変化が激しく、不確実、複雑で曖昧な世界におけるクオリティ


Vince Desmond
CEO, CQI IRCA
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「ワールド・クオリティ・ウィーク2025」ブログシリーズの第2弾では、CQIのCEO ヴィンス・デズモンドが、世界的な不確実性の中で、品質マネジメントと俊敏性を優先することの重要性を探ります。
私たちは不安な世界に生きています。地政学的及び地経学的な混乱、異常気候、社会の分断が悪化する可能性が高いです。統治機関はこの危うい状況を乗り越えられるという信頼は急激に低下し、一部の国家により損なわれつつあります。この極度の危うさと不確実性により、企業の計画に疑問が生じています。
ヴィンス・デズモンド CQI CEO
企業経営ジャーナリストであるサイモン・コーキン (Simon Caulkin) 氏は、トランプ政権下では「AIが支援しているとはいえ、経営は暗黒時代に逆戻りしつつある...」とし、「...今流行のwoke (ウォーク: 社会的不公正に対して高い意識を持つ) 経営として片づけられる可能性のあることに対する企業の強い反発」、そして「一部の男性CEOがいまだに憧れているような威勢のいい『速やかに行動し、物事を壊す』という経営スタイルへの回帰」が見られると述べています。
不確実性に俊敏に対応する
今日の変化が激しく、不確実、複雑かつ曖昧 (VUCA) な世界では、戦略が構築されるころには、世界はすでに変化してしまっていて、その戦略は実行される前に時代遅れになってしまうのではないかと多くの人が懸念しています。このような状況では、多くの組織が、じっと耐えてコストを削減し、最善に期待して状況を乗り切ろうとするかもしれません。これは民間部門だけの対応ではありません。米国からベトナムまに至るまで、各国政府は手早く公務員を削減し、公共機関を弱体化させています。
ビジネスの俊敏性がしばらく前から課題となっています。2年前のQuality ライブではアジャイル・ビジネス・コンソーシアム (Agile Business Consortium) から講演者を招き、ビジネスの俊敏性、イノベーション、及び品質マネジメントとの間のポジティブなつながりを探求しました。品質マネジメントが俊敏に反応し対応できるようにすることが重要です。
ヴィンス・デズモンド CQI CEO
しかし、特に品質マネジメントがコストとみなされる場合には、再編対策の一環としてクオリティの活動への投資を削減することがあります。そこに危険が潜んでいます。
能力を優先する
継続的な改善は複合的な効果をもたらします。短期的には、漸進的な改善はほとんど意味がありません。長期的には、組織が生産するものとその生産方法を改善するというこの複合効果は、すべて意味があることになる可能性があります。改善への投資を削減すれば、問題が蓄積され、長期的には競争優位性を失うことになるでしょう。
また、過去の経済的低迷や新型コロナウイルス感染症パンデミックの経験からも、コスト削減とは能力削減に他ならないことを知っています。いざ組織が自分たちの立場を最大化しようとするときが来ると、苦戦を強いられることになるでしょう。組織は、社内で、そしてサプライチェーンにおいて、中核となる能力を維持しなければなりません。中核となる能力を維持することにより、短期的及び長期的なクオリティの問題とリスクを軽減できます。
ヴィンス・デズモンド CQI CEO
新型コロナウイルス感染症パンデミックの間、CQIはクオリティチームがVUCAに対処できるように、破壊的変化 (創造的破壊) をマネジメントするためのツールを作成しました。今こそ、このツールを再検討するよい機会かもしれません(登録メンバー限定ページから利用できます)。
「異なる角度から考えよう」というCQI のワールド・クオリティ・ウィークのテーマとQuality ライブ2025の「夢想家と創造的破壊者」にというテーマは、グローバルコミュニティとして、ともにクオリティへの取組みについて考え、再構築するよう呼び掛けています。
私は6月のQuality ライブのみならず2025年を通して、現状に勇敢かつ革新的に対応している皆さんの話を聞くことを楽しみにしています。
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