コロナウイルスパンデミックにおける遠隔 (リモート) 監査 (日本語版)
コロナウイルスのパンデミックのただ中に遠隔監査を実施する監査員に、遠隔 (リモート) 監査を経験したシャロン・シャトラー Sharon Shutler, CQP FCQI がアドバイスとガイダンスをお伝えします。(この記事は2020年4月15日にCQI のウェブサイト quality.org に掲載されました)
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今、新型コロナウイルス (Covid-19) のパンデミックというこの不確かな時節に、私たち監査員の多くが不安と絶望の瞬間を味わっていると思います。私も、計画していた監査の直前になって、遠隔で監査を実施するよう告げられたときには不安で絶望的な気持ちになりました。
その監査は、UKASで『ISO/IEC 17025 – 試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項』に対して認定されている試験機関の第二者現地審査でした。
私は、さまざまな癌の治療において命を救う可能性のある免疫療法製品を開発する小さなバイオテクノロジー企業の監査の主任監査員を務めるように頼まれていたのです。私の顧客であるそのバイオテクノロジー企業は、臨床試験に参加するボランティアに投与するために製品を正式にリリースする前に、製品の安全性、有効性及び純度を確認するために専門の試験所のサポートを必要としていました。
私は、長年にわたり、IRCA に登録する医薬品のプリンシパル審査員であり、18か国で130件以上の監査のリーダーを務めてきにもかかわらず、この監査を遠隔でリードしなければならないということにパニックになりました。
私が過去に主任監査員を務めた監査は、すべてISO 19011の最新の指針に基づいて計画し、実施した従来型の現地監査でした。
これまで実施した内でもっとも遠隔監査に近かったのは、私が10年ほど前にIRCA でテクニカルアセッサーとして働いていたときに実施した、サプライヤーアンケートの提出、あるいは審査員トレーニングコースの (トレーニング機関から提出された紙のあるいは電子文書の) 「デスクトップ」レビューでした。幸いなことに、私のパニックは一瞬のことでした。
実施計画
自分が作成した監査計画案を確認し、この監査を現地監査から遠隔監査へ変更するために私が本当にしなければならないことは何かを考えました。私は、計画はできるだけ簡単なままにし、遠隔でのミーティング中の不要な中断は避けようと決めました。顧客と簡単にチェックを行ったあと、5分ほどかけて計画に必要な変更を加えました (下のPDF参照)。
作成した計画から、特に、今、私たちが業界として経験しているこの困難な時期に遠隔監査を実施することに、より自信がもてるようになりました。CQI とIRCA も非常に協力的であり、私たちの職業が新しく、より効果的な働き方に迅速に適応するよう、この難しい時期を通じてメンバーに支援とガイダンスを提供し続けてくれるでしょう。