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CPD 推進イベント報告『内部監査能力の育成』第1回

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CPD 推進イベント報告『内部監査能力の育成』第1回

去る7月19日 (金)、2019年度のCPD 推進イベントである『内部監査能力の育成』の第1回のセッションが11名の参加者を得て行われました。今回のCPD 推進イベントではIRCAのQMSプリンシパル審査員であり、IRCA認定研修機関 株式会社エル・エム・ジェイ・ジャパンの主任講師である青木明彦氏がコーディネーター/講師となり、月に1回ずつ、7月から12月まで6回連続で内部監査能力とは何か、どのように内部監査を実践するかを追求していきます。

このCPDの目的は以下のことを参加者で検討し、実践していくことです:

● 組織にとって役に立つ、付加価値の高い内部監査とはどのような監査か
● 内部監査をどのように実施したら、効果的かつ付加価値を高めることができるか

今回、第1回目は、内部監査を実施する前提として、事業活動に役立てるため、ISO 9001:2015の要求事項の意図を理解することが目的として定められていました。

1) 導入

セッションは、このコースの目的がどこにあるかについての説明から入り、参加者各自の目的を確認する自己紹介から始まりました。

最初に青木講師が内部監査の心得として強調したのは以下の4点です。

  • 第三者審査を基準にするな、真似をするな
  • 第三者審査に頼っていてはだめ = 自分の会社は自分たちでやっていく
  • 第三者審査員の側に立つのではなく、会社を守る、自己防衛する
  • ISO 規格は肯定するが、制約のために直訳されており日本語がわかりにくい = 意図するところを理解する


これから6回掛けて学ぶこと

★ 目指すべき内部監査
1) パフォーマンスを改善するための監査
設計には設計課長というプロ、購買には購買課長というプロがいる ⇒ 監査員がポッと行って、太刀打ちできるわけがない ⇒ だから一緒に考える ⇒ でも、どうやって?
2) 不適合を改善課題に変える監査
内部監査では不適合を指摘してもだめ
内部監査は問題点を顕在化して、改善すること ⇒ でも、どうやって?
★ 監査員と被監査部門の関係
避けるべき関係        泥棒 vs 警官      不適合を「摘発」する
好ましい関係           患者 vs 医者      現場が困っていることを見つけ、気付きを与え、改善を助ける ⇒ でも、どうやって?
★ 何を見るか
9001の「要求事項の文言」で監査をしてはだめ ⇒ ではどうやって監査する?

これらを以下に示したカリキュラムに沿って、6回にわたり、耳で聞いて覚えるのではなく、実際に具体的な方法を「体験」し、体で覚えていくことになります。

1回目 ISO 9001:2015 年版 事業活動に役立てる要求事項の意図を理解する
2回目 組織に合致したQMSのあるべき姿を考える
3回目 適合性監査の不適合から組織のQMSの弱点を導き出す
4回目 品質情報を分析して事業活動のボトルネックを仮説として抽出する
5回目 管理者に直接質問して特定した仮説を検証し改善の合意を得る
6回目 経営トップにQMS情報を提供する監査報告書を書く

なお、参加者の皆さんはそれぞれ所属する企業の中でQMSについて指導的な立場で活躍されていますが、自己紹介の中ではそれぞれの立場や取り組んでいること、困っていることなどが共有されました。

参加者が抱えている問題のパターンは大きく2つに分けられます:

1. QMS が形骸化している
青木講師
トップに何を提言するか
トップに要求事項の説明をしてはダメ。ムダと利益、スリム化と強化、会社にとってどういうメリットがあるかについて語ればトップは関心を示す⇒でも、どうやって?
QMS 運用の目的は何かを明確にする ⇒認証維持のためではよくならない

2. 内部監査のスキルが上がらない
青木講師
せっかく監査して嫌われては何にもならない ⇒あの監査員はいい監査員だったね、監査があったらまたあの人に担当してもらいたいねと言われるようにしていかなければならない ⇒でも、どうやって?
● 監査で確認しなければならないのは適合性と有効性 (箇条 9.2.1)
適合性はチェックリストを使って素人でも監査できる
しかし、有効性は素人では監査できない ⇒有効性を監査するにはどうしたらいい?

2) ISO 9001:2015 要求事項の意図 – ISO 9001:2015は何を目指しているのか

今、管理職となっている人たちは20年前、30年前にISOが導入された際に関わり、トラウマになっている人も多いため、2015年版は何が違うのかを説明ができなかったら、まともに取り合ってもらえない、内部監査員は要求事項の説明ではなく、規格の意図を説明できるようにならなければならないということが強調されました。

2015年版では、約30年続いた第三者認証継続からQMSの自主運用に軸足が移され、今までISO の審査のため (だけ?) にやってきたこと、例えば品質マニュアル、手順書、管理責任者に関する要求事項がなくなり、その代わり、事業活動とQMS を融合させる、統合させることが要求されています。会社の目的達成、つまり、会社が利益を上げ、存続することにQMSを活用するということです。

箇条 0.1 (1)
ISO9001 の策定者がQMSの構造を画一化したり、文書類を規格の構造と一致させたり、同じ用語を使う必要はない、自分の会社に合ったものにしなさいと言っている。
⇒ しかし、第三者認証審査での不適合を恐れ、規格そのままのようなシステムにしている場合もある。 ⇒ 事業活動とQMS のダブルスタンダードが発生している。
箇条 5.1 c)
規格は、トップマネジメントは事業活動とISO を分離してはだめ、ダブルスタンダードはだめと言っている。⇒何のためにISO を使ってQMSをつくったのか、目的は何か。QMSの戦略を経営トップが出す。
箇条 9.3
トップは、マネジメントレビューで自分の出した戦略が達成されたかをチェックする。

そして、管理職の腹に落ちるように説明する際に有効なキーワードとして、スリム化 (ムダを省く) と強化が紹介されました。例えば、記録について、「何に使うのか」、「だれが使うのか」、「なくしたら何か困ることが起きるのか」と問いかければそれがムダな記録なのか、必要な記録なのかが腹落ちするということが示されました。

このような考えに基づき、逐条ではなく、規格の意図に基づく、ISO 9001:2015の要求事項に対する説明がなされました。また、JIS Q規格がわかりにくい原因の1つは、ISO 規格から何も引かない、何も足さないことがISOと同等と認められるために要求されていることにあるということ、したがってその難しい日本語をどのように解釈するかが重要であるとして強調されました。

一例として、言葉を逆にすると関連が理解しやすくなるということも示されました。

第1回目のセッションでは、このようにISO 9001:2015 の要求事項について、関連する箇条を引きながら、また、随時、質問を受けながら、まさに腹落ちする解釈が示されました。

8月30日の第2回目からは、いよいよ演習を交えた実践的なセッションとなります。

※IRCAの各詳細は下記よりご確認頂けます。

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