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附属書 SL 改訂: ISO TMB による投票の結果

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附属書 SL 改訂: ISO TMB による投票の結果

ISO のマネジメントシステム規格の枠組みを定める附属書SL の改訂版は、ISO のTMB (Technical Management Borad 技術管理評議会) による投票の結果を受け、2021年5月から適用が開始されることになりました。

附属書SL の改訂最終案に対して、ISO のTMBによって行われた投票が8月末に締め切られました。12% に当たるメンバーが反対票を投じましたが、改訂版の適用を止めるだけの数ではありませんでした。したがって、現行の予定通り、2021年5月からこの改訂版が適用されるようになります。2021年5月以降に新しく発行されるマネジメントシステム規格、また改訂されるマネジメントシステム規格は、この改訂版を適用することになります。

ただし、すでに発行済み、改訂済みの規格、例えばISO 9001、ISO 14001、ISO 45001などについては、ただちに適用が要求されるわけではなく、ISO の定める通常の見直し、改訂の時期に合わせて適用されることになります。

今回、ISO において改訂は承認されることとなりましたが、その内容をめぐっては、一緒に協議してきたIEC は強く反対しており、IEC はこの改訂を採用せず、今後発行されるIECの規格にも適用されないとのことです。これに関連し、いったんはAnnex L と名称の変更が発表されていたにもかかわらず、3月に行われた会合でこれまで同様ISO Directives の中の Annex SL に戻ることとなりました。4月、最初に投票結果が公表された情報セキュリティ、サイバーセキュリティ及びプライバシー作業グループ (WG) 1では、賛成票はたったの3%、半分以上が棄権票という結果でした。

>>附属書SL 改訂最終草案の投票開始

なお、今回の変更の中には、監査を実施する人、適合するプロセスを運用する人にとっては大きな影響があると思われるものがいくつかあります。例えば以下です。

  • 「監査 audit」の定義の変更

  • 「プロセス process」の定義の変更

  • 箇条9 の構成の変更 (内部監査とマネジメントレビューに関係する新しい細分箇条の追加)

  • 現在は少数の規格でのみ取り扱われていた変更管理 change management が必須の要求事項として導入された

用語の定義を巡っては、異なる専門分野間でさまざまな意見があり、今回の改訂が当初の予定 (2021年1月から適用) よりも遅れた要因の1つともなっています。

>>関連記事: 附属書SL: 上位構造 (HLS) は死んだ。調和のとれたアプローチ (HA) は長生きできるか?

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