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新シリーズ パート5: 改善

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新シリーズ パート5: 改善

新シリーズ パート5: 改善

本シリーズのパート5では、監査員/審査員には変化と改善をもたらす責任があるということについてRichard Green が説明します。

事業が法的要求事項及びその他の要求事項に適合しているという保証を組織のステークホルダーに提供することが監査/審査の主要な役割ですが、マネジメントシステム監査員/審査員にはおそらくそれよりも重要な役割があります。内部監査員、二者監査員あるいは第三者認証審査員であるかによらず、監査員/審査員は本来、組織の改善を推進する立場にあるのではないでしょうか。

 (認証機関の) 第三者審査員は認証顧客に直接コンサルタントをすることはできませんから、これは禁じられた能力ということになります。しかし、組織が最新の附属書SL に基づくマネジメントシステム規格の箇条10に含まれる改善の要求事項に完全に適合していることを確認することによって、第三者審査員は組織の改善に対し大きく貢献することができます。

内部監査員、二者監査員にはこのような縛りはありません。ですから、内部監査員は自らの組織の方針、プロセス及び人々の、そして二者監査員の場合は外部提供者のパフォーマンスの改善の機会を積極的に追求すべき、いや、追求しなければなりません。

改善に関する責務

改善できない組織は余命を数えながらて生きながらえているようなものです。このことを認識しないトップマネジメントのメンバーに内部監査員は四苦八苦するわけですが、かつて偉大だったブランド名がすっかり消え失せたり、あるいは単にかつてあったものの影のようなものに成り下がってしまった例が、今までにもたくさんあります。

CQI の力量のフレームワークでは、改善に関する責務を特定しています。クオリティプロフェッショナルが所属する組織、あるいは監査員/審査員の場合は監査/審査対象の組織に関して考慮すべき2つの質問を以下のように提起しています。

  • 継続的改善及びマネジメントの意図の再定義へのコミットメントはあるか?
  • 客観的評価の文化はあるか?

今回は、このうちの最初の質問について検討します。

附属書SL は、継続的改善を「パフォーマンスを改善するために繰り返し行われる活動」と定義し、パフォーマンスの定義は「測定可能な結果」としています。パフォーマンスは、「活動、プロセス、製品及びサービス、システム及び組織のマネジメント」に関連しているとも言えます。

附属書SL に基づく規格の場合、継続的改善は必須事項であり、実施する、あるいは実施しないということを組織が選ぶことはできません。ですから、監査員/審査員として、私たちは次のことについて客観的証拠を探す必要があります。まず、組織の製品及びサービスが時間の経過とともに改善されているという証拠ですが、それだけではなくこれら製品が製造され、サービスが提供される方法の証拠も必要です。客観的証拠を特定するためには、内部監査とマネジメントレビューの結果、不適合に対する組織の対応と是正処置、リスクと機会のマネジメント、内部及び外部の課題への対応と、組織が教訓を得て、進化し続けているということが納得できる分析と評価の活動の結果をレビューする必要があります。

また、組織の方針、戦略、目的及び計画に表出されているマネジメントの意図が定期的に見直しをされているかを確認しなければなりません。その理由は、これらの文書を策定するときの主たるインプットは組織の状況であり、組織の状況はときと共に変わっていくものであるからです。ですから、組織が以前はステークホルダーを満足させていたとしても、今も変わらずステークホルダーを満足させているという保証には必ずしもなりません。

必然的に外部監査員/審査員は継続的改善がおこなわれているかを確認することしかできませんが、内部監査員は改善がおこなわれていることを確認するだけでなく、監査報告書に当然、積極的に改善の機会を盛り込むべきでしょう。

影響を与える力

内部監査員は認証機関の審査員より「劣っている」と思われていることがあまりにも多いです。確かに監査の技術的な知識に関して内部監査員は外部監査員と常に同じレベルにあるとは言えないかもしれませんし、監査経験に関しても同じ程度持っているとは言えないかもしれません。しかし、改善を特定し、実施することにより組織に付加価値を与える潜在的な力については、常に組織の事業の内側で業務を実施している内部監査員のほうが外部監査員に比してはるかに大きいのです。

それでは、なぜ内部監査員が過小評価されることがこんなにも多いのでしょうか? 1つの理由としては、改善の可能性を実際の改善に転換する能力に欠けていることがあるかもしれません。もし内部監査員が本物の持続性のある変化をもたらそうとするなら、今こそ現状を変えるときだと権力をもつ立場の人たちを納得させるリーダーシップの技能が必要です。

もしご自身が内部あるいは外部監査員/審査員で、改善及び/あるいはリーダーシップ関連の力量を磨く必要があると考えていらっしゃるなら、CQI は適切なトレーニングコースをさまざまご提供しています。

次回、パート6では

次回、本シリーズの最終回では、「客観的評価の文化はあるか?」という問いへの答えにおいて監査員/審査員が果たす役割は何かを考えていきます。

Richard Green、 CQP (Chartered Quality Professional) はISO 17021-3、ISO 19011及びISO 45001 に関する委員会にCQI を代表して参加しています。

『パート6: 客観的評価』はこちらから

監査員/審査員のための力量のフレームワーク

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