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ISO は現時点でISO 9001は改訂せずと決定

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ISO は現時点でISO 9001は改訂せずと決定

国際標準化機構 (ISO) の技術委員会 (Technical Committee) 176の分科委員会 (Sub-committee) 2 (TC176/SC2) のメンバーは、大いに期待されていたISO 9001:2015の改訂を進めないという驚くべき決定を下しました。

quality.org 掲載の英文記事はこちら

TC176/SC2は、ISO 9001:2015 『品質マネジメントシステム - 要求事項』の体系的なレビューを行いました。僅差で、ISO 9001:2015を変更しないことが合意されました。

なお、TC176/SC2 は次のように提案しています。

  • ISO 9001 の改訂を、(5年ごとの) 通常の体系的なレビュープロセスを通じて決定されるよりも早く開始すべきかどうかを検討する

  • SPOTG (Strategic Planning and Operations Task Group 戦略的計画及び運用タスクグループ) は、SC2の担当する規格の全ポートフォリオをレビューする

ISO 9001について

ISO 9001は、世界で最も認知されている規格の1つです。最新のデータによると、世界中で1,180,654のサイトをカバーする878,664の有効な証書が発行されています。

ISO 9001は、以下の組織に対するQMS の要求事項を規定しています。

  • 顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を満たす製品及びサービスを一貫して提供する能力を実証する必要がある

  • システムの改善プロセス、顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項への適合性の保証を含むQMSの効果的な適用により、顧客満足を高めることを目指す


また、この規格は、自動車、航空機、医療機器製造などの分野におけるマネジメントシステムの要求事項を定めた数多くの業界標準の基礎になっています。世界中の何千万もの人々が、ISO 9001規格に基づく品質マネジメントシステムを構築し、使用しています。

ISO 9001の初版が発行されたのは1987年です。他のISO 規格と同様、その妥当性と有用性を継続的に確保するために定期的な見直しが行われています。ISO 9001は経済の変化、技術の進歩、社会の動向などの課題に対応するため、初版発行後、4回にわたって改訂されています。現行のISO 9001は2015年に発行されました。

ISO 9001のレビュー

2020年、TC176/SC2はISO 9001:2015の体系的なレビューを行いました*。また、ISO 9001のユーザーにアンケート調査**も実施しました。この調査の目的は、ISO 9001のエンドユーザーの現行版の規格に対する考えを収集し、次の版の規格がどのような新しい内容を含むべきかについて、ユーザーの考えを確認することでした。

さらに、TC176/SC2では、体系的レビューとユーザー調査の結果に加えて、以下の点を検討しました。

  • 将来のコンセプト及びブランドのインテグリティに関する報告書

  • 附属書SL「上位構造 HLS」の改訂がISO 9001も与える潜在的な影響に関する報告書

ISO 規格は発行後5年でレビューを実施し、必要に応じ改訂が行われます。通常大改訂のあとは軽微な改訂となります (例: 2000年版の大改訂のあとのISO 9001:2008)。つまり、 2015年に大改訂のあったISO 9001は通常であれば軽微な改訂となるため、今回、どの規模の改訂となるかについても注目されていました。

** ISO 9001のユーザーアンケート調査の記事

決定事項

レビューの結果、ISO 9001:2015を変更せずにそのまま残すことが多数決で決まりました。ただし、体系的なレビューが5年後に始まった場合、レビューのための時間、そして3年間の開発時間を考慮すると、ISO 9001の新しい版は 2030年まで発行されない可能性があるということになります。

ISO 9001の多くのユーザーは、明確性を向上させ、ユーザーに大きな価値をもたらす規格の改訂を望んでいます。ビジネス環境は急速に変化しており、新型コロナウイルス感染症のパンデミックとデジタルトランスフォーメーションという要因が変化のペースをより加速させています。

したがって、ISO 9001の改訂を通常のレビュープロセスで決定されるよりも早く、規格のライフサイクルの早い段階で開始すべきかどうかを検討するプロジェクトを開始することが検討されています。

CQIの対応

CQIは、ISO 9001がデジタル化された世界に適合し、すべてのステークホルダーに価値を提供する品質マネジメントシステムを組織が構築するためのフレームワークを提供しなければならないと固く信じています。ISO 9001の改訂が遅れれば、この規格は業界のベストプラクティスにそぐわなくなり、すべてのステークホルダーにとっての価値が低下するリスクがあります。CQI は、ISO 9001を変更しないという決定には同意せず、次の改訂の時期を前倒しするという取り組みを支持します。

CQIは、ISO 9001の改訂に向けての準備を進めるにあたって、TC176/SC2に対し、ISO9001の将来の整合性にとって重要であると考える以下の4つの要素に対する注意を喚起します。


CQIは、メンバーやパートナー組織の専門的な知識や経験をコーディネートするために広く協議を行い、これをISO 9001の新しい版の策定に反映させていきます。

★ CQI の規格策定への関与の体制について、より詳しくは下記の記事をご覧ください ★
>規格レビュー調査の結果とCQI|IRCA の規格策定への関与の取り組み

※ ISO 9001 に関するCQI の上記議論を含む規格策定に関連する取り組みにご協力いただける方はIRCAジャパンまでご連絡ください。

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