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イノベーション、規格、そしてグローバルな競争力獲得のための闘い

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イノベーション、規格、そしてグローバルな競争力獲得のための闘い
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 Vince Desmond
 CEO, CQI|IRCA
 Wednesday, 4 April, 2021
 英語原文はこちら

英国の標準化、試験、計測、認証、認定を統括する4つの機関の連合体である UK Quality Infrastructure (UKQI) は、Industry 4.0 への対応に力を入れています。なぜでしょうか。

なぜなら、Industry 4.0 とは産業革命であると捉えようと、データ駆動、スマートシステム、機械学習による進化であると捉えようと、Industry4.0 を無視することはできないからです。英国認定協会 (UK Accreditation Services = UKAS) は、Industry 4.0 が英国企業に与える影響について詳しく知るための調査を行っています。UKAS の関心は、企業がIndustry 4.0 を戦略計画、革新的思考、競争的アプローチに、どのように組み込んでいるかにあります。時を同じくして、CQI は、Quality Management 4.0 の実用的な定義 (working definition) を確立するために独自の調査を行っています。これは、Industry 4.0 の世界でクオリティプロフェッショナルがどのように活躍できるかという更なる研究につながります。

競争力を政策の中心に据える英国政府

英国政府は、パンデミックとBrexit に対応するため、2017年に発表した産業戦略 (2017 Industrial Strategy) を先日発表した、成長のための「Build Back Better」計画に置き換えました。重要なのは、どちらの文書も、環境や社会の改善だけでなく、生産性と競争力向上のカギとしてスキルとイノベーションに注目しているということです。これは、スキル、イノベーション、そして持続可能性という課題が最重要なカギとなる品質マネジメントと密接に関係してきます。

UKQI: ビジネスのためのイノベーション – 社会にとっての価値

UKQI のイノベーションに関する取り組みは以下に基づいています。

The 2017 Industrial Strategy
The 2019 BEIS Regulation for the Fourth Industrial Revolution report

BEIS (Department for Business, Energy & Industrial Strategyビジネス・エネルギー・産業戦略省) のレポートは、急速で複雑な技術革新に対応のペースを合わせるのに苦慮している世界中の規制システムにおけるIndustry 4.0の課題を取り上げています。また、規格は規制よりもアジャイルであるにもかかわらず、技術革新に遅れずに対応するためには課題があることも確認しています。

政府は、諸外国が将来のイノベーションを支援するために規制環境を急速に改革していることを認識しています。グローバル経済において国の競争力を確保するためには、このような「先を読む」アプローチが重要になってきています。そこで、英国の規制と自主基準が新たに目指すのは、イノベーションを商業化し、社会のリスクを軽減し、自然環境を保護し、市民や地域社会の安全と安心を確保するということです。

2021年3月、BEIS、Better Regulation Executive (BRE) 及びUKQI は開発中の「第4次産業革命のための基準アクションプラン Standards for the Fourth Industrial Revolution Action Plan」をロードテストしました。これには、イノベーターや産業界と迅速に規格を共同開発する方法として、BSI の「Flex Standards*」が含まれています。これらの組織は、規制と規格のインフラをじっくり検討し、政府の計画や産業界の機会に対応できるようにしています。重要なのは、システム自体がアジャイルでアクセスしやすいものであること、イノベーションを起こすことが困難になるような逆効果を招かないようにすることです。

* 例えば、Flex Standardとして策定されたBSI規格はこちら

>>関連記事 BSI Flex 45005 『新型コロナウイルス感染症パンデミック期における安全な働き方 ― 組織に向けた一般指針』

UKQI とソフトパワー

規制及び規格を改善することにより、競争力、環境、社会的利益を追求することに加えて、UKQI は英国が新たに掲げる「Global Britain guise」の一環として英国に「ソフトパワー」の機会を提供します。

規格がグローバル社会に恩恵をもたらし、国家の品質能力の育成に寄与することは明らかです。世界銀行の品質インフラ投資パートナーシップ (Quality Infrastructure Investment (QII) Partnership) が提供する財政的・技術的支援がこれを象徴しています。日本のJICAも、アフリカ国内での品質の力量の開発を支援しています。また、ドイツの国際協力機関 GIZ (Deutsche Gesellshaft für Internatiolnale Zusammenarbeit GmbH) は、開発のための貿易基金 (trade for development fund)で品質インフラを強化するためのインドとのプロジェクトを最近完了しました。

もちろん、国家によるこのような善意の活動は、外交関係や貿易関係を構築し、強化するものでもあります。デジタル時代に突入した今、規格は英国を含む各国が主導権を握るまではいかなくとも、影響を与えたいと考えている分野 (あえて言えば戦場) のひとつです。

スキルと多様性

BEIS、BRE及び UKQI とのディスカッションで出てきた主要なテーマのひとつが、規格開発における新しい人材の必要性でした。規格作成者は、現在の規格群を維持するために、規格作成に必要十分な新しい人材を集めるのに苦労することがあります。また、規格や認定機関が、Industry 4.0 に必要な新しいデジタルスキルや経験をどのように取り入れていくかについても懸念が高まっています。同じ理由でクオリティプロフェッショナルにも多様化が必要であることも、私たちにはわかっています。

生産性と競争力、そして環境と社会のパフォーマンスを向上させるために、クオリティプロフェッショナルが果たすことができる可能性を考えると、変化をもたらしたいと欲する人にとっては魅力的な使命が与えられているとも言えるでしょう。

Vincent Desmond

CEO CQI|IRCA

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Industry 4.0 についてもっとお知りになりたい方はどうぞCQI|IRCAの未来レポート「未来の働き方」をお読みください。
CQI レポート The Future of Work 未来の働き方
IRCAテクニカルレポート:ISO22000:2018