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気候変動への配慮がISO 45001に与える影響

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気候変動への配慮がISO 45001に与える影響

IRCA主任審査員のRavindiran Gurusamy氏が、労働安全衛生マネジメントシステムを検討する場合に考慮しなければならないという、ISO の気候変動に関する修正がISO 45001に与える影響を詳しく見ていきます。

ISOのロンドン宣言と規格の修正

2021年9月に承認されたISOのロンドン宣言は、気候変動対策への世界的なアプローチを変革し、ネットゼロ目標の達成に向けた国際的な取り組みを推進するための、ISOからの重要な後押しとなりました。

この画期的な合意では、ISOが作成するすべての新しい規格に気候に関する重要な考慮事項を盛り込むだけでなく、既存のすべての規格にそれらの要求事項を追加することを約束しています。

2024年初め、第一段階として、ISOは31あるタイプAマネジメントシステム規格*を気候変動への配慮を含めるために修正しました。本記事では、この気候変動への配慮に関する修正に沿って、組織がISO45001:2018「労働安全衛生マネジメントシステム-要求事項及び利用の手引き」の要求事項に適合するにはどうしたらよいかについて説明します。

*タイプAマネジメントシステム規格: 要求事項規格であり、認証の対象となる規格のこと。

何が変わったのか?

ISO 45001 (及び他の30のマネジメント規格) の修正点を以下に示します。

箇条 4.1 組織及びその状況の理解

追加された記述: 組織は、気候変動が関連する課題であるかどうかを決定しなければならない。

箇条 4.2 関係者のニーズ及び期待の理解

追加された記述: : 関連する利害関係者は、気候変動に関する要求事項を持つことができる。

箇条 4.1と箇条 4.2の全体的な意図に変更はありませんが、新たに盛り込まれた記述は、労働安全衛生マネジメントシステム (OHSMS) の設計と実施において考慮すべき外部の課題の一つとして、組織は気候変動に特別な注意を払うようにということを念押ししています。

気候や天気のパターンは変化しており、その結果、働く人の職務上の危険源やそれに関連するリスクが増加しています。予防処置を実施するためには、すべての働く人がさまざまなリスクや悪影響をどのように受けているかを把握することが不可欠です。したがって、OHSMS認証取得組織は、働く人を気候変動の影響から保護するというコミットメントを示すために、この修正内容を考慮に入れ、実施する必要があります。

OHSMSへの影響

多くの組織は、PESTLE (political 政治、economic 経済、social 社会、technological 技術、legal 法律、environment 環境) ガイドラインに従って、OHSMSに関連する内部及び外部の課題を決定しています。

ISOの修正に伴い、組織は気候変動がOHSMSに関連するかどうかを決定し、OHSMS方針の更新の際に気候変動への配慮が含まれているかを確認しなければならなくなりました。

おそらく、このような配慮の結果が組織のOHSMSに影響を与える可能性が最もある例の1つは、気候変動の影響を受ける可能性のある働く人の場合です。いつも屋外で仕事をしなければならない従業員は、気象条件という点で、気候変動の影響をより受けやすいことは明らかです。

ただし、屋外だけでなく屋内で働く従業員にも影響を及ぼす可能性のあるその他の要素もあります。その他の要素としては、大気や水質の汚染、ソーラーパネルや風力タービンなどを職場に導入するために必要となる新しいスキルなどがあります。

組織は、気候変動の影響により発生する可能性のある課題のいくつかを示す以下の表を参照することができます。

下の表は、気候変動によって影響を受ける可能性のある組織の一部の「利害関係者」のニーズを示したものです。

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コミットメントを表明する

組織の管理層は、いくつかの方法で、OHSMSにおける気候変動への配慮に対するコミットメントを示すことができます。

  • 特定の役割の人たちに、気候変動への配慮の重要性を従業員に伝える責任と権限を与えることができる。このような検討事項を組織において定期的な議題とすることで、前向きな改革がどのように実行されるかについてすべての従業員に相談することができ、働く人がこのような改革に参加する意欲を高めることができる。
  • 職務上のリスクや機会に対処するためのあらゆる行動をレビューし、特に危険源や関連する 職務上のリスクをレビュー及び評価する際には、気候変動への配慮が最優先されるようにする。
  • 気候変動によって発生する可能性のある洪水などの自然災害に対処するために十分な資源を割り当て、その資源の内容を伝えるための効果的な内部及び外部のコミュニケーションシステムを確立する。必要に応じ、そのような資源を計画する際には外部の専門家の支援を得る。
  • 運用計画の策定と管理を通じて運用基準と管理策を決定し、管理策の優先順位に従って、気候変動により発生する可能性のある職務上のリスクの影響を緩和する。これには、関連する法的または規制機関のガイドラインや要求事項に沿った、職場のレイアウトや場所、労働条件、労働力そのもの、調達の一時的または恒久的な計画変更が含まれる場合がある。
  • 気候変動によると特定された緊急事態に対応するため、現場での緊急事態への準備及び対応計画をレビューし、更新する。また、すべての従業員が参加する管理された演習を通じて、計画された対応を定期的にテストする。
  • 適切なモニタリング及び測定の方法のための主要業績評価指標 (KPI) を設定し、KPIに照らして組織のアウトプットを分析するし、パフォーマンスを評価する。
  • 改正された法的要求事項に沿ったコンプライアンスの評価をレビューし、必要に応じて内部監査員に意識向上のための研修を実施する。
  • 気候変動をマネジメントレビュー会議の議題の1つとして取り上げ、気候変動問題への対応においてOHSMSのパフォーマンスを向上させるために、危険源の除去や労働安全衛生リスクの軽減のための改善点を特定する。

まとめ

気候変動は、組織がOHSMSに関連する内部及び外部の課題を決定する際に考慮しなければならない課題の1つであり、従業員やその他の利害関係者への潜在的な影響を考慮に入れなければなりません。

気候変動は外的要素かもしれませんが、特に気候変動の影響によってもたらされる職務上のリスクと闘うという点では、最も重要な要素の1つと言えます。

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