2020年版ISO サーベイ結果速報 - 認証件数は全体で17%の増加
ISOは、マネジメントシステム規格認証に関する2020年度のサーベイの結果を発表しました。2019年と比較して、有効な認証が17%増加したことが報告されています。
ISOマネジメントシステム規格の有効な認証数の概要 2018-20年
規格 | 2018年認証総数 | 2019年認証総数 | 2020年認証総数 | 2019-2020 増減 (数) |
2019-2020 増減 (%) |
---|---|---|---|---|---|
ISO9001 | 878,664 | 883,521 | 916,842 | 33,321 | 3.77% |
ISO14001 | 307,059 | 312,580 | 348,473 | 35,893 | 11.48% |
ISO45001 | 11,952 | 38,654 | 190,481 | 151,827 | 392.78% |
ISO/IEC27001 | 31,910 | 36,362 | 44,499 | 8,137 | 22.38% |
ISO22000 | 32,120 | 33,502 | 33,741 | 239 | 0.71% |
ISO13485 | 19,472 | 23,045 | 25,656 | 2,611 | 11.33% |
ISO50001 | 18,059 | 18,227 | 19,731 | 1,504 | 8.25% |
ISO20000-1 | 5,308 | 6,047 | 7,846 | 1,799 | 29.75% |
ISO22301 | 1,506 | 1,693 | 2,205 | 512 | 30.24% |
ISO37001* | 389 | 872 | 2,065 | 1,193 | 136.81% |
ISO39001 | 547 | 864 | 972 | 108 | 12.50% |
ISO28000* | 617 | 1,874 | 520 | -1,354 | -72.25% |
Total | 1,307,603 | 1,357,241 | 1,593,031 | 235,790 | 17.37% |
*ISO 37001 Anti-bribery management systems -- Requirements with guidance for use (贈収賄防止マネジメントシステム-要求事項及び利用の手引)
*ISO 28000 Specification for security management systems for the supply chain (サプライチェーンのためのセキュリティマネジメントシステムの仕様)
今回の調査では、2020年12月31日時点で認定された認証機関の有効な認証書の総数に関するデータが報告されています。
サーベイの対象となった12種類のタイプ A (要求事項) マネジメントシステム規格に対する有効な認証は150万件以上報告されており、昨年に比べ253,790件増加しています。
今回のサーベイでは、ISO 9001 (品質マネジメントシステム) の認証件数が約4%、ISO 14001 (環境マネジメントシステム) の認証件数は11.5% の伸びを示しています。しかし、最大の増加を示したのはISO 45001 - 労働安全衛生マネジメントシステムで、認証数は2019年の38,654件から190,480件に増加しました。ISO は解説の中で、ISO 45001は2018年に発行されたばかりのため、過去の調査では限られた認証しかなかったことを指摘しています。また、ISO 45001の前身であるBS EN OH&S 18001からの移行期間は2021年9月11日に終了しているため、2021年度の調査でもこの規格に対する認証がさらに増加する可能性があるとしています。
ISO は、ISO 9001及び14001の認証の増加は、中国からのデータが増加したことが一因であると指摘しています。2020年には、前年より44,253件多い324,621件のISO 9001の認証が報告されました。また、ドイツと英国もISO 9001の認証取得数が増加していると報告しています。日本では2019年33,330件、2020年32,287件と3%ほど減少するなど、中国、ドイツ、英国以外で2万件以上の認証取得を報告している6か国では減少が報告されていますが、減少幅は大きくはありません。
2020年のサーベイで提供されたデータから明確な結論を導き出すことは残念ながらできません。このサーベイへの参加は任意であり、ベルギー、韓国、メキシコ、アイルランド、フィリピンなどの認証機関からは認証のデータが提供されていないからです。サーベイへの参加状況は「良好で前年並み」と報告されています。しかしながら、長期的な傾向分析については信頼に足るとは言えないでしょう。2018年以降、ISOは有効な認証がカバーする際との総数ではなく、有効な認証の数を報告しています。認定された認証は安定して利用されているようですが、2020年のISO サーベイではISO 45001の認証が劇的に増加した以ことを別にすれば、あまり注目すべき点はありませんでした。
世界でもっとも使われている3つの規格のうち、2つの規格、ISO 9001と14001の改訂が目前に迫っています。これは、デジタルトランスフォーメーションやクオリティ 4.0、持続可能は未来の構築に対する要求など、仕事の世界を変える多くの要因に規格策定者が対処する機会となるでしょう。
CQI|IRCAは、CQI Standards Coordination Committeeと規格ワーキンググループの活動を通じて、CQI|IRCAのメンバに関連する規格の開発に貢献していきます。この活動にはCQI|IRCA のメンバーの専門知識と経験だけでなく、CQI のさまざまなリサーチの活動から得られる識見も生かしていくことができます。