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原子力セクターにおけるリモート監査と現地監査

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原子力セクターにおけるリモート監査と現地監査

quality.org の英文記事

英国プリマスのDevonport Royal Dockyard Ltd を運営する国際的な航空宇宙、防衛及びセキュリティの企業Babcock International Group の監査マネージャー、エマ・ウィンザー(Emma Winsor CQP MCQI) が、パンデミックが原子力セクターにおける監査にもたらした変化を概説します。

リモート監査を余儀なくされる

新型コロナウイルス感染症がパンデミックとなったとき、私たち全員が、ビジネスを継続させるために新しい働き方をすることになりました。私は、プリマスにあるDevonport Royal Dockyard Ltd の監査マネージャーとして、特に原子力分野で働いていますが、パンデミック以前は、すべての監査は現地で顔を突き合わせて行われていました。

Devonport Royal Dockyard では、エッセンシャルワーカーと呼ばれる従業員の割合が高いのですが、だからといって、通常通り現地で監査を続けられるわけではありません。そのため、リモート監査に迅速に対応しなければならず、これは防衛産業で働く私たちにとってチャレンジングなことでした。

原子力セクターにおけるさまざまな制限

標準的なリモート監査の定義は、監査員が第三者のサイトに実際に立ち会うことなく実施される監査というものです。パンデミック発生から3カ月以内に、私は監査員と被監査者のために重要な指針を示すリモート監査支援文書を作成しました。これには、セキュリティ上の制限、使用するシステム、準備の仕方などの情報が含まれており、また、遠隔地から監査を行う際に時間上の問題が発生する可能性があることへの注意も喚起しています。

当社の敷地内にはセキュリティ上の制限があり、カメラやドローンを使用することができません。こうした制限があるため、リモート監査の可能性を十分に発揮することはできません。  船上での監査は大幅に削減されました。以前は、船上や港湾周辺での監査が定期的に行われており、監査プログラムには年間平均約150件の監査が組み込まれ、顧客の契約要求事項への適合性を監査していました。軍艦や潜水艦の船内はスペースが限られており、適切なPPEとリスクアセスメントを行ったエッセンシャルワーカーしか通常通りの作業を行うことができませんでした。船上での監査ができない場合、一部の監査は中止されましたが、大半は遠隔で監査ができるように監査の範囲を見直しました。

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第三者審査の際のハイブリッド型アプローチ

パンデミックの最中に第三者によるサーベイランス審査が実施され、その際にハイブリッド型の審査に挑むことになりました。このときは、現場での立会いを最小限に抑えた遠隔からの監査となりました。制約があるため、リモートプラットフォームを使っている審査機関とは、一定レベル以上の情報を共有することができません。そのため、証拠となる情報を常に提示できるわけではなく、これが大きな課題となりました。同様の課題は解消されておらず、今後これを軽減するためには、特定分野については現地審査を実施する必要があります。

第三者による審査のハイブリッドアプローチは、内部監査よりも困難であることがわかります。内部監査の場合は監査範囲をオンサイトかオフサイトかに応じて操作することが可能です。第三者によるリモート審査をもっと容易にする方法としては、セキュリティに関する契約条件を定義した文書であるSecurity Aspects Letter (SAL) を導入し、これらの契約が成立している場合には、情報の共有を許可するということがあります。

得られた教訓

他の多くの監査員とともに私が学んだことのひとつは、より順応性と柔軟性を持つということです。リモートで監査することが不可能と思われるなら、監査の範囲を狭めましょう。もっと忍耐強くなることを学びましょう - 証拠を提出するための猶予期間を設けましょう。

この分野でのリモート監査の利点は、移動時間が最小限に抑えられ、計画を立てる手間が減ることです。なにしろ造船所は3、4マイルもありますから、監査をして回るには時間が掛かります。

この分野のリモート監査で分かったマイナス点は、被監査側がタイムリーに対応してくれるかに掛かっているため、監査に全体的に時間がかかることと、書類のフォローアップに時間がかかることです。

Microsoft Teamsのようなオンラインプラットフォームで証拠を確認することはセキュリティ要求事項に関する問題が発生する可能性がありますから、現在ではハイブリッドアプローチが有効です。技術的な不具合は、あらゆる監査の流れを止める可能性があり、回復するのが困難な場合があります。また、私たち監査員にとって、質問に対する回答を確認するために、表情やボディランゲージを読み取ることが非常に重要ですが、リモート監査の場合、それが困難です。監査員の重要なスキルのひとつは、被監査者と信頼関係を築き、今後の関係を保つことです。しかし、電話やオンラインでは、これがかなり難しい場合があります。

リモート監査では、パンデミック前の水準と比較して、不適合のアウトプットは変わらないように見えますが、定期的な現場立会いがないと、不適合をクローズするのに時間がかかります。電話やメールは往々にして無視されがちです。返事をもらうために苦労しているときには、物理的にオフィスに出向いて話をすることは確かにメリットがあります。

パンデミックが終わっても

最近、私たちの会社は新型コロナウイルス感染症による制限をすべて撤廃しましたが、監査テーマや分野、セキュリティの制限に合わせて監査を計画することができるため、Devonport Royal Dockyardでは今後もハイブリッド型の監査が有効でしょう。ただ、遠隔で監査できる分野なら、それはそれでいいですが、現場に行って監査できるのであれば、そうすべきです。

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