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イベントレポート: 第4回 第二者監査 みんなで学ぶ課題と改善の情報共有

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イベントレポート: 第4回 第二者監査 みんなで学ぶ課題と改善の情報共有

2026年7月9日、IRCAジャパンはディスカッション形式ウェビナー「第二者監査 みんなで学ぶ課題と改善の情報共有」第4回を開催しました。今回のテーマは「現場監査の進め方」です。第二者監査の目的は、不適合を見つけることではありません。品質向上につながる課題を発見し、改善に結び付けることです。しかし現場では、「反論や言い訳への対応に時間を取られる」「指摘後の改善提案に踏み込めない」「本音を引き出せない」といった悩みが多く聞かれます。今回のウェビナーでは、参加者アンケートで特に関心の高かったテーマを中心に、現場監査におけるコミュニケーションや改善支援の在り方について活発な意見交換が行われました。 

イベント概要
タイトル: 第4回 「第二者監査 みんなで学ぶ課題と改善の情報共有」
開催日時: 2026年7月9日 13:00 ~ 15:00
第4回のテーマ: 現場監査の進め方 
コーディネーター: 青木明彦さん (IRCA登録 QMS Principal Auditor)
司会進行: IRCAジャパン 澁谷由希子

テーマの背景

本シリーズは、第二者監査を単なる適合性確認から、品質改善や組織成長につながる活動へ発展させることを目的として開催されています。

青木講師は、これまでの議論を振り返りながら、4月に「監査を実施しても品質パフォーマンスが向上しない」、5月に「チェックリスト主体の形骸化した監査」、6月に「チェックリスト依存による負担増加」などの課題が多く挙がったことを紹介しました。そして、監査の付加価値を決定づけるのは「事前準備」と「現場監査」であり、今回の現場監査のテーマは年間を通じても特に重要な位置付けであると説明しました。

また、現場監査では管理者との対話や原因の深掘りが不可欠である一方、限られた時間の中で多くの項目を確認しなければならず、本来掘り下げるべき問題に十分な時間を割けないという実情も共有されました。

今回取り上げた課題の概要

毎回、事前アンケートを取り、関心の高いテーマを10項目から選んでいただいています。今回、特に参加者の皆さんの関心が高かったテーマは次の4項目でした。

  1. 仮説を検証する質問に対して言い訳や反論が多く、問題合意まで時間がかかる
  2. 指摘事項を合意した後、改善方法まで問われても監査員として責任を持てない
  3. 初回会議で監査への関心を持ってもらうための印象付けができていない
  4. 管理者の緊張を和らげる雰囲気づくりに十分な時間をかけられない


これらの項目に関して参加者の関心は大きく分けて、以下の3点に集約されました。

  • コミュニケーション
  • 問題の深掘り
  • 改善への関与

ディスカッション概要

監査の成否を左右する「初回会議」と「雰囲気づくり」

青木講師は、現場監査の第一歩としての初回会議の重要性を強調しました。監査対象者は「何を指摘されるのか」「不適合を出されるのではないか」という警戒心を持っています。そのため、初回会議で監査の目的や監査テーマを明確に伝え、「監査を通じて品質改善を共に考える」という姿勢を示すことが重要であると話します。

また、いざ現場に入ったら、すぐにチェックリストに沿った質問を行うのではなく、まずは雑談から入り、管理者が本音で話せる雰囲気をつくる必要があるとの考えが共有されました。では、どうしたら雰囲気づくりができるのか。参加者からはさまざまな意見が出ました。

  • 工場の立地や地域の話題を活用する
  • 製品や事業内容への関心を示す
  • 監査前に会社情報を調べ、良い取り組みに触れる

青木講師は、監査対象者との関係を「泥棒と警官」ではなく「患者と医者」であるべき、まずは相手の話を聞き、本音を引き出す関係構築が必要であると述べました。

言い訳や反論はなぜ起こるのか

今回最も関心が高かったテーマが、被監査者からの反論や言い訳への対応でした。

青木講師は、「現場は現場なりに自分たちは正しいと思って運用している」という前提を理解することが重要だと説明しました。監査員が問題を指摘すると、現場側は自身の判断や管理が否定されたように感じ、反論したくなるものです。

したがって、次のような段階を踏む必要があります。

  1. まず相手の考えを受け止める
  2. どのような価値観や判断基準で運用しているかを確認する
  3. 改善の必要性を共有する

また、監査前に監査テーマや着眼点を現場側と事前に共有し、現場側にも事前検討の機会を与えることで、建設的な議論につながる可能性があるという意見も示されました。

監査は不適合を指摘して終わりではない

もう一つ大きな論点となったのが、「改善方法まで踏み込むべきか」というテーマです。

参加者からは、以下のような実践例が紹介されました。

  • 指摘の根拠を丁寧に説明している
  • リスクや将来起こり得る問題を具体的に伝えている
  • 他社事例や考え方を共有している

青木氏は、「監査員はコンサルタントではない」という考え方に縛られすぎることで、改善に向けた気づきを与える機会まで失っている場合があると指摘しました。

とはいえ、監査員が責任を負って改善策を決めるべきではありません。ただし、次のようなことは十分可能であり、品質向上につながる監査の価値はそこから生まれると述べました。

  • 他の視点を提示する
  • 別の考え方を示す
  • 改善の方向性を一緒に考える

「不適合探し」から「育成支援」へ

議論の後半では、第二者監査の役割そのものについて意見交換が行われました。

青木講師が繰り返し強調したのは以下の事項です。

  • 不適合を見つけることが目的ではない
  • 原因を深掘りしなければ改善につながらない
  • 外部提供者を育てる視点が重要
また、すべての取引先に対して画一的に対応を行うのではなく、重要なビジネスパートナーに対しては長期的な育成の視点を持ち、自社の知見や考え方も共有しながら品質向上を支援していくことが求められるとの考えが示されました。

参加者からの声・関心事項

ウェビナー中を通して、チャットや発言から、参加者の持っている課題意識が読み取れました。

被監査者側の「監査」への苦手意識をどう和らげるか

医療・治験分野では、「監査」という言葉自体に査察や取り締まりのイメージがあるため、どうしても構えた対応になりがちであり、監査の目的や位置付けを丁寧に説明する必要があるというコメントがありました。

本音を引き出すコミュニケーション

参加者の多くが、アイスブレイクや雑談の工夫、相手への敬意や感謝の表現が信頼関係の構築に有効であると考えており、さまざまな実践例が共有されました。

改善提案の難しさ

「どこまで改善提案してよいのか」という悩みは多くの参加者に共通しており、監査員は答えを与えるのではなく、改善に向けた気付きを与える役割と捉える考え方に共感が集まりました。

グッドポイントの活用

内部監査では、よい取り組みを横展開する目的でグッドポイントを共有しているという意見が複数ありました。しかし一方で、第二者監査では評価基準が曖昧になりやすく、受け取られ方もさまざまであり、慎重な運用が必要との議論も行われました。

リスクに基づく考え方への関心

限られた監査時間の中で、すべてを確認するのではなく、重要な問題に集中し、原因まで深掘りするリスクベースの考え方に多くの関心が寄せられました。

まとめ

今回のウェビナーでは、現場監査の成果は監査技術だけでなく、被監査者との信頼関係やコミュニケーションによって大きく左右されることが改めて確認されました。

特に、価値ある第二者監査の重要なポイントとして以下が挙げられました。

  • 監査目的を共有すること
  • 本音を引き出せる雰囲気をつくること
  • 不適合で終わらず原因を深掘りすること
  • 改善の方向性を共に考えること
  • 外部提供者を育成する視点を持つこと

第二者監査は、相手の問題を探し出す活動ではなく、品質向上という共通の目的に向かって協働するプロセスです。今回の議論で共有された実践的な工夫や経験は、多くの参加者にとって、より効果的な現場監査を考えるヒントとなる内容となりました。

より詳しい内容、参加者の皆さんの生のお声や青木さんのコメントは以下のリンクからご覧いただけます。非常にボリュームのある内容です (リンク先のページへのアクセスにはメンバーログインが必要です)。

当日の参加者からのコメントと青木さんのコメントはこちらのページへ

質疑のページでは資料にもアクセスいただけます。

CQI レポート The Future of Work 未来の働き方
IRCAテクニカルレポート:ISO22000:2018