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ISO 9001の改訂作業が始まります

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ISO 9001の改訂作業が始まります

去る7月29日 (土) 未明、最近で最も重要なISO投票の1つの結果が発表されました。この記事では、リチャード・グリーンCQP FCQIが改訂開始決定までの道のりと改訂作業開始までの今後の見通しをご案内します。

本件に関する大方の専門家の予想に反して、技術委員会176、第2分科委員会 (TC 176/SC2) を構成する国家規格機関のかなりの多数が、ISO 9001の改訂を直ちに開始することに賛成票を投じました。これは、2015年版の現行規格を 「そのまま 」保持し、2026年の次回の体系的レビューでその将来について決定するのではなく、直ちに改訂することを選んだということです。

この投票は、TC 176 SC2 の戦略的計画及び運用タスクグループ (Strategic Planning and Operations Tas Group = SPOTG) によって委託されました。SPOG は2021年3月にISO 9001:2015を変更も破棄もせずそのままにするよう勧告したグループです。この勧告は投票によって合意され、その結果、ISOの慣行に従えば、この決定が再検討されるのは最も早い時期として2026年だと思われていました。

投票までの道のり

しかし、事態はそれほど単純ではなかったのです。2021年の投票の結果は非常に拮抗しており、過半数の国家規格機関はISO9001を改訂しないことを選択しましたが、世界規模のユーザー調査の結果や将来のコンセプトとブランドの整合性 (integrity) に関連する作業の成果など、変更への賛成派と反対派双方の主張に注目すべき証拠がありました。SC2内でも明確な分裂があり、変更の必要性に関して異なる見解を熱心に主張する人もいました。

2021年の決定後、SPOTGはテクニカルグループ5 (TG5) を設置し、ISO 9001の早期改訂への意欲を引き続き検討し、次の改訂がいつ行われようとも、その改訂に含める可能性のある項目を定めた設計仕様書の草案を作成しました。この作業は2023年3月初旬に完了し、月末にSPOTGに提出されました。提出された証拠に基づくSPOTGの結論は、SC2に参加する国家規格機関が投票すべき明確な事由があるというものでした。投票は6月28日に開始され、7月28日に締め切られ、81票中、78票が投じられました。改訂に賛成する多数派の規模は、「改訂を進めない」とした2021年の多数派を大幅に上回りました。

投票の重要性

この投票結果は、さまざまな理由から重要です。ISO 9001-品質マネジメントシステム-要求事項は、ISOの中で最も広く採用されているISO規格です。150万のサイトに100万枚以上の証明書が発行されているため、規格改訂の決定は重大な影響を及ぼす可能性があります。エンドユーザー組織だけでなく、社内外の品質マネジメント審査員/監査員、研修機関、コンサルタントなども影響を受ける可能性があります。現在、いつ改訂が行われるかについてはある程度確実なものとなっていますが、どの程度大きな変更になるかは明確ではありません。

この投票は、SC2にとって困難だった時期に事実上のけじめをつけるという意味でも重要です。改訂に関する見解がこのように二極化する中、前者についての議論にかなりの時間と労力が費やされたため、他の作業分野での進展は通常予想される以上に困難なものとなりました。今やSC2が次に進むことができるようになったのは望ましいことですが、次の版を小改訂にするのか大改訂にするのかという難しい問題が残っています。新しい版を検討するときの常として、SC2には、ほとんど変更を加えない (できれば変更がない) ことを求める人から、より根本的なアップデートを求める人まで、どの程度の変更を加えるべきかについて幅広い意見があります。

設計仕様書の記述は、さまざまな解釈が可能であり、次の版を起草するワーキンググループ (WG) をこれらの選択肢のいずれかに縛るものではありません。したがって、ひとつの問題が解決すると、また別の難しい議論が始まります。

今後の展開

では、投票結果が判明した今、何が起こるのでしょうか?次のステップは、ISO9001の改訂のための新しいWG を設置し、議長 (convenor) / プロジェクトリーダーを任命することです。議長/ プロジェクトリーダー役の推薦の呼びかけは、数日中に開始される予定です。これに続き、設計仕様書の草案が SC 2 メンバーに回覧され、コメントが求められます。受領したコメントは、ISO 9001改訂のための新しいWGに引き継がれ、その最初の会議で討議されます。

ISO 9001の次の版の発行時期を明確にするのは、現時点ではあまりに時期尚早です。ISO規格開発プロセスの特定の段階は、提出されたコメントが比較的少なく、重要でない場合、省略される可能性があります。次の版の内容に関して、一般的なコンセンサスが得られることが望まれますが、これまでの議論を見る限り、そうなるとは思えません。そうなると、現時点では、発行日は2025年後半、もしくは2026年前半というのが、最も有力な推測です。

新しい開発ワーキンググループが設立されれば、目標時期についてより詳しい情報が得られるはずです。

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