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新シリーズ パート4: 意図した成果をどのように達成するか

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新シリーズ パート4: 意図した成果をどのように達成するか

新シリーズ パート4: 意図した成果をどのように達成するか

本シリーズのパート4では、Richard Green がマネジメントシステムが意図した成果を達成したかを確認するパフォーマンス評価について説明します。

本シリーズの最初の2つのパートではガバナンス (Governance) について見てきました。組織が自分たちの意図を明確に規定しているかを判断する際に私たちマネジメントシステム監査員/審査員が果たす役割について検討をすることから始めました。そのために、組織が何を達成しようとするのかをトップマネジメント自身が明確にしているか、またその意図が適切に周知されているかを確認します。

共有されたビジョンがあることが確認できれば、次に監査員/審査員が確認しなければならないのはトップマネジメントの意図が目的に合致しているかです。これを確認するためには、組織の活動がステークホルダーのニーズを実現し、期待に沿っているかを尋ねます。そうでなければ、ステークホルダーとトップマネジメントが衝突してしまう可能性があります。このガバナンスに対する両方の問いの答えが「イエス」であれば、監査員/審査員は次のターゲットとして保証 (assurance) に焦点を合わせることができます。

前回、私たちは、組織の方針、戦略、目的、計画、プロジェクト、プロセス及び個々人のタスクを1つの一貫したビジネスマネジメントシステムに結びつける「金の糸」の存在をどのように確認するかについて検討しました。

しかし、統合されたシステムが必ずしもシステム設計時に意図した成果を生むという保証はありません。監査員/審査員は、保証の2つ目の質問を問いかける必要があります – 「マネジメントシステムは意図する結果を生み出しているか?」です。

パフォーマンスをどのように評価するか

附属書SL に準拠するマネジメントシステムでは、箇条9はパフォーマンス評価に当てられています。これは組織が自らの活動を監視、測定、分析及び評価することができるかを確認するものです。

組織は下記の事項を決めなければなりません。

  • 何を監視、測定するのか
  • 妥当な結果を確実に得るためにどのように監視及び測定を実施するのか
  • いつ監視、測定を行うのか
  • 監視及び測定の結果をいつ分析、評価するのか
  • これらの要求事項は製品及びサービスだけでなく、マネジメントシステムそのものの運用についても適用されます

不適合を挙げる

組織による決定事項が存在したとしても、組織の決定が間違っているという明らかな監査/審査証拠があるときには、疑問を呈することができるようにしなければなりません。例えば、重大な不適合品発生の直接の原因として、コストのかかる測定よりも安く済む監視を選んだことが考えられる場合などです。

組織はパフォーマンス評価の結果を示す適切な文書化した情報を保持しなければならないのですが、監査員/審査員はさまざまな様式/方法でこういった情報が保持されていることに気付くかもしれません。その結果、監査員/審査員はハードコピーだけでなく、電子化された記録も難なく取り扱うことができなければなりません。これは、単にICT のシステムを取り扱うことができるということではなく、重要なのは、データと情報が何を伝えているのかを解釈できるかということです。

内部監査 (9.2) とマネジメントレビュー (9.3) の結果は、システムが意図する成果を生み出しているかについて、監査員/審査員に多くを伝えます。

ISO 19011「マネジメントシステム監査のための指針」 の最新版では、監査員はなぜパフォーマンス評価を理解するべきなのかを説明しています。2017年4月に策定されたISO 19011の国際規格草案 (DIS) には監査員の力量に関連するさまざまトピックを含む新しいガイダンスが提供されています。 

私たちは監査/審査の専門家として、保証の分野は自家薬籠中のものと感じていると思います。証拠に基づく、公平な保証を提供することは、私たち、監査員/審査員に課せられた仕事の要となるものです。

この職業に就いてまだ日の浅い人や、ご自分の監査スキルを次の段階に引き上げたいと思っている人は、CQI|IRCA の提供する監査/審査関連のさまざまなコースをチェックしてみるとよいでしょう。これらのコースは、マネジメントシステム監査/審査の世界で世界標準として広く認知されているIRCA の監査員/ 審査員登録への足掛かりとなるものです。

次回、パート5では

従来通りの事業について管理ができたら、次は将来を見ていきましょう。第3の力量の領域「改善 improvement」に関する監査員/審査員の役割を検討します。

Richard Green、 CQP (Chartered Quality Professional) はISO 17021-3、ISO 19011及びISO 45001 に関する委員会にCQI を代表して参加しています。
『パート5: 改善』はこちらから

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