツールそのものに加え、これらのツールが実施され、継続的改善が達成されるためには、その他多くの重要な要素があるということを私たちは認識しています。その中でも明らかなのは以下のものです。組織のビジョン、目標と戦略をビジネスの方向性という文脈 (context) とすべてのステークホルダーの利益にとってもっともよい形で提供しようとすることが必要であり、従業員がそれぞれの業務について力量をもつことが必要であり、トップマネジメントが最大限のコミットメントと支援によりプロセスを導くことが必要です。しかし、取組みが失敗する最大限の原因の1つは以下のことが欠けていることであるのはほぼ間違いありません。つまり、従業員にツールを使いたい、継続的改善を達成したいという願望があるかということです。

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よいクオリティ、悪いクオリティ、どちらも行動と習慣に結びついています。しかし、本能的なものではありません。赤ちゃんの最初の一歩は自然に本能的なプロセスです。しかし、その一歩は大人を真似たい、探検したいといった動機によっても促されているでしょう。つまり問題は、どうやったら従業員にそういった願望をもたせることができるかかということです。最初の一歩 (変化) を踏み出したいという願望です。

これはシーメンス内で私たちが直面した非常に現実的な疑問でした。私たちは幸運なことに包括的でダイナミックなビジネスマネジメントシステム (BMS) をもっています。これは何年にもわたり、ISO 9001:2015 の審査で認証機関にレビューされているものです。すばらしいマネジメントシステムツールです。唯一の問題は、それは従業員に「本能的に」使われてはいないということでした。

同様に、シーメンスでは全従業員がアクセスできる優秀な専用のソシアルネットワーキングのツール (SSN) をホスティングし、維持しています。本当のところ、このツールは例えばベストプラクティス、学んだ教訓、トレーニングイベントなど大量の情報を効果的に伝達する素晴らしい機会を提供できるものです。ここでも問題はこれを使うのは一部の熱心な人々だけだったということです。

では先ほどの問いに戻ります。どうしたら人々にツールを使いたい、プロセスに従いたい、継続的に改善したい等々の願望を持たせることができるのでしょうか。私たちが先に進むための「青写真」を描くためには「意見の一致」が必要です。

ターゲットとする人々の気持ちになって考えてみましょう。自問してみてください。もし私がこれを使う対象だとしたら、これから何を得たいと思うだろうか。意識的にしろ、無意識的にしろ、人は「これは私のためのものなのか」と問うのは人の常です。理想的な「ウィン-ウィン」の状況をつくりだすということです。

なぜ特定の活動をしなければならないのかを推奨するためには、可能な限り事例的な証拠や経験を使うことです。絶対に必要なのでなければ、「何々すべし」といった理不尽な命令はしないようにしてください。言われたからやるというのは、何かをやりたいからやるというモチベーションやコミットメントとは異なります。

事例やプレゼンテーションは対象となる人々に合わせましょう。これはレベルを下げるという意味ではありません。可能であれば、堅苦しくしないでください。人間らしくしてください。ちょっとしたユーモアを付け加えるのは悪いことではありません。

つまり、対象となる人々と交流するのです。その人たちにこれは自分たち自身に関わることだと感じるようにさせましょう。「ユーザー」として、自分たちの声が重視されている、言うことが聞いてもらえ、対応してもらえると保証しましょう。

クオリティの青写真を実行する

2017年初頭、私たちは上に述べた青写真の原則を実施するために、全社的なクオリティ導入のプレゼンテーションをつくろうと苦しみ模索していました。結果として、今、私たちにはクオリティチームのメンバーの一人がナレーションをするクオリティ導入ビデオがあります。ビデオでは、クオリティプロセスのためになる概要が、ユーモアを交え、必要十分なレベルまで詳細に述べられています。BMS の採用を促すため、このビデオではBMS がどこにあり、どのようにアクセスするかの実例が示されています。

青写真が望ましい影響を及ぼすためには、私たちにはこれを推進するためのきっかけが必要でした。偶然にも、私たちは当時、来るべき世界クオリティデー (WQD = World Quality Day) での取組みを計画しているところでした。

英国の鉄道会社クロスレールはWQD を進んで活用し、世界クオリティ週間 (WQW =World Quality Week) として展開しています。ここ数年、シーメンスはクロスレールの請負業者としてこの取り組みに積極的に参加していました。シーメンスのWQD への関与はクロスレールのプロジェクトを通して行われてきましたが、自分たち独自でWQW を実行することにしていたのです。

シーメンスのクオリティマネジメントチームはWQWを成功させるための取組みを決めるために集まりました。下記が決定された主な要求事項です:

  • トップマネジメントのコミットメントを実証する
  • 一貫したクオリティのメッセージを伝える
  • シーメンスのWQW をCQI の「日々のリーダーシップを讃える」のテーマに合せる
  • 主たるコミュニケーションのツールとしてのSSN の利用を推進する

効果的なコミュニケーションはWQWの取組みの成功にとって不可欠であると考えました。SSN が媒体として合意されると、会社のコミュニケーションチームにサポートをするよう連絡しました。

この取り組みとクオリティに対するシーメンスのトップマネジメントのコミットメントを実証するため、シーメンス・モビリティの代表取締役と鉄道のオートメーション担当の複数の役員に、自分たちにとってクオリティは何を意味し、クオリティが我々皆にとって重要であるということを宣言するビデオメッセージをつくってもらいました。さらに、クロスレールのクオリティ責任者の1人へのインタビューを録画しました。

パワーポイントのプレゼンテーションには日常のテーマを裏付ける音声とビデオが含まれていました。

WQW の2週間前に、WQW への参加意識と意欲を高めるため、SSN を含むマルチチャンネル通信を実装しました。

日々の仕事を優先しなければなりませんし、クオリティ関連の他のイベントもあったので、プログラムの準備が整っているか確認するためにWQW の1週間前はチームは大忙しでした。

2017年の世界クオリティウィーク

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11月6日、月曜日:

SSNを通じたシーメンス・モビリティの代表取締役のシーメンスWQWとクオリティが自分にとってどのような意味を持っているかを紹介するビデオによるプレゼンテーションで私たちのWQWは幕を開けました。これに、「クオリティとは何か」を概説するビデオが続きました。午後には、私たちのチームのISO 9001:2015規格の導入により生じた変化を説明するナレーション付きのビデオプレゼンテーションがありました。

11月7日、火曜日:

顧客の立場から、クロスレールのクオリティ責任者のクオリティに関する洞察に満ちたビデオインタビューのあと、サプライヤーのクオリティ評価のプレゼンテーションがありました。午後は、私たちのチームの製品及びサービスのクオリティについてのプレゼンテーションです。

11月8日、水曜日:

シーメンス・レール・オートメーションの代表取締役による、クオリティにかける自分の思いとなぜクオリティがオペレーション成功の鍵なのかという、情熱的なビデオプレゼンテーションのあとは、よいクオリティ対悪いクオリティのプレゼンテーションが続きました。午後、私たちのチームはシーメンス・クオリティ・スポッター開始を喚起するプレゼンテーションを行いました。シーメンス・クオリティ・スポッターとは、不適合が顕在化する前に不適合を識別し、対応する機会を従業員に提供するフォームです。

11月9日、木曜日:

テクノロジー及びクオリティ/環境/安全衛生担当役員からのビデオメッセージでは、トレーニングのクオリティの重要性が強調され、その後、すべてのサイトのクオリティマネジャーたちによる「日々のリーダーシップを讃える」のプレゼンテーションが続きました。午後には私たちのチームのナレーション入りの「クオリティ行動」のビデオが配信されました。

11月10日、金曜日:

クオリティトレーニングの教材やBMS サーベイへのリンクのほか、クオリティ部門長からのWQW のイベントの総括とクオリティが「最初から適切で、いつも適切」であることの重要性を再度強調するビデオメッセージがありました。

世界クオリティウィークがもたらしたもの

シーメンスのWQWの取組みが前例のない成功を収めた理由は以下のとおりです:

  • トップマネジメントのコミットメントを実証した: WQWの取組みを支援するために、トップマネジメント (最上級経営層) が時間を使ってレコーディングしたビデオメッセージを通じて、トップマネジメント自らがクオリティにコミットしていることを実証しました。
  • クオリティに対する認識: シーメンスのクオリティプロセス、製品及び必要な行動に対する認識をプレゼンテーションを通じて高めました。
  • CQI (Chartered Quality Institute) - コーポレートパートナーシップ: シーメンスとCQI のコーポレートパートナーシップを、特に木曜日のリーダーシップに関するプレゼンテーションを通じて、より堅固なものとしました。
  • SSN の推進: このキャンペーンでは、220人以上の従業員がハッシュタグ「#WQD」と「#WQW」がついた55の投稿をフォローしました。また、共有プラットフォームを通じて700人がビデオを視聴しました。
  • クオリティの注目度: シーメンスの従業員は今や、だれがクオリティ責任者であるかを知っています。そして、もっと重要なのは、クオリティに関することについては、責任者のところに行って相談するというプラスの変化が起こったことです。
  • ビジネスマネジメントシステム: ビジネスマネジメントシステムに関するフォローアップ調査では、BMS のさらなるトレーニングの必要性と改善の機会が特定されました。
  • WQD 日々のリーダーシップを讃える: 300人以上の人が「日々のリーダーシップを讃える」のプレゼンテーションに出席しました。
  • 従業員からのフィードバック: SSN を通じてWQW のイベントに対するポジティブなフィードバックが寄せられ、モビリティ部門だけでなく、他の部門や国、例えばブラジルやドイツなどにもたくさんの出席者/視聴者がおり、シーメンスの従業員にクオリティチームが効果的に働きかけることができたことが示されました。
  • シーメンス内における認知: この前例のない成功はシーメンスのトップマネジメントに認められ、WQW チームはシーメンスチャンピオン賞にノミネートされました。これまでに、銅賞と銀賞を授与されています。さらに、シーメンスWQW チームは、権威あるヴェルナー・フォン・シーメンス賞にもノミネートされています。

ワールド・クオリティ・デー2018におけるCQI|IRCA からのメッセージはこちら

※IRCAの各詳細は下記よりご確認頂けます。

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