優れた品質マネジメントから価値を引き出す


Mike Turner
Head of Profession
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CQIのHead of Profession を務めるマイク・ターナーが、品質マネジメントの価値に関する、CQI とクランフィールド大学との研究の初期段階から得られた洞察と発見を共有します。
はじめに
少なくとも過去25年間にわたり (CQIの経験に基づけば)、あらゆるセクターの組織においてクオリティプロフェッショナルは品質マネジメントの価値を明確に伝えようと苦労してきました。事例が示す証拠によれば、品質担当の上級管理職は、製品及びサービスの品質改善とリスクへの露出の低減に関して上層部内で自らの意見を反映させようと努めています。
品質マネジメントの価値を明確に伝える
過去70年間にわたり、顧客、サプライヤー、規制、運用及び社会の成果に品質マネジメントが与える影響が示されてきました。顧客満足、収益の成長、運用効率、収益性が3から5年間にわたり持続的に改善していることがわかりました¹。
しかし、大規模な産業災害、IT導入の失敗、生命を脅かす製品欠陥は、品質マネジメントが効果的でない場合の危険性を示しています。では、なぜクオリティプロフェッショナルは取締役会で発言力をもつことに依然として苦労しているのでしょうか?
CQIは、この質問に答えるにあたり、品質マネジメントの価値を全体 (つまり、総合的品質管理) としてだけではなく、適切な組み合わせと適切な状況において、さまざまな利害関係者のニーズと期待を満たす価値を提供する一連のマネジメント介入としてどのように表現するかを明確にしようとしています。
マイク・ターナー CQI Head of Profession
主な研究成果と洞察
2024年、CQIは研究プロジェクトを、既存の研究結果を特定するために利用可能な文献の包括的なレビューから開始しました。デジタルトランスフォーメーションや持続可能な開発など現代のトレンドの影響を考慮するため、本研究では意図的に過去20年間の出版物に検索範囲を限定しました。以下のように、いくつかの重要な発見がありました。
- 過去の研究結果では、品質改善プログラムからもたらされる価値を予測することは容易ではなく、必ずしもプラスの影響を期待することはできないと示されています。これは、品質マネジメントと財務パフォーマンスの関係を仲介する他の要因が存在することを示唆しています。
- 品質マネジメントの影響を測定するために認識されている側面 (顧客、コスト/ 価値、利害関係者、社会的) は変わりはありませんが、品質マネジメントの構成要素がこれらの成果にどのように影響するかは依然として不明です。
- 持続可能性の要求とデジタル技術を確実に導入する必要性は、品質マネジメントがおそらく過去30年間よりも戦略的にさらに重要になっていく機会を生み出しています。
- クオリティプロフェッショナルにとって、簡単な解決策はまだ存在していません。品質管理者/リーダーがこの機会を活用するには、役割を刷新し、新たな能力を身に付けなければなりません。
未来の成功のための戦略的品質
これらの調査結果は、「原因と結果」の特定の種類の新たな概念モデル、つまり品質マネジメントと戦略価値の付加との間のリンクを構築するための新たな要因と促進要因を特定するツールの必要性を指摘しています。
これが、2025年4月から10月にかけて行われる次の作業段階において私たちが重視する点です。このツールは、品質リーダーが戦略的ツールとして品質マネジメントを推進する能力を持ち、組織がこの激動の時代を乗り越えて未来の成功への道を切り開くのを支援することを目的としています。
CQIは、研究が次の段階に進むにあたり、クランフィールド大学と引き続き協力していくことを楽しみにしています。また、今年9月に日本で開催される国際品質会議 (ICQ) で、CQI の研究成果を発表できることを嬉しく思います。ICQ2025プログラムでは、品質マネジメントの価値に関する基調講演セッションの詳細をご覧いただけます。
¹ The X-Factor – Winning Performance Through Business Excellence - 発行元 The Europea Centre for Business Excellence