エコデザインの重要性│持続する品質~使い捨て社会は変わりつつあるのか?~
Mike Turner
Head of Profession
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エコデザインは、高い品質の製品にとってますます重要になってきています。最近では、環境に配慮した設計基準を求める声が高まってきています。当初はエネルギー効率についてでしたが、今では製品が世界の資源に与えるライフタイム (原材料の調達から廃棄後まで) の総合的な影響についても求められるようになってきています。
これを最初に主導したのはEUですが、現在は英国政府もこれに呼応しており、ブレグジットでもその立場は変わりません。メーカーも、消費者も、より高品質で長持ちする製品をつくり、修理し、再利用し、リサイクルすることに慣れる必要があるでしょう。ここで、品質マネジメントの出番です。品質マネジメントは、企業と社会の両方の持続可能性に重要な役割を果たします。
英国が排出する大量のゴミ
英国は、世界で2番目に電子廃棄物の排出量の多い国 (トップはノルウェイ) であり、世界では1人当たり、計7.3kgなのに対し、英国は29.5kg の電子廃棄物を排出しています。大した量ではないと思われるかもしれませんが、砂糖の入った袋を30個運ぶことを想像してみてください。さらに、Green Alliance の報告書によると、私たちの環境への影響は、ゴミやリサイクルをいかにマネジメントするかに留まらないことがわかります。私たちは主要な金属資源を枯渇させてもいます。これらの金属は、採掘される速度の10倍の速度で製造されています。
品質は生産されるモノだけの話ではありません
最近まで、製品の信頼性は法規制よりも顧客が期待するものに基づいていました。急速に発展するテクノロジーは、製品のライフサイクルを短くしただけでありません。長持ちする製品のニーズにも影響を与えています。私たちは消費者として、新しい製品を開梱し、使用し、所有することに、大喜びするようになっているようです。
しかし、私たちが品質 (クオリティ) と呼ぶものは変化しており、私たちが購入する製品が環境に与える長期的なダメージへの関心が高まるにつれて、ますます変化していくでしょう。また、規制当局にとっては、責任ある製品/サービスの設計と提供をメーカーに義務付ける基準を携え、このゲームに参加してくる機会にもなります。
すでにGreen Alliance は、以下を実現するためのより厳しい基準を要求しています。
- 製品の耐久性、修理性、アップグレード性を高める。これには、リサイクル可能な材料や原材料をいかに使うかということを慎重に検討することも含まれる。
- 一部の白物家電では、10年保証を標準とする。
現在の提案が現実のものとなれば、保証、社会、環境に関する情報が記載された「製品パスポート」を持つ日が近いかもしれません。
循環型経済は拡大し続けています
世界は、循環型経済の構築の一環として、製品/サービスの設計と提供に、より責任を取るようになり始めています。これには、採取―製造―消費のアプローチから、育成―共有―修理のアプローチへの移行が関係してきます。製品のライフサイクル全体に焦点を当てることは、一般の人々が環境をより意識して、要求を高め、ソーシャルメディアでより発信するようになるにつれ、普通のこととなっています。
顧客に製品を供給する企業は、市場で起こっていることを無視することはできません。そして、変化は突如急激に動き出す可能性があり、これはチャンスにも脅威にもなり得るのです。
品質マネジメントの明るい未来?
品質マネジメントの原則、実践、ツールを適切に使用することで、以下のような社会的要求に応えることができます。
- 製品寿命を延ばし、希少な資源を節約するために、品質と信頼性を考慮した設計を行う
- 回収不可能な廃棄物を削減するよう、責任をもって生産する
- 気候変動対策のために、製品をより有効に利用し、次世代のために地球を守ることに貢献する
CQI は、持続可能性の課題をリードしています。CQI の目的は、検査やISO 9001のようなマネジメントシステムに関することだけが品質であるという神話を払拭し、環境にやさしい経済の課題に取り組む専門家を支援することです。そして、「グリーン」は「リーン (lean 無駄がない、効率的)」でもあり、コストが掛かるということではないのです。
次の10年の気候変動の要求に応えるためには、エンドツーエンドの品質が必要です。