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イベントレポート: 第5回 第二者監査 みんなで学ぶ課題と改善の情報共有

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イベントレポート: 第5回 第二者監査 みんなで学ぶ課題と改善の情報共有

2026年8月6日、IRCAジャパンはディスカッション形式ウェビナー「第二者監査 みんなで学ぶ課題と改善の情報共有」第5回を開催しました。今回のテーマは「トップインタビューの進め方」です。第二者監査では、現場監査の実施方法について議論する機会は多い一方で、外部提供者の経営トップに対するインタビューの目的や進め方について十分議論される機会は多くありません。実施の必要性そのものに疑問を感じる監査員もいれば、何を質問すればよいのか分からない、建前論で終わってしまう、という悩みも少なくありません。なお、今回のテーマに入る前に、IRCAの発行した ISO 9001:2026ブリーフィングノートを踏まえ、ISO 9001:2026に関する話題が青木講師から提供されました。

イベント概要
タイトル: 第5回 「第二者監査 みんなで学ぶ課題と改善の情報共有」
開催日時: 2026年8月6日 13:00 ~ 15:00
第5回のテーマ: トップインタビューの進め方 
コーディネーター: 青木明彦さん (IRCA登録 QMS Principal Auditor)
司会進行: IRCAジャパン 澁谷由希子

CQIブリーフィングノートから考えるISO 9001:2026への対応

本編のディスカッションに入る前に、青木氏からISO 9001:2026改訂版に関する話題が紹介されました。

青木氏は、CQIが公開しているISO 9001:2026改訂版のブリーフィングノートを取り上げ、改訂版規格が発行される前の今の時期だからこそ、要求事項の細部ではなく全体像を理解することが重要であると説明しました。特に、移行対応を意識すると、箇条4以降の要求事項から読み始められがちなこと、そうするとどうしても個別要求事項への対応に意識が向きやすくなることが指摘され、まずはブリーフィングノートを活用して改訂の方向性や意図を把握することを勧めました。

また、青木講師はPDF版のブリーフィングノートをあえて印刷し、現行規格との違いに着目しながら読み進め、自分なりに短い文書にまとめたことを紹介し、ISO 9001:2026は大幅な要求事項追加というより、これまで実施してきた活動のレベル向上を促す改訂、2015年版の要求事項をより明確化する改訂という印象を持っていることを共有されました。これを踏まえ、「新しい要求事項を探すことよりも、現在のQMSをどのように改善し、パフォーマンスを向上させ、事業に役立てるかを考えることが重要である」と述べました。

この話題に対して、参加者からも以下のようなコメントが多く寄せられました。

  • ISO 9001:2026の発行予定日に関する情報共有
  • 「文書化した情報を使える状態にする」という考え方への着目
  • 品質文化や倫理的行動に関する要求事項への関心
  • 社内展開に向けて分かりやすい言葉へ置き換える必要性


また、「(自分も青木講師のように)ブリーフィングノートを印刷し、2015年版との違いを整理しながら自分の言葉で理解したい」「ISO用語をそのまま展開するのではなく、現場に伝わる言葉で説明したい」といった意見も見られ、参加者が規格改訂を単なる認証対応ではなく、自社のQMSを見直す機会として捉えている様子がうかがえました。
青木氏は、移行期限だけを意識して慌てて対応するのではなく、新しい規格で求められる方向性を理解した上で、自社の改善計画と結び付けながら段階的にレベルアップしていくことが重要だとまとめました。

テーマの背景

トップインタビューは第二者監査の中でも実施方法が組織ごとに大きく異なる領域です。外部提供者の経営トップへ直接インタビューする企業もあれば、品質責任者との面談に代替している企業もあります。

青木講師は、ISOの第三者認証審査で実施されるトップインタビューをそのまま第二者監査へ持ち込むことで、本来確認すべき事項がぼやけてしまうケースが少なくないと指摘しました。第二者監査の目的は、ISO要求事項への適合確認ではありません。自社が委託している製品やサービスの品質を確保し、向上することが目的です。そのため、品質方針や経営理念を聞くだけでは不十分であり、品質問題に対して経営トップがどのように関与しているかを確認する必要があると説明しました。

今回取り上げた課題概要

事前アンケートで提示された課題の中から、特に関心が高かった4項目がディスカッションテーマとして取り上げられました。

  1. 第二者監査で経営トップの認識や行動を変えるための効果的な質問が思いつかない
  2. トップインタビューを実施する必要性を判断する基準が決まっていない
  3. 外部提供者の品質保証体制を見ても経営トップが関与する内容まで記載されていない
  4. 経営トップへ品質問題の対応を聞いても建前で説明されるため指摘できない


参加者の関心は大きく次の3点に集約されていました。

  • トップインタビューの必要性
  • 経営トップへの質問方法
  • 品質問題と経営層の関与の結び付け方

ディスカッション内容

トップインタビューは「必要な時だけ実施する」

青木講師は、トップインタビューを毎回実施すること自体が目的ではないと説明しました。

現場監査を実施した結果、現場レベルでは解決できず経営判断が必要な課題が見つかった場合に、トップインタビューの必要性が高まるという考え方です。重要な課題とは例えば、以下のようなものです。

  • 社会的責任に関わる問題
  • 重大な品質問題
  • 慢性的な品質不良
  • 是正処置が機能していない問題

提供される特定の製品やサービスのプロセスに的を絞った第二者監査の場合、現場監査の前にトップインタビューを実施しても単なる一般論や理想論になりやすく、むしろ現場監査後にトップインタビューが必要かどうかを判断した方が有効であるとの見解が示されました。

建前ではなく「行動」を確認する質問へ

参加者からは、「品質方針を聞いても建前しか返ってこない」という悩みが共有されました。

これに対し青木講師は、「品質方針は何ですか」という漠とした質問ではなく、以下のように具体的な事実に基づく質問が重要であると説明しました。

  • 現場で発生している問題はトップに報告されているか
  • 誰から情報が上がる仕組みになっているか
  • 報告を受けてどのような経営判断をしたか
  • 指示した内容は実行されているか


つまり、第三者認証審査とは違い、第二者監査のトップインタビューでは経営理念や考え方を聞くのではなく、実際の行動や仕組みを確認することで、本音に近い情報を引き出しやすくなるという考え方が共有されました。

指摘すべきは個人ではなく仕組み

議論では「経営トップが適切に動いていなかった場合、どのように指摘すべきか」という話題も取り上げられました。

青木講師は、経営トップ個人を評価したり批判したりすることは第二者監査の目的ではないと説明しました。問題があった場合に確認すべきなのは、以下のような事項であり、指摘すべき対象は個人ではなく組織の仕組みであると整理しました。

  • 品質問題が経営トップへ伝わる仕組み
  • 経営判断が現場へ伝わる仕組み
  • 是正処置が運用される仕組み

トップインタビューは改善につながらなければ意味がない

参加者からは、自社が監査を受けた際の体験が共有されました。

  • 一般的な質問が中心だった
  • 品質課題につながる議論がなかった
  • 記録不足の指摘だけだった

青木講師は、このような監査では経営層も現場も価値を感じにくく、品質改善にもつながらないと指摘しました。重要なのはチェックリストを消化することではなく、委託製品の品質向上や外部提供者の体質改善につながる課題を共有することだと説明しました。

参加者からの声・関心事項

ウェビナー中を通して、チャットや発言から、参加者の持っている課題や関心事が読み取れました。

トップインタビューの実施タイミング

「現場確認後に必要性を判断したいが、経営トップのスケジュール確保が難しい」という意見が寄せられました。事前に時間を確保しつつ、必要がなければ実施しないという考え方に多くの関心が集まりました。

監査員の力量向上

経営トップへのインタビューには、現場監査以上に高いコミュニケーション能力や質問力が求められるのではないかという声がありました。特に若手監査員の育成方法や力量認定について関心が示されました。

外部提供者/サプライヤーとの長期的な関係

参加者からは、自社だけでなくサプライチェーン全体を見据えた監査の重要性について意見交換が行われ、以下のような観点が共有されました。

  • 安定供給のための財務状況確認
  • 後継者問題
  • 事業継続リスク
外部提供者との協働

二者監査は相手を評価する活動ではなく、共に改善を進める活動であるという考え方に共感が集まりました。信頼関係を築きながら改善を支援することが、長期的な品質向上につながるという意見が共有されました。

リスクに基づく考え方への関心

限られた監査時間の中で、すべてを確認するのではなく、重要な問題に集中し、原因まで深掘りするリスクに基づく考え方に多くの関心が寄せられました。

ISO 9001:2026への関心

後半のディスカッションでも、ISO 9001:2026改訂版に話題が及びました。品質文化や倫理的行動、文書化した情報の活用、顧客満足レベルの把握など、新しい考え方への対応について参加者から質問や意見が寄せられました。

まとめ

今回のウェビナーでは、トップインタビューは単なる形式的な経営者面談ではなく、現場監査で把握した重要な品質課題を経営層の意思決定につなげるための手段であることが改めて確認されました。

特に、価値のある第二者監査の実現につながるトップインタビューを実施する際の重要なポイントとして共有されたのは以下の点です。

  • トップインタビューの目的を明確にする
  • 必要性を現場監査の結果から判断する
  • 建前ではなく行動や仕組みを確認する
  • 個人ではなく組織の仕組みを評価する
  • 外部提供者と共に改善を目指す


第二者監査の目的は不適合を探すことではなく、委託先と協力しながら品質保証体制を強化し、よりよい製品・サービスを実現することです。今回の議論は、監査員が経営層との対話を通じてどのように付加価値を高めていくべきかを考える貴重な機会となりました。

より詳しい内容、参加者の皆さんの生のお声や青木さんのコメントは以下のリンクからご覧いただけます。非常にボリュームのある内容です (リンク先のページへのアクセスにはメンバーログインが必要です)。

当日の参加者からのコメントと青木さんのコメントはこちらのページへ

質疑のページでは資料にもアクセスいただけます。

CQI レポート The Future of Work 未来の働き方
IRCAテクニカルレポート:ISO22000:2018